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*「まあっ! お兄ちゃんたち
よくここまで 来られたね!
*「魔王が 現れてから
町の外には 魔物がいっぱいよ。
*「町のみんなも こわがって
誰も外には 出かけられないの!
マリベル「さすがの 宿屋の娘も
いまは 商売どころじゃ
なさそうだわね。
メルビン「この 状態では
かわいい 看板むすめも
出番なしで ござるな。
アイラ「早く なんとかしないと
人々の不安が 大きくなるばかり。
もたもたしては いられないわね!
ガボ「町の外に あんだけ魔物がいたら
みんなは とっても出られねえよな。
*「ゴロニャーン。
*「うわさでは 魔王を倒すため
勇者さまが旅立たれたらしい。
*「へへっ うれしいじゃねえか。
まだまだ世の中 捨てたもんじゃ
ねえってことよ!
アイラ「わたしたちのことかな。
だったら うれしいけど
責任重大だね!
ガボ「誰か ほかにも
魔王を 倒そうとしてる奴らが
いるのかなあ……。
マリベル「ちょっと 聞いた?
わたしのこと 勇者さまだって!
マリベル「まあ そんなふうに
言われるのも 悪くはないわね。
ほほほ!
メルビン「勇者……でござるか。
その名に 恥じぬよう
がんばらねば いかんでござるな。
*「よいしょっ よいしょっと!
ふうっ こんなもんで いいかしら。
*「もう 誰にも明日のことなんか
わからなく なっちまってさ。
*「わたしも こうして水を
たくわえちゃいるけど
役に立つんだか どうだかね。
アイラ「やることは やりながらも
みんなの心の中は 不安だらけ。
アイラ「アルス!
いっときも 早く
魔王を たおさなっくちゃ!
ガボ「みんなは 世界は 魔王に
滅ぼされると 思ってんのか?
冗談じゃねーぞー!
メルビン「このまま 放っておくと
みんなが生きる気力を 無くしそうで
こわいで ござる。
マリベル「みんなが 不安の中で
暮らしているなんて
こんなの まちがってるわよ!
*「魔王が この世界を
滅ぼすんですって……。
*「ああ……。
まだ お嫁にも行かないうちに
ひどいわ!
マリベル「このまま 魔王に
滅ぼされでもしたら……。
マリベル「お嫁に 行けないのは
あんたばかりじゃ ないわよって。
まったく……。
アイラ「みんなの 夢や暮らしを
つぶそうとする 魔王……。
この わたしが ゆるさないわ!
メルビン「むふふ。
大丈夫でござるよ お嬢さん。
そのときは このわしが お嫁に……
メルビン「お お嫁に 行けるよう
おうえんするで ござるよ。
なっ アルスどの。わはは!
ガボ「だれが 魔王なんかに
滅ぼされるか!ってんだよな。
そうだろ アルス!
*「こうして とりあえずは
商売をしていますがね……
*「明日がくるのかどうかだって
わかりやしません。
*「わたしらは いいけど
子供たちには 明るい未来を
残してやりたいものですよ。
*「うちの おとうさん
なんだか 急に
やさしくなったんだよ。
*「おこづかいも いっぱいくれるし
もう 最高なんだ!
ガボ「なんで きゅうに
おっちゃん やさしく
なったんだろう。
アイラ「なんか 悲しいね。
やるせないね アルス。
どうしたら いいんだろ。
マリベル「おこづかい くれるからって
やさしくなった わけじゃないけど
子供にとっては いいかもね。
メルビン「よいでござる。
あれも 親心でござるよな。
*「ねえねえ お兄ちゃんたち
外をウロウロしてると あぶないよ!
*「魔王っていう 怪物に
食べられちゃうって
お母さんが 言ってたよ!
*「いやーんっ!
助けてー! きゃははは!
ガボ「ガオ ガオーッ!
アイラ「いかに 魔王でも
子供たちの 元気までは
うばえないようね。
マリベル「あい変わらず このうちは
にぎやかだわね。
メルビン「わっはっは。
魔王ごっこで ござるか。
無邪気で いいでござるな。
*「がおーっ まてまてーっ
魔王だぞー!
*「いずれ お迎えが来るのは
しかたがないことじゃが……
*「いくらなんでも
魔王のお迎えは いやじゃのう。
メルビン「魔王の お迎えなど
わしだって いやでござるよ。
マリベル「魔王が お迎えに
来るんじゃなくて こっちから
迎えにいってやるのよね!
ガボ「じっちゃん ひとりを
魔王が わざわざ 迎えに
来るわけねえよな!
アイラ「魔王が 向こうから
やって来てくれるなら
そんな楽な ことはないわ。
アイラ「飛んで火に入る 夏の虫
って いうやつね!
*「みんなが幸せに 生きられるよう
平和な世界が 続くようにと
毎日 神に祈りを捧げて来ました。
*「でも今となっては いったい誰に
祈ればいいのやら……。
*「いつも おとうさんと
山の上の 教会まで
お祈りに行ってたんだけど……。
*「魔物たちが 現れたから
危なくて行けなくなっちゃったの!
*「いやだあっ
わたしが お料理つくるーっ!
*「いけませんっ。
向こうに 行ってらっしゃい。
*「あなたは この前もオムレツの中に
カラシを山ほど 入れちゃったでしょ!
ガボ「オイラ 食ってみたいぞ!
カラシオムレツ。 ごくっ!
アイラ「さすがの わたしも
オムレツに カラシは
入れなかったわね……。
マリベル「あのくらいの 年頃って
なんでも大人の マネしたがる
ものなのよ。
マリベル「まあ あたしの場合は
マネというより なにをやっても
大人を こえていたけどね。
メルビン「こう見えても わしは
料理は得意なので ござるよ。
メルビン「戦場で キャンプをする時など
よく 作ったものでござる。
*「最近 なんでも 大人のやることを
マネしたがって 困っちゃうわ。
*「んもっ?
あんたら 知ってっかい。
神さまなんか いねえってこと。
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
*「こないだ 現れた神ってのは |
いいえ |
*「モウ のんきな やっちゃなあ。 |
ガボ「みんな 何 あきらめてんだ。
魔王なんか オイラたちが
ギャフンと いわしてやるぞ!
マリベル「あれほど派手に 見せられた
神が にせものだったと なれば
みんなの落胆も 大きいはずだわね。
メルビン「じつは神が 魔王だったと
わかったことによる 人々の絶望は
予想以上に 大きいで ござるな。
アイラ「やっぱり 人々のダメージは
思ったより 大きいわ。
完全に あきらめちゃってるものね。
*「んももーっ!
*「んもーっ!
*「いったい 私たちが
何をしたって いうんだい!
*「なんで魔王なんかに おびえて
暮らさなきゃ ならないのさ!
*「もう本当に 神さまは
いらっしゃらないのかねえ……。
マリベル「今は みんなに
いろいろ 説明するより
あたしたちの 行動が先だわね!
アイラ「みんなを これ以上
不安にしちゃ いけないわ。
そうでしょ アルス!
ガボ「神さまが いるのか いないのか
オイラだって 知りてえよ……。
メルビン「魔王を 倒す以外に
解決策は なし!
メルビン「やることは ひとつ。
簡単でござるよ わっはっは!
*「町のまわりに 魔物が現れてから
牛たちが 落ちつかないの。
*「とうとう ミルクまで
出なくなっちゃったんだよ!
*「ま…魔物だらけで 町の外に
出られなくなってしまった。
*「こんな時こそ 黄金の女神像が
あってくれれば 心強いのに……。
*「わっはっはっ! わが家のジマンは
村いちばんの ちからをほこる
オス牛の ヒレミニ号です。
*「たとえ 魔王が攻めて来たって
こいつがいれば 大丈夫。
ぶっとばしてやりますとも!
ガボ「牛で 魔王に勝てるなら
オオカミは いらねえぞ!
メルビン「魔王を ネズミか何かと
まちがえているで ござるかな?
*「大きな声じゃ 言えないけど
うちの人は 子供のころから
村いちばんの 弱虫だったのよ。
*「牛に頼るなんて 情けないねえ。
魔王にステーキにされちゃうのが
せいぜいだと 思うけどね。
ガボ「オイラも ステーキ食いたい!
ガボ「でも ここの牛食うのは
ちょっと かわいそうだな。
マリベル「おばさんの方は
話がわかってるじゃないのさ。
*「こらっ おとなしく しろってば!
*「ええとっ こうやってしぼれば
ミルクが出るはず なんだけど
へんだなあ……。
メルビン「子供は 何も知らずに
無邪気でござる。
メルビン「この子たちが
ずっと 平和に暮らせるよう
がんばらねば!
*「にゃーん。
ポチ「わんっ わんっ!
*「よっこらせ。どっこいせ!
*「神さまが現れて 平和になって
よかったあ と思ってたら
実は 魔王でございましただと!?
*「ちきしょうめ!
これじゃまるで ホレた女が
じつは 男だったってな 感じだぜ!
ガボ「本当だよな!
肉だと思って かじりついたら
じつは クツだったって 感じだぞ!
メルビン「ホレた おなごが
もし 男だったりしたら……。
わしは 立ち直れないでござる。
*「まったく 世界が大変だというのに
うちの じいさんときたら
相変わらず ほっつき歩いて……。
*「きっとまた 若い娘の尻でも
追いかけ 回しているに
ちがいないよ!
*「正直言えば 今すぐどこかに
逃げ出したい 心境ですよ。
*「でもね 相手が魔王じゃ
どこへ逃げたって 同じことです。
*「だったら じたばたしないで
生まれ育った この町で死のうと
覚悟を決めたんですよ。
*「わたし どこか知らない
遠くの国に 行ってみたいの。
*「かわいいクツに すてきなドレス。
にぎやかな町とか お城があって
まいばん みんなでダンスをするの。
*「ふうっ。
世界が こんなになっちゃ
それどころじゃ ないわよね。
メルビン「大丈夫でござるよ お嬢さん。
きっとこの メルビンが
平和な世界を 取り戻すでござる!
アイラ「わたしも ドレスを着て
ダンスパーティーとかに
出てみたいな。
アイラ「でも それには まず
魔王を 倒さなくちゃ。
女らしくするのは そのあとね!
*「ほほっ ベルルちゃん。
かわいいのう。
*「やっぱり 若い娘はええのう。
シワシワより ピチピチじゃのう!
マリベル「ふふふ 知らないのね。
このあたしこそ ピチピチギャルの
お手本だってこと。
アイラ「あらあら こんなときでも
元気な おじいちゃんだこと。
ふふふ。たのもしいわね。
*「毎日ここで こうして友達と
お茶をのんで おしゃべりするのが
何よりの 楽しみなんじゃ。
*「よかったら あんたらも
仲間に 入るといいよ。
ふぉっ ふぉっ ふぉっ。
*「なんと!
魔王が 復活したというか!
*「よし! あとは そなたたち
若い者に 任せたぞ!
よいな!
*「むにゃ むにゃ……。
おじいちゃん オシッコ……。
*「いらっしゃい。
わたしの名前は ベルル。
よろしくね!
ベルル「毎日ここで お年寄りの
お世話をするのが
わたしの 仕事なんです。
ベルル「世界が こんなときでも
みなさん明るく 元気だから
お世話のしがいが あるのよ!
*「ここは村の老人の いこいの家だよ。
*「みんなの気持ちが 沈んでる中
いま いちばん元気なのは
お年寄りかも しれないな。
*「ぶひひーんっ!
*「もーっ。
*「この村の 教会は
この先にある 洞くつを抜けた
山の頂上にあるのよ。
*「世の中が ほろびる前に
お祈りでも しておいたほうが
いいとは思うけど……
*「いまは 山頂に続く洞窟の中は
魔物だらけで とても危険なの!
ガボ「よっしゃー!
洞くつの 魔物たち
待ってろよー!
アイラ「魔物なら いくらいても
オッケーだよね。
アイラ「ふふふ。
うでが なるわね!
メルビン「忠告は ありがたかったが
どのみち われわれは
戦いからは 逃れられぬ運命。
メルビン「洞くつ内の 魔物も
一匹残らず 叩きのめしてくれる!
わっはっは!
*「みてくれよ このすみきった空。
なのに あたりは魔物でいっぱいだ。
*「なんでも 町のうわさでは
今 この世界に 何か大変なことが
起きようと しているらしい。
*「神に祈りたいが 神はなし。
ああっ いったいどうすれば
いいんだい!
アイラ「神がいないことが わかって
みんなの 心の支えが
なくなってしまっている……。
アイラ「早く 不安のもとを
絶たなくちゃね アルス!
メルビン「わ わしは 高いところが
ちょっとばかし 苦手でござるよ。
もう少し さがろうでござる……。
*「神父である 主人が
言っていましたわ。
*「魔王が 私たちを苦しめるのは
私たちが苦しむのを 見て
楽しむためなんだそうです。
*「だから どんなに辛くても
笑顔を絶やしては いけないの。
とくに 子供の前ではね!
ガボ「魔王の奴 人を苦しめて
よろこんでいたのか!?
まったく とんでもねえ奴だ!
*「昔っから 神さまと魔王の戦いは
続いているんだって。
おじいちゃんが 教えてくれたよ!
*「でも いつも神さまが勝つとは
限らないって……。
*「でも 心配しなくて大丈夫だよ!
ぼくが毎日 神さまが勝つようにって
お祈りしてるからね!
アイラ「毎日 祈っているなんて
えらいわね。
きっと 坊やの祈りは 通じるわよ!
*「お おれよう……。
すっごく恐い夢 見ちまったんだよ。
*「神さまの顔が 見る見るうちに
恐ろしい 悪魔の顔に
変わっていって……。
*「うう…ぶるぶる。
こ 腰が抜けて
動けなくなっちまったい!
ガボ「うう……。
聞いてるだけで こわい夢だぞ。
メルビン「夢と言うより
悪夢でござるな……。
*「あたしゃ 信じちゃいないよ!
*「魔王が神さまを 倒しただなんて
そんな バカなことが
あって たまるものかね!
*「きっと 今のいまだって
神さまは 次の手立てを
考えていらっしゃるに違いないさ!
ガボ「う〜ん。
神さまと 魔王って チカラだけなら
魔王の方が 強ええのかなあ。
アイラ「むかし あの神ですら
敗れたのだとすれば……
アイラ「私たちの 戦う相手は
恐ろしい チカラを
持っているってことね!
ガボ「ありゃりゃ?
町の中が やけに さびしいぞ。
みんな どうしちまったんだ?
マリベル「どうやら みんな 家の中に
閉じこもってるみたいね。
て〜んで いくじがないんだから。
マリベル「アルスも こうして
冒険してなきゃ 家の中に
閉じこもってたクチじゃない?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
マリベル「あら? 近ごろ 少しは |
いいえ |
マリベル「ホントかしら? |
アイラ「なんだか 町じゅうが
しずまりかえっちゃって……。
これじゃ まるで死んだ町だわ。
メルビン「みな 家の中に
かくれているでござるな。
メルビン「まあ このような時に
明るく 元気よく くらせと
言う方が ムリでござるか……。
*「魔王が よみがえって以来
町の者は みな 家の中に
閉じこもっています。
*「わたしたちは ここで 魔物が
町の中に 入ってこないよう
見はり番を しているんですよ。
*「……あんたたち まさか
魔物じゃないだろうなあ?
*「魔王だって 神さまに
化けてたぐらいだからな……。
*「魔物が 人間に化けていても
ちっとも ふしぎはねえぜ。
*「ワオ〜ン!
*「魔王が 復活するなんて 世界の
大ピンチよねえ。
*「こんな時こそ 勇者チビィのような
人が あらわれて パ〜っと
魔王を 退治してくんないかしら。
ガボ「アルス〜 勇者チビィに
負けねえように 魔王と戦って
世界を すくってやろうぜ!
メルビン「魔王とは 戦うでござるが
勇者チビィみたいと言われるのは
かんべんでござるな……。
*「こんな 危険な時に よく
ヨソの方が 来られましたわねえ。
*「だって 町の外は モンスターで
いっぱいなんでしょ。
見かけによらず お強いのねえ。
*「う〜。ず〜っと 家の中なんて
たいくつだよ〜。
*「神が復活して やっと本当の
平和がきたって思ったのに
魔王が化けた神だったとはなあ。
*「いったい 本当の神さまは
どうしちまったんだいっ!
メルビン「アイラどのたちは
世界のために 神を復活させようと
長き間 つくしてきたのでござる。
メルビン「それは たたえられこそすれ
決して 非難されることでは
ないでござるよ。
メルビン「にくむべきは 神の姿を
盗んだ 邪悪な魔王でござる。
気にすることはないでござるよ。
アイラ「……ありがと…メルビン。
※アイラがいない場合、最後のセリフは無し
アイラ「わたしたちユバールの
悲願である 復活の儀式が
魔王に 利用されるなんて……。
アイラ「……くやしいわ。
*「おお 神よ。精霊よ。
どうか われら人の子を
お守りください。
*「見はりなんて立てたって 外に
ウジャウジャいる魔物が 本気で
せめてきたら おしまいさね。
*「あたしたちにできるのは その時が
少しでも おそくなるように
祈ることだけさ。
*「あわわ……。
まさか 魔王が 復活するなんて。
*「これまで ホラばっかり
ふいてきた バチが
あたったんじゃろうか?
*「ああ いつまで こんな
息をひそめるような生活を
つづけなくちゃいけないんだ。
*「私は もう たえられませんよ。
*「こんなこともあろうかと
ウチじゃ いい武器や防具を
そろえてたんです。
*「ど〜ぞ 買ってってください。
*「ねえねえ みんな おうちに
とじこもってるのは
まおうのせいなんでしょ?
*「まおうって あらしみたいな
ものなのかなあ?
*「本性を あらわした 魔王は
いったい わたしたち人間を
どうするつもりなのかしら?
*「みな殺し?……それとも
言い伝えにあるように 闇の世界に
封印してしまうつもりかしら?
*「いずれにしても 以前のような
平和で おだやかな時は もう
もどらないのでしょうね。
*「なんでも ウワサだと
フォロッド城ってところじゃ 人が
みんな 消えちゃったんでしょ?
*「魔王のチカラって やっぱり
すさまじいものなのね。
ああ……おそろしいわ。
*「アタシは 見たことないけど
神さまの城が おぞましい姿に
変わってしまったんですって。
*「さすがに 魔王だけあって
住むところも それらしい形を
もとめるものなのね。
*「ああ なんてことでしょう。
世界が ほろびるかも
しれないなんて……。
*「こんなことなら 意地なんて
はらずに はやく あの人と
仲直りしておくんだった……。
マリベル「そうよね 人間
こんなことでもなきゃ なかなか
素直には なれないもんよね。
アイラ「あの人って 別居中の
ご主人のことかしら?
*「おめえら これから でかいことを
やってやろうって……
そういう目をしてるぜ。
*「……もしかして あの魔王を
倒そうとか……?
いや そんなワケねえよな。
*「とにかく なにかは知らねえが
おめえらの目的が ぶじ
はたされることを いのってるぜ。
ガボ「おおう オイラもえてきたぞ!
アルス はやく 魔王んトコに
のりこもうぜ!
アイラ「でかいことか……そうね。
これは 絶対に やりとげなきゃ
いけないことなんだわ。
マリベル「……へえ。
あの人 汚いカッコのわりに
見る目あんじゃない。
メルビン「やはり 見る者が見れば
わかってしまうでござるか。
メルビン「さあ アルスどの
今こそ 魔王の城に
のりこむべき時でござるよ。
ガボ「なんか シーンとしてて
さみしいなあ……。
ガボ「この国くれえは ぱーっと
明るくやってるかと
思ったのにさ。
マリベル「さすがに ヘラヘラ歌ってる
場合じゃないってことか。
それはそれで 根性ないわね。
アイラ「ここには まだ魔物たちは
現れていないようね。よかった。
メルビン「平和を愛する 文化の国
つまりは 魔物から
身を守るすべが ないということ。
メルビン「マーディラスに 魔の手が
せまらぬうちに 魔王めを
倒すでござる!
*「音楽を愛する 文化の国
マーディラスへ
ようこそ 旅の方。
*「はあ……。
さすがに 歌を歌うような
気分にはなれませんよ。
*「旅の方〜 魔物だらけの道を〜
よくぞ ご〜無〜事〜で〜。
おつかれさま〜です〜。
*「当店じまんの かんげいの歌
いかがでした?
……さて。
(宿屋)
ガボ「ラララ 宿の人 こんにちは〜。
オイラたち〜 がんばって〜
来ましたよ〜!
ガボ「やっぱ マーディラスは
こうでなくっちゃな!
マリベル「……ここまでくると
尊敬しちゃうわね ホント。
*「海の向こうでは 国中の人々が
魔王の手によって
消し去られたといいます。
*「明日は わが身と思うと
祈らずには いられないのです。
*「たたたたたたったた助けて〜!
かかかかかかっか神さま〜!
うう〜 ブルブルブルっ。
*「われらが神の名をかたるとは
ゆるしがたい 罪。
いずれ魔王めは 滅びましょうぞ。
*「それとも 魔王より先に
われらが滅びるのでしょうか……。
さて……。
(教会)
*「楽器を かなでていると
ほんの少しだけ
心が やすらぎます。
*「気やすめかも しれませんが。
アイラ「たしかに 踊ってると
よけいな事を 忘れられるの。
アイラ「いらだち おそれ
悲しみ 怒り……みんなみんな
踊れば どこかへ消えてしまうわ。
*「家の外になんか 出られませんよ。
いつ 魔物がおそってくるかと
思うと……ブルブルブル!
*「今日も いいニュースを
しいれてますよ!
*「なんと われらが 姫さまは
魔王を たおした者となら
ケッコンしてもいいと いうのです!
*「ううっ 魔王は こわい。
でも 姫さまの ためなら!
*「というわけで 会員は みんな
せっせと 体をきたえています。
*「ぼ ぼくだって……
*「あ〜 ゴホン。
あたらしい情報が 入りましたら
また お知らせいたします。
*「どうぞ おたのしみに!
*「こんな時だってぇのに
ヨハンのやつ まだ
帰ってないらしいじゃないか。
*「どっかで のたれ死んでなきゃ
いいんだけどねえ。
メルビン「ヨハンどの 何事も
なければ よいのでござるがな。
アイラ「伝説の 弾き手ならば
魔物くらい トゥーラで
けちらせるはずよ。
アイラ「だいじょうぶ きっと
どこかで 道草くってるだけよ。
マリベル「あいつ まだ戻ってないの?
どこ ほっつき歩いてんだか。
*「ままがね まおうがくるから
おそとにでちゃ
いけないって!
*「でも まおうって なんだろ?
*「フミィ……。
*「うちの子は まだ小さいんです!
魔物なんか……魔物なんかに
殺されてたまるもんですか!
*「でも……どうしたらいいの。
神さまも 勝てなかったのに
魔王を 倒せる人なんていないわ。
マリベル「神さまには できなくても
あたしの子分の アルスになら
できるわよね。ねっ?
ガボ「なんだって やってみなきゃ
わかんねえさ! なっ アルス。
*「もし 魔物に殺されても
こんど生まれかわったら
また ふたりで 歌うッス!
マリベル「……仲のよろしいことで。
*「ウオー! 兄弟!
おれはうれしいぜっ!
地獄でも いっしょに歌おうな!
メルビン「ピンチの時にこそ
おのれの 真実の心があらわれる。
美しいでござる!
アイラ「いっしょなのは いいけど
歌うのは……ちょっと。
アルス 止めてあげたら?
*「クゥーン。
*「ナンマイダブ ナンマイダブ。
い 命ばかりは お助けを〜。
*「今日の分の 洗たく物を
干さなくちゃ いけないんだけど
外には 魔物がいるのよね。
*「井戸の外に出るのは こわいけど
洗たく物が カビるのも イヤ!
ああ〜ん どうしたらいいの!?
*「男の人たちってば
飲んだくれてばっかなのよ!
いくじなし!
*「神の城が 一瞬にして
おぞましい姿に 変わった
すぐ そのあと……。
*「いずこからか
数え切れないほどの 魔物たちが
世界に あらわれたのです。
メルビン「魔王め…… 罪もなき人々を
どこまで 苦しめる気でござるか!?
許せんでござる!
マリベル「魔物たちなんかに
あたしたちの世界を
渡しはしないわ。
マリベル「アルス! あんたも
覚悟きめたんでしょうね。
ガボ「神さまの城って 前に
オイラたちが 行ったとこだよな。
あれが 魔王の城だったのか。
*「どうせ魔物に 殺されちまうんだ。
こうなりゃ ヤケ酒だぁ!
おーいっ おかわりー!!
マリベル「弱虫……。
*「ヒック……あっしもね
飲んで……ヒック…ましてねぇ。
どーぞご勝手に……ヒック!
ガボ「酒って そんなにいいモンか?
にがーくて まずいのにさあ。
*「精霊さまも 魔王に
やられてしもうたんかのう……。
もう わしらは 終わりじゃ。
メルビン「アルスどのは まさか
酒に逃げようなどとは
思っておりますまいな。
メルビン「今から おじけづいていては
とても 魔王めには
立ち向かえないでござるからな。
*「ヒック……古い歌によれば
魔王は 神との戦いで 傷つき
しばしの眠りについたとか。
*「傷がいえて ようやく……ヒック!
動き出したと……ヒック!
いうこと…でしょうか……ヒック!
メルビン「そう 魔王めは 長い間
ずっとチカラを たくわえてきた。
今この時の ために。
*「ヨハンがいたら きっと
暗い顔するなよ ベイビーって
ゴキゲンな曲を ひいてくれたわ。
*「ヨハン……早く帰ってきて。
*「まだまだ人生これからなのに
死にたくない……。
*「ここならきっと 魔王も
気がつかないと思うの。
*「誰かが 魔王を倒してくれるまで
ずっとかくれてる つもりよ。
*「精霊とは 神にもっとも
近い存在だと いわれています。
*「魔王は 人々はだませても
精霊までは あざむくことは
できなかったのでしょう。
メルビン「精霊は 神を支えるチカラ。
その精霊の守りがある 今
魔王なぞには 負けぬでござる!
マリベル「たしかに 精霊って
フツーじゃなかったものね。
そのくらい できて 当然よ。
*「ま 魔物が襲ってきても
彼女だけは ぼくが守るんだ。
……ゴクッ。
*「神さまだと 思ってたのが
まさか 魔王だったなんて。
もう何も 信じられないわ!
*「マーディラスは
わたしが 守りぬくぞ!
……ちょっと 自信ないけど。
*「町の人の中には ヨハンのせいで
魔王がよみがえったなんて
言う人もいるの。
*「とても お師匠さまには
聞かせられないわ。
ガボ「ひでえ事言うやつが いんだな。
そりゃ 魔王はこええけど
ぶつぶつ……。
メルビン「不安で 弱くなった心は
なにかを責めねば
たえられないので ござる。
メルビン「これ以上 悪いうわさが
流れぬうちに 早く魔王めを
倒すでござるよ。
マリベル「なんにもしないヤツに限って
かげ口だけは 一人前なのよね。
やだやだ 気分わるーい。
*「おお! これはアルスさん!
たいへんなことに なりましたな。
……して ヨハンは?
*「……そうですか ゆくえ知れずとは。
まったく いつまでも
心配ばかり かけおって。
*「ヨハンのやつ……。
無事だと よいのだが。
ガボ「じっちゃん 心配そうだなあ。
ヨハン まだ帰らねえのか。
おかしいなあ。
メルビン「海にも 山にも 魔物たちが
出るようになったでござる。
……まさかとは 思うが……。
マリベル「じいさん一人 ほっぽって
どーこで 油売ってんのよ。
ヨハンって いいかげんよね。
マリベル「これだけ 立派なお城だもの
魔物は まず 入れないわよね。
……たぶん。
ガボ「お姫さまの まわり
じいちゃんばっか だったろ?
へーきかなあ?
アイラ「いくら お姫さまでも
こういう時は 不安なはずよ。
会いに行って あげましょうよ。
メルビン「姫君が ご無事だとよいが。
この国は 万事 グレーテどのに
かかっているからして。
*「ここは マーディラスの王城だ。
魔物は一匹たりとも
通しはせん!
*「あ〜あ〜 もし魔物が〜 来たら〜
最初に〜 食べられるのは〜
きっと ぼく〜。ゾゾゾ〜!
*「グレーテ姫さまは われらが
必ずや お守りする!
*「国のあるじたる 姫さまだけは
失うわけには ゆかない。
命にかえてもお守りせねば。
*「このおいぼれの命なら
いくらでも やりますから
姫さまだけは……。
*「魔王めが あらわれましたら
そう 言ってやろうと
思いますのじゃ。
*「グレーテさまは 魔王なぞ
おそるるに足りぬ と
おっしゃいますじゃ。
*「ですが わしゃ 名前を聞いただけで
ふるえが とまりませんのじゃ。
おお……神よ……ブルブルッ。
大臣「これは アルスどの!?
よくぞご無事で!
大臣「わが国の民は ごらんの通り
魔王の影に おびえ
不安な日々を すごしております。
大臣「みなさまの おチカラで
どうか……。
大臣「いや! ムリでしょうな。
あの魔王を 倒すなど
できるはずがない……。
ガボ「じいちゃん 悪いほうばっか
考えてんだなあ。
ガボ「オイラみたいに いいことばっか
考えれば いいのにな。
アルスも そう思うだろ。
マリベル「できない できないって
あ〜 うるさいっ!
マリベル「もう さっさと行って
ぱーっと 倒してきましょ!
メルビン「大臣どのは ずいぶん
取り乱しておいででござるな。
まあ ムリもないが……。
グレーテ「おお アルスか!
無事で 何よりじゃ。うむ!
グレーテ「わらわは 考えておった。
大地のトゥーラによって
魔王は 復活してしもうた。
グレーテ「ならば トゥーラのひき手を
探すのを手伝った わらわにも
責任が あるのではないかとな。
グレーテ「アルスよ! わらわも
そちたちと ともに戦おうぞ!
グレーテ「……と 言いたいものじゃが
あいにく わがマーディラスを
放り出して 旅立つわけにはゆかぬ。
グレーテ「じゃが わが友 アルス!
このグレーテ いつの日も 心は
そなたとともにある!
グレーテ「……気をつけて ゆきや。
アイラ「……よかった お姫さまが
ついてくるって 言いださなくて。
ひやあせ かいちゃったわ。
マリベル「な〜んだ ちょっとだけ
期待したのにさ。
マリベル「気持ちだけ ありがたく
いただいときましょ アルス。
メルビン「姫君の口から あのような
ありがたい お言葉が出るとは
感激でござる!
メルビン「あの言葉を はげみに
魔王めを 倒すでござるよ
アルスどの!
ガボ「お姫さま やっぱ元気だな!
オイラも 元気わいてきたぞ!
*「この階段の下には
グレーテさまのお部屋がある。
むやみに 出入りせんようにな。
*「姫さまが 小さいころは
カミナリや お化けを恐がるのを
なぐさめてさしあげたものです。
*「今では ぎゃくに
魔物におびえるわれらを
姫さまが はげまして下さいます。
*「やっぱり 若い娘から先に
食べられちゃうわよね……。
グスン……こわいわ……。
*「神よ 精霊よ わたしにチカラを。
この国を 大切な人々を
守れるよう チカラをください。
*「いつわりの神とも 気づかず
魔王めを 信じていたとは
なんと なさけないこと。
*「ああ 神よ!
罪ぶかきわれらを どうか
お許しくださいませ……!
*「神さま 神さま。
これからは マジメにはたらきます。
どうか 助けてください。
*「旅人よ どんな苦境であろうとも
けして希望だけは
お忘れに ならぬよう……。
*「さて……。
(教会)
*「古き世より 伝わる歌には
魔王が 大地を切りとり
封印したと 歌われています。
*「世界の いくつかの大陸が
とつぜん姿を消したのも
封印によるものなのでしょうか。
*「ここには 姫さまの命令で
めずらしい楽器や 歌の本を
あつめてあります。
*「たとえ 魔王が来ようとも
われわれは ここを
守りぬきますとも!
*「神さまの城で 働かないかって
声を かけられたことが
あったのよ。
*「もし ついて行ってたら
今ごろは……ブルブルッ。
*「魔王がなんだ! 魔物がなんだ!
俺は 死ぬまで料理を
作りつづけるぞ〜っ!!
*「魔王とは 何者なのか?
どうすれば倒せるのか?
われわれには 何ひとつわかりません。
*「ただひとつ 知っているのは
その邪悪にして強大なチカラだけ。
魔王の前には 人間は無力です。
マリベル「自分が 弱いからって
あたしたちまで いっしょに
しないでほしいわね。
マリベル「あたしも アルスも
魔王なんて こわくないわ。
ぜったい やっつけてやる。
メルビン「魔王を おそれる心こそが
魔王を強くするのでござる。
気をたしかに 持たねば。
*「今の わたしには
なげきの歌しか 歌うことは
できません……。
*「魔王のチカラをもってすれば
この城など いっぺんで
ふきとんでしまうでしょう。
*「われわれは 手も足も出ず
虫ケラのように
死んでゆくのです……。
*「うーん うーん。
ま 魔物め……来るなあ……!
*「神さまも 精霊さまも
どこへ行ってしまわれたのか。
我々は 見すてられたのでしょうか。
*「牢屋の中なら 安全だといって
わざと 食い逃げをして
つかまった者までいるのだ。
*「世の中も みんなも
魔王が正体をあらわしてから
どうかしちまってるよ。
マリベル「アルス あんた まさか
自分もやろうなんて 思ってや
しないわよね?
マリベル「そういう弱虫とは あたし
口をきいてあげないからね。
アイラ「魔王がこわいってのは
口実で じつはお金が
なかったりしてね。
ガボ「食い逃げ……うっ。
ハラへったあ〜。
*「さいきん ずいぶん牢屋が
にぎやかなんだけど
何かあったのか?
*「わたくしが 食い逃げをしたのは
この 安全な場所へ
かくれるためです。
*「とはいえ なかなかのスリルで
楽しゅうございましたわ。
ガボ「あははっ あいつらが
食い逃げしたのか?
オイラ 見たかったなあ〜。
*「こ ここならきっと
魔物たちだって 入って
これないぞ!
マリベル「バッカじゃないの?
こんな牢屋なんて 魔物なら
ちょちょいの ちょい よ。
*「神の使いと 申す者が
わが城にも参りました。
*「まさか 魔王の手先とは。
思い出すだに いまいましい!
*「マーディラスの お城は
がんじょうに できてますから
魔物だって 入れませんとも。
*「だいじょうぶですよ!
*「なんでも どっかの島に
伝説の英雄が あらわれたって
話じゃないか。
*「さっさと 魔王をやっつけて
くれないかねえ。
ガボ「メルビンのこと 言ってんのか?
それとも ラグレイのことか?
メルビン「…………。
ともかく 早く 魔王めを
倒すでござるよ アルスどの!
マリベル「あの英雄が ホンモノだって
いまだに 信じてるのね。
おめでたいわねえ。
マリベル「神殿は どこも無事か。
多少は 神さまのチカラも
はたらいてるってわけね。
メルビン「わが神に 勝利を祈り
心をしずめるでござる。
……よしっ!
アイラ「神さまは きっとどこかで
わたしたちを 見守っていて
くれるわよね アルス。
ガボ「なあなあ 何しに来たんだ?
忘れ物かあ?
*「ここは マーディラス大神殿。
神殿の中は 安全です。
さあ 早く中へ!
*「あの まんなかの怪談
どこに つづいてるんだろ?
ま まさか魔物は出てこないよね。
*「どうして魔王なんかが
この世にいるんでしょう。
ああ……死にたくないよう。
*「わたしの友人の楽師も
魔物に殺されました。
骨ひとつ残さず……ああ!
*「神と信じたものは 魔王だった。
では ほんものの神は
どこにいるのでしょう。
*「われらを救っては
くださらぬのか……!?
*「おそれるな。
正しき心のものを
神は 見すてることはない。
*「祈るのだ ただひたすらに。
魔王の滅びと 世界の平和を
われらが神に 祈るのだ……。
*「精霊のチカラで 魔王の正体は
あばかれましたが
やつに勝つことは できなかった。
*「もう この世はおしまいですよ。
*「魔法王国とよばれたころの
書物にも 魔王を倒す方法は
記されておりません。
*「わかったのは 魔王のチカラが
すさまじいものだということ。
それだけです。
ガボ「そういや ここも
アルスの島と いっしょに
落とされたんだったよな。
*「聖風の谷へ ようこそ!
ここは かつて自由に空をかけた
伝説のリファ族が 暮らす谷よ。
*「……いえ それはただの伝説では
ないのだと 族長さまが そう
教えてくださいましたわ。
マリベル「ここにいると
あの かるい性格の
風の精霊を 思い出すわ。
マリベル「でも あの風の精霊も
魔王を たおすため 真剣に
チカラを かしてくれたのよね。
*「じつは さきほど族長さまが
谷に もどられ われわれの前で
話を されたのです。
*「世界を わが物にしようとする
魔王の恐怖と それに立ち向かう
勇敢な 戦士たちの話でした。
*「ウワサでは 北方の王国が
魔王の手によって
ほろぼされたのだそうです。
*「次には はたして どこが
ねらわれるのか……。
心配で 夜も眠れませんわ。
*「神と信じた あの存在が
じつは魔王だったとは……!
*「これでは またいつこの谷が
おそわれるか……!
あわわわ!
セファーナ「アルスさんたち。
なぜ今 この地に
いらっしゃったのですか。
セファーナ「精霊が チカラをあわせ
魔王の正体を あばいたことは
谷の者たちにも 伝えました。
セファーナ「神の城も 魔王城へと
姿を変えたと 聞きます。
すでに 時は来ているのです。
セファーナ「今 魔王に立ち向かう
ことができるのは だれでもなく
あなたたちだけ……!
セファーナ「さあ 一刻もはやく
魔王のもとに 向かってください!
世界に 平和を取りもどすのです!
ガボ「セファーナのねえちゃん
元気そうでよかったな。
アルス。
アイラ「セファーナさんが 谷に
もどっているなら この地は
何の心配も いらないわね。
アイラ「アルス。
わたしたちの すべきことは
あと たったの ひとつね。
メルビン「うむ。どこのどなたか
存ぜぬが 今の方の
言われたとおりでござる。
メルビン「アルスどの。
何をおいても とにかく
魔王城に 向かうでござるよ。
セファーナ「アルスさんたち。
いったい 何をためらうのです。
セファーナ「われらが風の精霊さまも
あなたたちのチカラを
もとめているはずです。
セファーナ「さあ 魔王のもとに
向かってください。魔王を
倒す時は 今しか ないのです。
*「今でもまだ 外には魔物が
いるのだそうです。
*「外に行かれるのなら どうぞ
お気をつけて……。
*「せっかく 空がきれいになったのに
まだ 悪さをしようとするヤツが
いるんだってさ。
*「あ〜あ……。ボクも
ブーメランさえあれば そんなヤツ
ぶったおしてやるのになあ。
*「にゃお〜ん。
*「族長さまが 言ってました。
なんでも かつて 村をすくった
伝説の人が 実在していたとか……
*「それって いったい
ダレのことだろう?
フィリアさま……かな?
*「私たちが こうしている間にも
勇気ある戦士たちが 恐ろしい
魔王と 戦っているそうです。
ルンタ「ブーっ! ブーっ!
*「なあ あんた!
今 ヒマか?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
*「だったら 一緒に祈るんだ! |
いいえ |
*「だったら こんな所で |
*「風の精霊さまにも ぜひ一度
お会いしたいけど…… それより
今は ルンタくんをさがさなきゃ!
*「ねえ あなた 見なかった?
かわいい 小ブタなんだけど……
*「族長さまのお話では 私たちが
伝説として 語り継いできたことは
そのほとんどが 事実だそうです。
*「私たちの 日々の研究など
いざとなれば 役に立たず……。
まったく むなしいですね。
*「なんでも 空を
もとに戻すのに あんたらも
ひと役 買ったらしいじゃない。
*「ありがとうね。
今はまだ こんな時だけど
あたしは 感謝するよ。
*「一人は みんなのために!
みんなは 一人のために!
この精神が 大切じゃ!
*「まずは このあたりの
ゴミ拾いじゃ。あんたらも
ちょっと 手伝わんかい。
*「世界に 魔王がいる限り
人々の笑顔も 本当の笑顔とは
呼べないんだよ。
*「魔王がいなくなったときこそ
やっと 心から笑える。
その日を 楽しみにしてるよ。
*「ボクらは ここで
魔物が谷にくるのを
ふせいでるのさ!
*「空が暗くなったときには
お花も 枯れそうだったけど
もう すっかり元気になったわ。
*「オラはもう 神さまに たよるのは
やめただよ。道は
自分のチカラで 切りひらくだ。
*「この神殿で目覚めた
風の精霊さまが 神といつわる
魔王の正体を あばいたそうです。
*「けれど 空は青くなったとはいえ
外には まだ魔物がいます……
*「これから 世界は
どうなってしまうのでしょうね……
*「ここは リファ族の神殿です。
族長さまは 先日
谷に もどられましたわ。
*「魔物だけでも 恐ろしいのに
魔王とかってのがいるんじゃ
もう 世界はおしまいだ〜!
*「なあっ!
あんたも そう思うだろ!?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
*「あああっ……! |
いいえ |
*「いいえ だとっ!? |
*「外に出て 空を見上げれば
果てしなく続くような
青空が ひろがっているよ。
*「でもね これは嵐の前の静けさ……
なぜだか そんな気がするのさ。
*「この神殿の石像 フィリアさまは
われらを守る 守りの神。
族長さまが 教えてくださいました。
*「おお おお。覚えておるぞ。
族長さまとともに 風の精霊さまを
呼び覚ました 旅人じゃな。
*「リファ族を代表して お願いじゃ。
どうか 今後も 風の精霊さまの
チカラと なってくだされよ。
*「族長さまから われた
リファ族のことを いろいろと
聞かせて いただきました。
*「長き歴史にささえられ
今日の私たちがある……。
*「そう思うと この身に流れる
リファ族の血を 心から
ほこりに 思いますわ。
*「かつて リファ族を危機から救った
伝説の4人の英雄……。
*「そして それと同じ方が
今度は 世界を救ってくださると
族長さまは おっしゃいました。
*「なんでも オレが寝てる間に
族長さまが この神殿に
来てたんだってな。
*「なんだい あんたは?
悪いけど いそがしいんだ。話が
したいなら 他をあたっておくれ。
*「翼のはえた族長さまからは
美しさだけでなく
神々しさをも 感じました。
*「以前 神の城に人々が
召集された時 族長さまの代理で
私が 神の城に行ったのです。
*「あれが まさか魔王の化けた
姿だったなんて……。
思いも よりませんでした。
*「あなたがたは!
族長さまとともに 風の精霊さまを
目覚めさせた方々……。
*「ご存知と思いますが 世界は今
魔王の恐怖に しずんでいます。
*「こんな時だというのに 私には
祈ることしか できないのです……
むなしいことですわ……。
*「私にも あなたがたのような
チカラがあれば たとえムリでも
魔王に 挑むことができますのに…
*「おおっ!
あなたたちは 族長とともに
この塔に のぼられた方々!
*「見てください! 空が
もとの色を 取りもどしたのです!
*「こっ…ここは
異常 ありません!
*「話は聞いてるよ。
精霊のチカラにより 地上に巣くう
魔王の正体が あばかれたたってね。
*「さあ 今度は あんたらが
チカラを出す番だ。あたしらも
ここから 見守っているからね。
※誤字まま
*「ここにいても すごく感じる……
魔王の息吹と……
まがまがしい存在感をね。
*「魔王は 神の城のあった場所の
地下の方で 息づいてる。
急いだ方が よさそうだよ。
*「ここは リファ族の生まれた村。
今もなお リファ族の血を継ぐ
残された 最後の村よ。
*「おお そなたらか!
久しぶりだな!
*「何をしていたのか だと?
いや……腹がへったので料理を……
まあ それはよいではないか。
*「それはそうと 魔王の正体の
あかされた今 こんな所に来て
さては おじけづきでもしたのか?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
*「そうか……。 *「ムリもない話だ。なにしろ相手は *「だが これを忘れるでないぞ。 *「自分を信じ そして |
いいえ |
*「うむ! 世界を 魔王の恐怖から |
*「……私は そなたらの勝利を信じ
ここで 祈りつづけるのみ……
いや たまには料理もしたり……
*「……ともあれ 勇気を出し
さあ 今こそ行くがいい!
アイラ「アルス。
今は ここに来ている場合じゃ
ないはずよ。
アイラ「族長さんの 言うとおり
覚悟を決めて。アルス。
ガボ「あの おっちゃん。
今度は 料理だってよ。
ガボ「なんでもいいから
部屋だけは 散らかさねえで
もらいてえよな。アルス。
ガボ「……村のみんな いったい
どうしちまったんだ?
ガボ「家ん中 かくれてんのか?
ずいぶん こわがりだなあ。
マリベル「フンイキ悪いわねえ。
ずいぶん ヤな感じの村だわ。
メルビン「……アルスどの。
早く 魔王を倒すでござる。
この村の ためにも。
アイラ「外には 誰もいないのに
じーっと 見られてる気がする。
なんだか 気味が悪いわ。
*「アオォーンッ!
*「……なんだ あんたたち。
外は 魔物だらけだってのに
どうやって来たんだあ?
*「まあいい。用がないなら
さっさと出てってくんな。
*「オラの娘に さわるな!
*「おっと すまねえなあ。
おどろかしちまって。
さあ さっさと帰った帰った!
*「うーん うーん。
ま……魔物が……うーん。
助けて……。
*「……すいませんがねえ
お泊めすることはできません。
帰って いただけますか?
マリベル「頼まれたって こんな村
泊まるもんですか。
ああ 腹が立つったら!
ガボ「オイラたち なんにも
悪いこと してないのにな。
アルス 悲しいなあ。
*「う うわあっ!? 魔物め!
この村から 出てゆけっ!!
*「え? ちがう?
そ そんなこと言ったって
だまされませんよっ!
*「魔王が 神に化けてたんだ。
魔物が人間に化けるくらい
どうってことないはずです!
アイラ「旅人が 魔物の化身 か。
そう 思いこむことで
身を守っているのね。
メルビン「この村につたわる
まちがった歴史が かようにも
人々を 苦しめているとは。
メルビン「なんとも なげかわしいで
ござるよ。
マリベル「何よあれ!
このあたしの かわいい顔が
どうしたら 魔物に見えるのよ!?
マリベル「むっかつくわね〜っ。
アルス! こんな村
さっさと 出てくわよ!
*「しーっ! しずかに!
*「魔王の手先かもしれないから
旅人は おいだせって
村長さんの 命令なんだよ。
*「でも あんたたちは
魔物なんかに見えないもの。
2階にこっそり 泊めたげるよ。
*「どうだい? 泊まっていくかい?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
*「それじゃ おやすみ……。 *「さあ うちの人に |
いいえ |
*「そうかい? |
*「昔も 旅人に化けた魔物が
この村にわざわいをもってきた。
ぜったい 泊めるもんか!
*「この村は どうかしてますよ!
よそ者は 魔物の仲間だろうって
口もきいてくれないんです!
*「昔 何があったか知らないけど
こんな時こそ 助けあわなきゃ
いけないっていうのに……。
メルビン「人の心は なんとも
弱いもので ござるな……。
*「なんだか 近ごろ
村の人たちがつめたいんですよ。
*「よそから来たやつらは みんな
魔物の手先かもしれないって
思ってるみたいで……トホホ。
アイラ「村の人の 気持ちも
わからないわけじゃないけど
ちょっと やりすぎよね。
*「フーッ!
*「あっ!? みなさん!
……タイミングの悪いときに
ここへ 来ましたね。
*「魔王が 正体をあらわし
外に 魔物が出るようになってから
この村は ひどいさわぎです。
*「よそ者を 魔物の手先として
村から おいだそうとしている。
*「昔 神父さまを傷つけたのが
旅人に化けた魔物だと
思いこんでいるせいでしょう。
*「悪いことは 言わない。
村人に おそわれないうちに
この村から 立ち去ることです。
マリベル「なんでも よそ者のせい。
その根性が くさってるのよ。
マリベル「忠告どおり ここは
さっさと こんな村 出てきましょ。
ガボ「……なんだよ ひでえよ。
オイラたち なんにもしてねえのに。
メルビン「とにかく 一日も早く
魔王めを 倒すでござる。
さすれば この村も……。
*「ひいっ!?
*「あわあわあわ……し 神父さま
お助けくださいーっ!!
メルビン「今は 何を言っても
ムダでござるよ アルスどの。
*「教会は 神の地上の家。
あ あなたがたが魔物ならば
すぐに 立ち去りなさい。
*「さ さもなくば 神の怒りが
あなたがたを……。
よろしいですね!!
ガボ「……なんか オイラ
悲しくなってきちゃったよ。
マリベル「……神父さまも 神さまも
こいつらなんか 助けちゃ
くれないわよ!
マリベル「……あたしたちが だから
やるしかないのよね。
*「神父さま……この村へ
もう一度 おもどりください。
魔物たちをおいはらってください。
*「神さま……神さま……神さま……!
わしの 一生のお願いですじゃ。
世界を救ってくだされ……。
*「神さま 神父さま
どうか今日も一日
生きのびられますように……。
*「神と信じたものが 魔王だった。
目に見えるものだけでは
真実は わからない……。
*「あなたがたが ほんとうに
人間なのかどうかも……。
さて……。
(教会)
村長「……このような時に 旅人とは。
わが村に 何の用ですかな?
村長「もうしわけありませんが
今は よそ者を泊めることは
できません。お引きとりを。
ガボ「もういいよ アルス。
行こうぜ。
アイラ「……まあ しょうがないよね。
誰だって 魔物はこわいもの。
*「ひいっ! ち 近よらないでっ!
*「う〜ふ〜ふ〜ふ〜ふ〜。
神さまも〜精霊さまも〜
魔王には〜かなわなかった〜。
*「むこうに〜ついたほうが〜
利口かも〜知れないわね〜。
うふ〜ふ〜ふ〜ふ〜。
*「おとなは魔物が来るからって
家の外には出ないんだ。
*「でも サザムはすごいよ!
一日に3回。村の中を
パトロールするんだよ!
マリベル「ふふ ちびっこたち
がんばってるじゃない?
アルスも 負けんじゃないわよ。
アイラ「子供たちだけでも 希望を
失わなければ だいじょうぶ。
わたしは そう思うわ。
*「おとなって だらしないんだもん。
あたしたちが この村を守るのよ!
メルビン「……じーん。
メルビン「このような 幼な子がっ。
うっうっ けなげでござる!
ガボ「へへへっ みんなは元気だな!
大人とは 大違いだ。
うんっ オラも元気 出てきた!
リフ「こないだまで おとなたちも
やさしかったのに 今じゃあ
よその人に つらくあたってる。
リフ「魔物や魔王も こわいけど
ぼくは 村のみんなのほうが
ずっとこわいよ……。
メルビン「魔物よりも 人がこわい。
それも ひとつの真実。
メルビン「じゃが 時には 神よりも
たのもしいのが 人間でござるよ。
マリベル「村のやつら 子供まで
おびえさせて どうするってのよ。
どうしようもない バカよね。
アイラ「きっと 平和になれば
元の 明るい村に戻るわよね
アルス。
サザム「よう! おれの子分たちよ!
元気そうだなっ。
サザム「おとなたちは よそものが
あやしいなんて バカなこと
言ってるけど おれは信じない。
サザム「みんなでチカラをあわせなきゃ
いけないっていうのにさ。
ホント しょうがないよな。
サザム「まあ この村のことは
おれさまに まかせとけよ!
マリベル「サザムってば
すっかり いばっちゃって。
マリベル「アルス あんたも
サザムを見習って 少しは
しゃんとしなさいよ。
ガボ「さっすが サザムだよな。
オイラたちも がんばろうな!
アルス!
メルビン「しかし どうしても
子分というのは 納得がゆかんで
ござるが。むう。
マリベル「なによ アルス。
こんな時に カジノで
遊んでいこうっていうの?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
マリベル「あんたって のんきね〜。 |
いいえ |
マリベル「じゃあ こんなとこに |
アイラ「アルス……。
今は カジノで遊ぶより 先に
やるべきことが あるんじゃない?
ガボ「魔王と 戦う前に カジノで
遊んでくのか?
アルスも 好きだなあ。
メルビン「今は こんなところで
遊んでいる場合では ないでござる!
メルビン「……と言いたい所でござるが
アルスどのが 遊びたいならば
少しくらいは いいでござるかな。
*「われわれは コスタール王の命で
この町を 守りに来たのだ。
*「こんな時に カジノに
遊びに 来たのか?
旅の者は 気楽で いいな。
マリベル「なによ アイツ!
あたしたちが どこで 何しようと
あたしたちの勝手でしょ!
*「ここは コスタール。
世界中から 旅人たちが
おとずれる 港町だ。
*「しかし 魔王の恐怖に おびえ
旅人も めっきり 少なくなって
しまったよ。
*「ついに この武器をとって
戦うときが 来るのか……。
*「神父さまったら
どうかしたのかしら……。
*「最近は 教会の ご自分の机の下で
ごそごそ なさったりして
様子も おかしいですし…。
*「消し去られた国の人々は
きっと 神の正体を
知っておったのじゃろうな。
*「魔王め なんと
ずるがしこいヤツなのじゃ!
ガボ「へえ。 落とされた人たちは
みんな アイツが 魔王だって
知ってたのかあ。
ガボ「すげえなあ。
オイラなんて ちっとも
気づかなかったぞ。
マリベル「まあ あたしは たしかに
あの神さまは うさん臭いなって
最初から にらんでたけどね。
*「ララ〜 魔王を たおせ〜
やっつけろ〜 ぶちのめせ〜
ラ〜ララ〜。
*「このうたを 聞いて
魔王を やっつけようって人が
あらわれないですかねえ。
メルビン「むう。歌詞こそ つたないが
あの歌をきいていたら なんだか
やる気が 出てきたでござる。
マリベル「ひっどい 歌ねえ。
あんなんじゃ 魔王と 戦おうって
気力も 失せちゃうわ。
*「魔王軍が いつ
攻めてくるかと 思うと
ビクビクものですよ!
*「神は…… まことの神は
おられないのでしょうか?
*「魔王を たおし 世界を
すくってくれる 神は……。
*「国へ もどりたいけど
こんな状況じゃあ 帰るに
帰れないよ。
*「くそっ
カジノなんかに 遊びに
来るんじゃなかった!
*「話しかけないでくれ。
おれは 眠っていたいんだ。
*「ひと眠りして 起きたら
きっと……。
マリベル「やあねえ。
現実から にげちゃってさ。
マリベル「アルス。
あんなの 相手にするだけ
時間のムダよ。ムダ。
アイラ「いくら 眠っていたところで
今のこの現実は 変わらないわ。
アイラ「ねえ アルス。
わたしたちは この現実を
変えるべく 努力しましょうよ。
*「なんてこった!
オレが カジノで
もうけられたのは……
*「神じゃなくて 魔王の
おかげ だったってのか!
マリベル「神だろうと 魔王だろうと
もうかったんだから それで
いいじゃない。
*「神……いや 魔王か。
魔王に 消し去られた島は
ぶじに もどったらしいな。
*「だが 今のこの地には 魔王が……。
はたして もどったことを
よろこんで いいのだろうか。
マリベル「少なくとも あたしは
もどってきて よかったわ。
マリベル「そうでなきゃ 魔王と
戦うことも できないもんね。
ガボ「オイラは あんな暗いとこに
いるより こっちにいた方が
いいと思うぞ。
*「そりゃ 魔王だったら
カジノをやめろ なんて
いわないよなあ……。
*「おう 武器を おもとめかい。
いいぜ じゃんじゃん
買ってってくれ!
(武器屋)
*「うちの防具が 魔王相手に
役に立つか わからないけど……
よかったら 買っていってくださいな。
*「あっ あなたがたは!
ごぶじそうで なによりです。
*「そうだ あなたがたなら!
あなたがたなら 魔王を
たおせるんじゃないですか!?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
*「そうですよね! |
いいえ |
*「すみません 勝手なことを |
*「すやすや……。
*「戦いの前に ハラごしらえだ!
まってろよ 魔王め!
メルビン「ほほう。
世の中 まだまだ きがいのある者も
いるもんでござるな。
メルビン「これは われわれも
負けておれんでござるよ。
*「あんたたちも なにか
食べてくかい?
*「タダで いいよ。
どうせ 客なんて 来ないんだから。
*「神さまの正体が
魔王だったなんて……。
*「客足も 遠のいちまったし
魔王め ゆるさーん!
って 気分ですよ。
*「ダーリン 私たち
魔王に やられて
死んじゃうのかな?
*「でも 死んでも
きっと 天国で いっしょに
くらせるよね?
*「ボクには 彼女を
守れるような チカラはない。
*「どうせ 死ぬのなら いっそ……
いや…… でも……。
*「カジノで きずいた
この財産を どうやって
守れば いいのか……。
*「まずは 戦士を やとって……
それから 地下に 部屋を……。
*「どんな手段を とったって
相手は 魔王ですのよ!
*「それよりも どこか
遠くへ 逃げましょう あなた!
アイラ「遠くへ にげるって いったい
どこへ にげるつもりかしら?
アイラ「世界中の全てが 魔王という
危機に さらされているのに……。
*「せめて 子どもだけでも
たすけたいんだけど……
どうしたら いいのか……。
*「ぐうぐう……。
*「どうしよう……
カジノに 来たは いいけど
遊んでる場合じゃ ないよなあ。
*「ここも さびしく
なっちゃったわねー。
仕事 かえようかな。
*「あっ いらっしゃい!
ひさしぶりの お客さんだ。
ゆっくり していってね。
*「北の大灯台の 聖なる種火は
コスタール王が 守り抜いたと
いう話です。
*「さすが コスタール王
先見の明が おありのようです。
*「神さま 神さま どうぞ
私たちを おすくいください……。
*「この炎には 神さまのチカラが
宿ってるんですよね?
*「だから この炎に祈れば
ほんとうの神さまに 通じると
思うんですよ!
ガボ「あれっ?
ここの灯台の炎って たしか
ふつうの火なんじゃなかったっけ?
*「海から 攻めてくるかも
しれないからな。
見張りを かかせないよ。
*「はぁ…… ヒマねえ。
すっかり お客さんも
少なく なっちゃって……。
*「ムリないわよね。
魔王なんてものが ドーンと
あらわれちゃったらねえ。
メルビン「それでは 彼女のためにも
ひとつ 遊んでいくでござるかな。
*「こんなときだからこそ
カジノで遊んで 不安を
ふきとばしたいんです。
*「ほっといて ください……。
*「さあさあイヤなことは
カジノで遊んで パーッと
忘れちゃいましょう!
アイラ「パ〜ッと 忘れてる場合じゃ
ないと 思うんだけど……。
*「お おれか?
おれは このカジノを
守りに 来たんだ。
*「けっして 遊びに
来たわけじゃ ないぞ!
*「あら あなたがたは
特別会員の方ね。じゃあ
パフパフしましょうか?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
*「じゃあ 目をつぶっていてね。 *「じゅんびは いい? *「どうだった? 私のラッパ。 *「お客さんの運が あがる |
いいえ |
*「あら パフパフしないの? |
マリベル「アルス。
アンタ もっと なにか 別のこと
期待してたんじゃない?
マリベル「ホントに アルスって
むっつりスケベよね。
*「魔王は 島や大陸を
しずめるだけの チカラを
もっているんじゃぞ。
*「わしら 人間が
かなう相手じゃ ないんじゃよ。
マリベル「ああ もう 弱気ねえ。
そんなの やってみなくちゃ
わかんないじゃない!
マリベル「アルスも そう思うでしょ。
*「いよいよ あたいの出番が
やってきそうだね。
*「とは いっても 魔王軍相手に
あたいに なにが できるか
あやしいもん だけどさ。
*「にゃん にゃん!
*「にゃ〜ん。
マリベル「へ〜え。
ここが 聖なる種火が あるっていう
大灯台なんだ。
ガボ「兵士のおっちゃんたち
少ない人数で よく ここを
守ってるもんだなあ。
メルビン「どうやら 聖なる種火は
まだ 無事のようでござるな。
安心したでござるよ。
アイラ「ここの 聖なる種火が
なかったら わたしたち いまだに
あの闇の世界に いたのかしら?
*「コスタール王の命により
一般の方の 立ち入りは
禁止と なっております。
*「どうしても 入るというなら
止めは しませんが……。
*「われわれは 魔王の手から
聖なる種火を 守っています。
*「今まで 何度か 魔物に
おそわれましたが すべて
追い返して やりました。
ガボ「ふへえ。
おっちゃんたち 見かけによらず
やるもんだなあ……。
マリベル「なにも これから 魔王と
戦おうって時に こんな洞くつに
もぐることないじゃない!
メルビン「コスタール王や
ホビットのことを 心配する気持ちは
わかるでござるが……。
メルビン「今 この時は 魔王を
倒すことこそが 先決でござるよ。
アイラ「ねえ アルス。
いいかげん 魔王城に
向かいましょうよ。
ガボ「アルスは コスタール王や
ホビットのこと 心配してるんだな。
*「ここは コスタール城。
コスタールの港の民と
ホビット族のくらす 地下の楽園だ。
*「しかし 今は 魔王軍の
侵攻に そなえて 守りを
固めて いるのだ。
*「ここは われわれ兵士の詰所。
お客人の来るところでは
ありません。
*「いざとなったら おれだって
武器をとって 戦うさ。
*「妻と子を 守るのは
夫として 当然のことだろう?
*「王さまは このことを
予見して おられたに ちがいない。
*「だからこそ わが国は
すばやい対応を とることが
できたのだ。
アイラ「へえ。
コスタール王って 本当に
大した人だったのね。
メルビン「さすがは コスタール王
見事な対応でござるよ。
*「大地を 消し去ったのは
やはり 神などではなく
魔の者の しわざであった。
*「さすが わが王
いち早く 神の正体を
見抜いて おられたのだな。
*「魔王が いるってことは
氷づけの海賊船の 呪いも
まだ とけてないのかなあ……。
ガボ「そっか。 みんな まだ
マール・デ・ドラゴーンが
復活したって 知らねえんだな。
長老「コスタール王を 信じた
わしの目に 狂いは なかったな。
長老「じゃが 問題は これからじゃ。
魔王という存在を どうすれば
いいのか わしには わからんよ。
*「あたいも いちおう戦士だからね。
この部屋は あたいが守るよ。
*「なんで 魔王は 神になんて
化ける気に なったんだろうねえ。
*「そんな まわりくどいことを
しなくたって いいだろうに。
姫「あたしが思うに 魔王は
人々を ゆだんさせておいて
いっきに やるつもりだったんじゃ。
姫「あるいは 希望を あたえておいて
絶望に たたき落として 人々の
気力を そごうとしたのかもな。
メルビン「さすがは コスタールの姫君。
なかなかの 名推理でござるな。
メルビン「まったく この国の王族は
じつに 賢明な方ばかりでござる。
*「ぐうぐう……。
*「保存食は たくさん 作ったわ。
しばらくは 外に出なくても
暮らしていけるわよ。
*「私の目を見ろ。
*「……ふむ。
どうやら 魔物が化けて
いるのでは なさそうだな。
*「どんなに うまく化けても
目を見れば わかる。
魔物の目は にごっているからな。
マリベル「あら? あたしが あまりにも
人間ばなれして 美しいから
魔物と うたがわれちゃったのね。
*「コスタール王の 玉座の間へ
ようこそ! 旅の方は いつでも
かんげい いたします。
*「なにが おころうとも
コスタール王は われわれが
お守りいたします!
*「なるほど 魔王だったのであれば
大地を人間ごと 消し去ることに
なんの ためらいも ないハズ。
*「おそろしい 相手ですが
われわれは ぜったいに
あきらめたりは しませんよ!
*「よりによって 神が
魔王だったなんてねえ。
*「これは ちょっと
あたしには 予想も
できなかったよ。
*「最近の父上 ピリピリして
ちょっと こわいんだ。
*「魔王っていうのと どっちが
こわいかなあ。
*「ここだけの話だが……
*「魔王が 本気を出したら
このコスタールの兵士たちなんて
相手にも ならないんだろうな。
*「すう すう……。
*「神の曲が 作れなかったのは
私に才能が なかったからじゃ
なかったんですね。
*「正体が 魔王だったんじゃ
誰だって ムリですよ!
*「わが王の おちゃらけた
ことばづかいを ここしばらく
聞いていない。
*「はやく 平和を とりもどして
いつもの王に もどって
いただきたいものだ。
ガボ「そうだよなあ。 オイラも
おちゃらけた王さまのほうが
好きだったぞ。
アイラ「それじゃ おちゃらけた王さまに
もどっていただくために
わたしたちも 戦いましょうか!
*「わが コスタールは
魔王に対するべく 用意を
ととのえて いるところだ。
*「だが こちらから
うって出るだけの 戦力は
とても 集まりそうにはない。
王「そなたたちか。
見ての通り わが国の守りは
できるだけ 固めてあるが……
王「魔王の軍勢に 対して
どれだけ 効果があるのかは
わしにも わからぬ。
王「もしかしたら すべて
むだなことなのかも しれぬ。
王「……そなたたちは 行くのだろう?
魔王のもとへ。
魔王を たおすために。
王「わしは 何もしてやれぬが
ここで 祈っておるよ。
そなたたちの ぶじをな。
メルビン「さすがは コスタール王。
われらの目的も すでに
お見通しだったようでござる。
王妃「王さまは 神の城で 初めて
会ったときから 神の正体に
それとなく 気づいたのでしょう。
王妃「とはいえ 私たちのチカラでは
この国を 守るので せいいっぱい
なのです。
*「北の大灯台は すでに 何度か
魔王軍に おそわれたらしい。
*「しかし われらの仲間が
なんとか しりぞけたようだ。
*「武器や防具を 売るなって
ニセの神さまが いったのは
どうしてかしらね。
*「魔王も 自分の仲間の魔物が
たおされるのは イヤなのかしらね。
*「なんと 神の復活が
魔王の まやかし だったとは!
*「知らなかったとは いえ
多くの者が 魔王を神と
あがめたことでしょう。
*「ひょっとすると 魔王は
それで チカラを 高めようと
していたのかも しれませんね。
マリベル「そうかしら?
それって 深読みしすぎじゃない?
マリベル「あたしは 魔王って たんに
チヤホヤされてみたかっただけだと
思うんだけど……。
*「ここから先は 光ゴケの入り江に
むかう 洞くつです。
*「われらの太陽 光ゴケのおかげで
こうして 洞くつでも
暮らすことが できるのです。
*「そして 光ゴケが この世にあるのは
はるか昔の 旅の勇者の
はたらきの おかげとか。
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