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キーファ「なんだろう。
人の気配が しないな……。
マリベル「うわっ!
なんか むちゃくちゃ
陰気な感じの町ね ここって。
マリベル「アルス。
あんたみたいなのが 住むのに
ちょうど いいんじゃない?
老人は 深く瞳をとじている……。
キーファ |
キーファ「どうやら 寝てるだけ |
マリベル |
マリベル「あらあら 寝てるみたいね。 |
アルスは 石像をしらべた。
長い間 外に置かれていたためか
石像は ボロボロの姿で
立っている……
キーファ「おかしいな……。どうして
こんな なんでもない所に
石像なんか 立ってるんだろ?
キーファ「今の石像……
本当に よくできてたな。
キーファ「なんか 気になるぞ。
アルス 他の石像も
調べてみようぜ。
アルスは 石像をしらべた。
長い間 外に置かれていたためか
石像は ボロボロの姿で
立っている……
マリベル「ねえ アルス。
あたしも こんなこと
言いたくないんだけどさ……
マリベル「これってば もしかして
本当の人間が 石になってる……
って かんがえるのが普通よね。
アルスは 立て札を読んだ。
”ダイアラックへ ようこそ!
……と 書かれている。
アルスは 像を 調べた。
台座に 水神の像と
書かれている。
巨大な岩が 立っている。
アルスは 石像をしらべた。
神父の姿をした男が 石と化している。
長い間 外に置かれていたためか
ひどく 朽ち果てている……。
アルスは 石像をしらべた。
若い女性が 石と化している。
長い間 外に置かれていたためか
ひどく 朽ち果てている……。
アルスは 石像をしらべた。
女性が 石と化している。
長い間 外に置かれていたためか
ひどく 朽ち果てている……。
アルスは 石像をしらべた。
若い男が 石と化している。
長い間 外に置かれていたためか
ひどく 朽ち果てている……。
アルスは 石像をしらべた。
おばあさんが 石と化している。
長い間 外に置かれていたためか
ひどく 朽ち果てている……。
アルスは 石像をしらべた。
農夫の姿をした男が 石と化している。
長い間 外に置かれていたためか
ひどく 朽ち果てている……。
アルスは 石像をしらべた。
女の子が 石と化している。
長い間 外に置かれていたためか
ひどく 朽ち果てている……。
アルスは 石像をしらべた。
美しい女性が 石と化している。
長い間 外に置かれていたためか
ひどく 朽ち果てている……。
アルスは 石像をしらべた。
中年の男が 石と化している。
長い間 外に置かれていたためか
ひどく 朽ち果てている。
アルスは 石像をしらべた。
中年の男が 石と化している。
長い間 外に置かれていたためか
ひどく 朽ち果てている……。
*「おお…… なんと めずらしい。
このような所に 旅の方とは……
*「目は おとろえておりますが
……わかりますぞ。どうやら
さぞ 名のある方のようですな。
*「……して このような
荒れ果てた地に いったい
何のご用で まいられましたか……
キーファ |
キーファ「じつは…… ボクたちも |
マリベル |
マリベル「う〜ん。そうやって |
アルスは これまでの
旅のいきさつを 老人に話した。
*「なんと! では 時をこえて
うしなわれた世界を 再び
もとの姿に 戻そうと……
*「………………。
*「しかし……この町のことは
おわすれに なってください……。
今では すでに遅すぎたようです。
*「ごらんになったと 思いますが
この町の人間は すべて
石と なっております……。
*「そして この恐ろしい呪いをとく
方法は もはや ひとつも
残されては いないのです……。
*「私は ここに座ったまま この町の
最後を 見さだめるつもりゆえ……
さあ あらたな旅に向かわれなさい。
マリベル「石にされた人間を
元にもどす方法か……。
マリベル「そんなの アルスが
知ってるわけないし……
ふう…… 困ったわね。
キーファ「呪い……
やっぱり あの石像は
本物の人間だったんだな。
キーファ「う〜ん……
オレたちのチカラで なんとか
できれば いいんだけどな……。
*「おお そうじゃ!
旅の方 しばし待たれよ。
*「今後もまだ 旅をつづける
おつもりなら これを
持って行かれるがよい。
荷物がいっぱいの時
*「おや?
荷物が いっぱいのようですな。
ならば その袋にでも……。
アルスは キラキラと光る
小ビンを 手に入れた!
*「それは 天使の涙といって
石にされた人々の呪いを
とくと言われる 伝説の秘薬です。
*「ならば なぜ 私がそのクスリを
使わないかと 思われるでしょう。
*「見てのとおり この町の石像は
長年 風にさらされ 見る影もなく
朽ち果てております……。
*「この状態になっては 天使の涙は
もはや 効かないのです。
*「私が もっと早くそのクスリを
手に入れられれば…… 町の者は
私を うらんでいることでしょう…
*「事実 夜になると……
*「いや……
今の話は わすれてくだされ。
*「とにかく 旅の方よ。
この村は 今も暗いですが
夜には さらに辺りが暗くなります。
*「もしも この村で宿につくなら
くれぐれも 夜は
外に 出ないことです。
*「さあ 足止めをして失礼した。
今度こそ 行かれるがよい。
キーファ「夜になると……って
おじいさん
何か 言いたげだったな。
キーファ「なんだろう。
夜になると なにがあるんだろう?
マリベル「ねえ アルス。
今のおじいさんの話 みょうに
気になったわよね。
マリベル「夜になったら ぜったい
何か起こるわよ! アルス
どこかで 夜を待ちましょ!
ベッドがある。
休んでも だいじょうぶそうだ。
休みますか?
アルスは 外から聞こえる
悲しげな声に 目を覚ました。
マリベル「くー……。くー……。
キーファ「グウ…グウ……。
寝ようとすると
まだ 外から 悲しげな声が
ひびいてくる……。
村を出ようとすると
仲間を 置いて行くわけにはいかない。
アルスは 石像をしらべた。
おばあさんが 石と化している。
長い間 外に置かれていたためか
ひどく 朽ち果てている……。
石像は 何かを語りかけるように
さみしげな光を 放っている……。
石像の放つ光が しだいに
つよくなりはじめた……!
*「今年もまた 水が足りぬ。
お神岩さまや 後生じゃ。どうか
この町に 雨を与えてくだされ……
*「お祈り ごくろうさまです。
しかし…… なぜ水神の像ではなく
この岩に 祈るのですかな?
*「水神は しょせん人の作った者。
じゃが この岩は われらより
古くから この地におるからのう。
*「なるほど……。
しかし なぜこの岩は このような
場所に あるのでしょうな。
*「ふぇっふぇっふぇっ。
*「岩が ここにあるのではない。
この岩を慕いて われらが
ここに おるのじゃ。
*「うむ…… そうでしたな。
何事も 人から考えるようでは
私もまだまだ 未熟なようです……
石像は 光を放たなくなった……。
アルスは 石像をしらべた。
この石像は 光を
放たなくなったようだ……。
(以下、石像のくだりは省略)
ミリー「おそいなあ……。
クレマン「ごめんごめん。
おそくなったね。
ミリー「ううん それはいいけど……
それで……どうするか決めたの?
クレマン「ああ……。
やっぱり 買い出しには
今年もボクが行こうって 決めた。
ミリー「そんな! 今 外には
魔物がいるのよ! あなたに
もしものことが あったら……
クレマン「だからこそだよ。
自分たちじゃ 野菜も作れない
こんな まずしい村だから……
クレマン「どんなに 危険でも
どうせ だれかが買い出しには
行かなくちゃ ならないんだ。
クレマン「だったら 他の人間より
少しでも戦える ボクが
行くべきだ。ちがうかい?
ミリー「ええ……。
それは よくわかるわ。
わかるけど……
クレマン「それに もう一つ決めたんだ。
クレマン「この買い出しが済んだら
ボクたちの結婚を 町のみんなに
報告しよう。どうだい?
ミリー「クレマン……。
そのことは うれしいわ。
だけど……。
クレマン「よし! そうと決まれば
ボクのことは 心配はいらない。
かならず 無事に戻ってくる。
ミリー「ええ…… わかったわ。
とにかく 気をつけて。
クレマン「ああ。
雨ごいの頃には 戻ってくるよ。
クレマン「それじゃ 行ってくる。
ミリー「クレマン……。
無事に 戻ってね……。
*「あら クレマンさん。
今から 買い出しですか?
クレマン「ええ。いつものとおり
食料と…… この手に持てる限りの
水を 買ってくるつもりです。
*「そうですわね……。もう何年も
雨ごいで 雨が降ったことなど
ありませんからね……。
クレマン「な〜に。神さまは 私たちを
見捨てたりしませんよ。今年こそ
きっと どしゃぶりになります。
*「うふふ……。
そうだと いいですわね。
クレマン「さて では そろそろ。
私も 雨ごいのころには
戻りますので。
*「ええ。外には 魔物が
出はじめていると 聞きます。
どうぞ お気をつけて。
*「失礼…… めずらしいですな。
ミリーさんが このような時分に
祈りに こられるのは。
ミリー「ええ…… ある人の……
ある人の 旅の無事を
祈りに まいりました。
*「そうでしたか。ミリーさんと
その方に 強い 神のご加護の
あらんことを……。
ミリー「ありがとう ございます……。
ミリー「神さま……。
どうかあの人…… クレマンのことを
お守りください……!
*「神さま……。
どうか ボクこそが ミリーと
結婚できますように……!
*「つまり そういうわけで
クレマンは 帰ってこないってのが
いちばん 都合いいんですけど……
*「気のせいか なんだか 水神さまが
ほほえんでいる気がするぞ。
*「きっと 今年は雨ごいが
うまくいくに ちがいないな。
*「クレマンも買い出しに行ったし……
うまく雨が降ったら そのスキに
ミリーと 一気にお近づきに……
*「むふふ……。
今から 雨ごいの日が楽しみだぞ。
ヨゼフ「よし! あとは このことを
メモして…… 本の間にでも
はさんでおけば かんぺきだな!
レナ「あ〜っ!!
落書きなんてしてる〜!
いけないんだ〜!
ヨゼフ「ばっ……ばかっ!
大きい声 出すなよな!
レナ「……だって いけないんだよ。
落書きしちゃあ。
ヨゼフ「いいんだよ。
これは 目印なんだから。
ヨゼフ「そうだ! それよりさ
また すごいのを発見したんだ!
今度は 前のよりすっごいぜ!
レナ「前のって……
あの 秘密基地のこと?
ヨゼフ「そうさ!
もう あんなの問題じゃないくらい
すごい 大発見なんだ!
ヨゼフ「明日 教えてやるから
雨ごいのとき うちに来いよ。
遅れたら 先に基地に行ってるぞ。
レナ「う……うん。わかった。
ヨゼフ「よし! じゃあ また明日な!
とにかく 遅れるなよ!
ヨゼフ「ねえ お父さん。
ひとつ 教えてくれる?
キーン「あん? ああ……
オレに わかることならな……。
ヨゼフ「この町って むかしは
どういう町だったか
お父さん 知ってる?
キーン「この町が どういう町だったか?
さあ…… 聞いたことねえな。
キーン「なあ バーテンのだんなよ。
あんたなら なにか知らないかい?
この町の むかしのことをよ。
*「私も 人に聞いただけですが……
なんでも このあたりは 以前は
戦地だったらしいですよ。
*「それで 一度 町がほろびて……
私たちの先祖が ここに集まって
また 町を作ったとか……。
*「とにかく そんなわけで
時々 地面の下から 昔の道具が
出ることが あるそうです。
キーン「……だとよ。
しかし なんだって そんなことに
きょうみがあるんだ?
ヨゼフ「ううん。
ただ なんとなく気になっただけ。
キーン「ふうん? 変なガキだな……。
いったい だれに似たんだか……
*「だれかにだけは
似なきゃいいんですけどね……。
キーン「おい バーテン。
今 なんか言ったか?
*「い…いえいえ!
私は 何も!
キーン「けっ……。
ヨゼフ「じゃあ お父さん
ボク もう あそびに行くね。
キーン「ああ。そろそろ 雨ごいが
始まる頃だろうから あんまり
チョロチョロしてるんじゃないぞ。
ヨゼフ「うん!
*「さて いよいよ 今年も
雨ごいが はじまるべさ。
*「雨が降らねば 野菜もそだたん。
そんな所で 農家なんぞしてる
オラの将来は なんと暗いべ……
ヨゼフ「あ! おじさん!
ごめんね!
*「き…気にしなくて いいだよ。
*「子供の元気な街は
きっと 将来も 明るいべ。
*「おかしいわねえ。
どこに 行っちゃったのかしら?
レナ「ねえ おばちゃん。
ヨゼフくん いる?
*「あら レナちゃん。それがねえ
私も さがしてるんだけど
どこにも いないのよ。
*「今日は 雨ごいの日だから
家にいて 手伝いをしなさいって
あれほど 言ったのに……。
レナ「あ! そうだ!
もしかしたら……
*「あら? ひょっとして あの子が
どこにいるか 思いついたの?
レナ「う…ううん。
知らない 知らないよ。
*「そう……。とにかく
どこかで あの子に会ったら
家に帰るように 伝えてくれる?
レナ「う…うん わかった。
伝えておくね。
*「ねえ キーンさん。
雨ごいの日くらい すこしは
酒をおさえられたら どうですか?
キーン「あん? なに言ってんだ?
酒を売って もうけてるヤツに
んなこと 言われたくねえよ。
*「とにかく 私もこれから 雨ごいに
参加するんです。店は もう
閉めますから 出てもらえますか。
キーン「……ちっ。わかったよ。
キーン「おお やってるやってる。
まったく 毎年 ご苦労なこった。
キーン「あんな くだらねえ
おまじないで どうして
雨が降るんだっての……
キーン「ん?
キーン「雨だ……。すげえ!
本当に 降ってきやがった!
キーン「しかし…… なんだ この雨?
やけに にごってやがる……。
キーン「うあぁっ!! な…なんだ!?
か……身体が……!
キーン「なんだこりゃ! うあっ……!
じょ…冗談じゃねえ!
身体が……い…石に!?
キーン「……おっかあ!!
ヨ……ヨゼフ!!
石像は 完全に くだけちった……。
*「おや? 旅の方ですな。
まだ ここにおられましたか。
*「ならば ごらんになって
しまわれたことでしょう。
石像たちの 光る姿を……。
*「あの石像たちは おそらく
私をうらみ ああして
光を放っているのです……。
*「この町のことを すこしだけ
お話ししましょう……。今からもう
50年以上も むかしのことです…
*「この辺りは 古くより雨が少なく
そのため年に一度 町人みなで
雨ごいを おこなっていたのです。
*「そして その年の雨ごいの日……
私は 遠くはなれた町まで 一人で
買い出しに 行っていました。
*「その帰り道…… 遠目に見える
この町が 深い紫の雲に
おおわれていたのです。
*「そして 町には はげしく
雨が 降っていました……。
ひどくにごった……灰色の雨が。
*「灰色の雨は すぐに上がり 私が
ここに着いたときには 町の人々は
今の ごらんのありさまでした。
*「町の人々は 元の体に戻りたいと
さぞ 願ったことでしょう。
可能なら 私もそうしたかった……
*「しかし……私は その町人の
願いを かなえては
やれなかったのです……。
*「いっそ 私みずからも石となり
ここで 朽ちてしまいたいと……
今はただ そう思うばかりです。
*「灰色の雨は 恐怖の雨……。
多くの人々は いまだ この雨の
存在すら 知らんのでしょう……
*「え? 私の名ですか?
私の名は クレマンといいます。
*「もっとも もう何十年も
人に その名を呼ばれたことも
ありませんが……
アルスは 本だなをしらべた。
本の間に 子供の字で書かれた
メモを見つけた!
メモを 読みますか?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
”ひみつきちに つづいて ”おとうさんがよく行く店の 下のガケ。 |
いいえ |
(何も起こらない) |
アルスは カベに書かれた
らくがきを読んだ。
”エヘヘ。めじるし。
と 書かれている。
アルスは 足元を たんねんに
しらべた!
地面をたたくと
下に空洞のあるような 音がする……。
しかし 暗くて よく見えなかった!
マリベル「ねえ アルス。
あんた ゆうべのうち
外に出たの?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
マリベル「ふう〜ん おくびょうな |
いいえ |
マリベル「やれやれ。じゃあ結局 マリベル「昨日のおじいさんは |
キーファ「ふわあ……。
夜のうちに なにかあるかと
思ったけど 何もなかったな。
*「おお……。まだ ここに
のこっておられたとは……。
*「そう言えば 天使の涙を
手に入れたときに こんな話を
聞きましたな……。
*「天使の涙は 空気にとけて
ゆっくりと落ちて行く物だとか……
*「これは どういうことなのか?
たとえば 高い所から…。
*「……いや またムダな話でしたな。
さあ この地のことはわすれて
新たな地に 向かわれるがよい。
アルスは 足元を たんねんに
しらべた!
なんと! 下り階段を見つけた!
マリベル「ねえ アルス?
ここって いったい
なんなのかしらね?
マリベル「って そんなの
アルスに わかるわけないか。
聞いたあたしが バカだったわよ。
キーファ「この町に こんな所が
あったなんてな。
キーファ「ここは どこかに
つながってるのかな?
アルスは 天使の涙をつかった!
*「あれ?
キーファ「ひょっとして……
天使の涙が 効いたのか?
マリベル「……今 男の子が
ちょこっと見えなかった?
マリベル「行ってみましょ!
アルス こうしちゃ
いられないわ!
アルスは はりがみに書かれた
文字を読んだ。
”ひみつきち その1”
と 書かれている。
*「あれ?
おにいちゃんたちは だれ?
*「ボクの名前は ヨゼフ。
ねえ おにいちゃん どこかで
町の みんなを見なかった?
ヨゼフ「おっかしいなあ……。
さっきまで 雨ごいの大人たちが
わいわい 盛り上がってたのに……
ヨゼフ「もしかして 何かあったのかな?
ねえ おにいちゃんたちは
なにか 知ってる?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
ヨゼフ「ええっ? この町の ヨゼフ「おにいちゃん…… |
いいえ |
ヨゼフ「そっか……。 |
ヨゼフ「しっかし……ほんとに
だれもいない 感じだなあ。
ヨゼフ「とにかく みんなを さがそう!
おにいちゃんたちも
ちょっと 手伝ってよ!
ヨゼフが 仲間にくわわった!
ヨゼフ「おにいちゃん とりあえず
町のみんなが 見つかるまで
しずかに 歩いてよね。
ヨゼフ「話なら あとでゆっくり
聞いてあげるからさ。
キーファ「かわいそうだけど……
こればっかりは 仕方のない
ことだからな。
キーファ「アルス。この男の子に
とことん つきあってやろう。
マリベル「……それにしても
本当のことを おしえるのは
ちょっと かわいそうね。
アルスは 石像をしらべた。
神父の姿をした男が 石と化している。
長い間 外に置かれていたためか
ひどく 朽ち果てている……。
ヨゼフ「う〜ん……。
よく できてるとは思うけど
なんで こんな物があるんだろ?
アルスは 石像をしらべた。
女の子が 石と化している。
長い間 外に置かれていたためか
ひどく 朽ち果てている……。
ヨゼフ「この石像……
レナに そっくりだ……。
ヨゼフ「ねえ ひょっとして これって
おにいちゃんたちが 作ったの?
アルスは 石像をしらべた。
農夫の姿をした男が 石と化している。
長い間 外に置かれていたためか
ひどく 朽ち果てている……。
ヨゼフ「この人 どこかで
見たことある 気がする……
ヨゼフ「ええっ? これが
もともとは 人間だっただって?
……まさかあ。
アルスは 石像をしらべた。
女性が 石と化している。
長い間 外に置かれていたためか
ひどく 朽ち果てている……。
ヨゼフ「……おかあさん?
ヨゼフ「ねえ おにいちゃん……
みんな ボクをおいて 本当に
どこ 行っちゃったんだろうね?
*「旅の方よ。どうやら さきほど
天使の涙を使われたようですね……
かすかに そんな香りがしました。
*「それはそうと なにやら
急に 辺りが明るくなったような
気がしますが……
*「わしの目も いよいよ
おかしくなってしまったのかも
しれませんな。
ヨゼフ「……その おじいちゃん
だれ?
*「た……旅の方よ。
その少年は いったい!?
はい/いいえ | |
---|---|
はい/いいえ |
*「い…いや! 答えんでもええ! |
*「たしか 酔いどれキーンの
せがれ……。名は たしか……
ヨゼフといったか!?
ヨゼフ「ん……。そうだよ。
*「お…おまえ……
いったい 今まで
どこに おったんじゃ!?
ヨゼフ「地下の……
秘密基地だよ。
*「地下……。そうか……
それで 今まで風にさらされず
姿は 無事なままで……
*「旅の方! きせきだ!
町は…… 町は まだ
死んでなど おらんかったのだ!
*「これも あんたらの おかげじゃ!
あんたらが あきらめずに
天使の涙を 使ってくれたから……
*「心から 礼を言わせてくだされ!
この年寄り 今日ほど
うれしい日は ありませんぞ!
*「こよいは 祝杯をあげましょう!
さあ 旅の方! ともに 新しい
町の命を いわってくだされ!
新しい希望を手にした 老人の顔は
みるみるうちに 生気を取りもどした。
町の人は 今はもういない……。
少年も やがて そのことを
真実として 受け止めはじめた……。
老人は 自分がヨゼフを
引き取りたいと申し出た。
ヨゼフも すぐに
老人に 打ちとけたようだった。
そして 夜が明けた。
*「まったく みなさんには
なんと礼を言ってよいやら
言葉が 見当たりませんな。
*「みなさんが 行かれたら
私たちも 後から すぐに
旅に出ようと 思っております。
*「そして 灰色の雨という存在を
知らずに 生きる者に
その恐怖を 伝えて歩くのです。
*「それによって 尊い命が ひとつでも
救われるなら 私の人生にも
意味があったと 思えましょう。
*「そして……灰色の雨の
語りべとして 旅をしながら……
*「できることなら この町の人々を
元に戻す方法も
さがして 歩くつもりです。
*「この地に 人はいなくなりますが
町の命とは 場所を守ることでは
ないでしょう。
*「私とヨゼフが 生きていれば
同じように 町の命も
生きつづけるのだと 思うのです。
マリベル「ねえ アルス。
そういえば あんたに ひとつ
聞きたかったんだけど……
マリベル「どうして あんたは
あの地下通路の入り口を
知ってたのよ?
マリベル「ふうん……。
じゃあ やっぱり あの夜には
外で 何かがあったのね?
マリベル「めずらしいじゃない。
アルスが 役に立つなんて。
たまには ほめてあげるわよ。
マリベル「やれやれ。あの
なまいきな子と 旅をするはめに
ならなくて ほっとしたわよ。
キーファ「おじいさん すっかり
元気になったみたいだな。
なんだか ほっとしたよ。
キーファ「ヨゼフも おじいさんに
なついたみたいだったしな。
*「旅の方よ。本当にありがとう。
あらためて 礼を言わせて
いただきますぞ。
*「みなさんが 行かれたら
私たちも すぐに 語りべの旅に
出ようと思っております。
ヨゼフ「あ おにいちゃんたち
もう行くの?
ヨゼフ「本当は おにいちゃんたちに
ついていってあげても
よかったんだけどね。
ヨゼフ「それじゃ おじいちゃんが
さみしいだろうし 何よりボクは
みんなを もとに戻したいしね。
ヨゼフ「そういうことだから
そっちも さみしいだろうけど
あんまり 悪く思わないでよね。
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