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*「おお アルスどの!
もしや そこに 連れているのは
伝説の弾き手では?
ヨハン「伝説の お人だか なんだか
しらないけどさ ついて来いって
いうから 来たんだよ。
ヨハン「オレなんかが 役にたつとも
思えないけどさ。
*「ふむ…… なかなか 気むずかしい
弾き手のようですな。
わっはっは。
*「そういえば かつての名手
ジャンという お方も かなり
気むずかしい 男だったとか。
*「こりゃ 確かな 血すじの
ようですな。
ささ お入りください。
*「これは 思ったより 早く
弾き手が 見つかったようですね。
*「さあ おそれることは ないよ。
弾き手の血を うけつぐものや
わしに カオを 見せておくれ。
ヨハン「なんだい ばあちゃんが
ここの 族長さまかい?
*「ほっほっほ! なかなか
クチの悪い子ですね。私は
族長じゃ ありませんよ。
*「族長を はじめ 一族の者は
今ごろ 神の祭壇の湖に テントを
はっているころじゃろう。
*「私は このとおり 足も悪いし
おいぼれですからね。
*「ここで 儀式の成功を 祈ることに
したんですよ。何か 起きれば
心の目で 感じることができます。
*「さあ 皆さんも 出発なさい。
神の湖は 西の大陸の山をこえた
向こう。
*「どうか 神の儀式が 無事に
とり行われ 神が
復活されますように。
ヨハン「ん〜?
今度は その湖に 向かうってかい?
いそがしい連中だなあ。
ガボ「よっしゃ。
それじゃ 祭壇のある湖まで
行くことにしようぜ。
アイラ「おばあさまは だれよりも
神の復活を 待ち望んでいたのよ。
アイラ「早く 神を 復活させて
よろこばせてあげたいわ。
メルビン「この世界に いよいよ
神が 復活なさるのでござるな。
メルビン「さすがの わしも
コーフンしてきたでござるよ。
*「西の大陸へ 出発されますな?
大ばばさまのことは ご心配なく。
私が ここで お守りしますから。
*「神の祭壇の湖は 西の山脈の
洞くつを こえた さらに向こう。
道中 お気をつけて。
*「おおっ? アルスさんじゃないか!
いや たまげたよなあ。伝説の
神の湖が 本当に 存在したとは!
*「ん? その後ろの兄さんが
かかえてるのは
大地のトゥーラ じゃないか?
*「ということは ついに
見つかったんだな!
伝説の弾き手の 子孫が!
*「おっと こうしちゃ いられねえ!
さあ 早く 族長さまのところへ!
*「族長さま! アルスさんが
伝説の弾き手を つれて
きてくれましたよ!
族長「おお なんということじゃ!
族長「この湖が 見つかったばかりか
つづいて 弾き手まで
現れるとは!
ヨハン「またまた ずいぶん
大げさな じっちゃんだなあ!
ヨハン「こんなに かんげいされるとは
オイラこそ おどろきだって〜の!
ヨハン「とにかく このトゥーラを
弾けばいいってんで ここまで
ついてきたんだけどさ。
ヨハン「どうだい?
さっそく 始めるのかい?
族長「………………。
おっと これは 失礼。
族長「いや お前さんが わしの
想像していた人物と あまりに
ちがうので ひるんでしまったわ。
族長「お前さん 本当に
伝説の弾き手かえ?
ヨハン「なにい〜!? 失礼な
じっちゃんだな! うたがうんなら
オイラ 帰っちゃうぜ。
族長「ああ こりゃ 待たんかい!
気の短いやつじゃのう。なにも
信じないとは 言うとらんじゃろが。
族長「うむ…… ごほん! 弾き手が
見つかったならば すぐにも
儀式といいたいところじゃが……
族長「これ ごらんの通り 祭壇は
湖の底に しずめられておる。
族長「ともかく まずは この湖の水を
引かなくては……。それには
アルスどのの協力も 必要じゃ。
族長「じゃが その前に ここまでの
旅で つかれたじゃろう。せめて
今夜は テントで 休むがええ。
ヨハン「やれやれ アルスたちに
つきあわされて オイラ もう
クタクタだよ。
ヨハン「オイラは 芸術家だから
デリケートなんだよ〜。
なあ もう 休んじまおーぜ。
ガボ「ふああ……。
オイラ もう今日は 疲れたよ。
アルス〜 休もうぜ。
アイラ「神の祭壇も 伝説の弾き手も
見つかったことだし
なにも 急ぐことはないわね。
アイラ「ねえ アルス。
今日のところは 休みましょうよ。
メルビン「湖の水を 抜くなんて
どうすればよいのでござるかな?
*「あわわわわ……!
まさか 本当に 儀式を
やることになるとは……。
*「伝説が 本当だとは
信じてなかったので あまり
笛の練習を してないんですよ。
*「もし 儀式で 失敗したら
どうしましょう? ねえ あなた。
ヨハン「おいおい 大丈夫なのかよ?
せっかくの オイラの演奏も
バックが ヘボじゃあ 台無しだぜ。
メルビン「自業自得とはいえ それで
復活の儀式が 失敗したりしたら
たいへんでござる。
メルビン「彼には 今から てつやで
笛の練習を してもらうがよかろう。
アイラ「まったく もう!
しっかりしてほしいわね。
こっちまで 不安になるじゃない。
*「ねえ 知ってる?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
*「へえ〜 さすがだね。 |
いいえ |
*「湖の水を引く しかけを とくには *「アルスさんたちが 洞くつへ |
いいえの場合
ガボ「ふふ〜ん。
オイラは 知ってたもんね。
アイラ「へえ。大地の鈴って
ただのお守りかと 思ってたけど
そんな役目が あったのね。
*「あれまあ おどろいた!
ほら 見てごらんよ あの
湖底の 祭壇を。
*「あんなふうに 湖にしずめるなんて
よほど たいせつな
祭壇ってことだったんだろ?
*「こりゃ 神さまが 復活されるのも
本当のようだね。
ヨハン「へ〜え。あの祭壇が
オイラの ステージになるのかよ。
まあ 悪かぁないよな。
ガボ「昔 見た時も そう思ったけど
やっぱり フシギな湖だよなあ。
メルビン「この神秘的な 空気…。
ふむ やはり 神は あの祭壇に
おわすでござるよ。
アイラ「あの祭壇を 作ったのは
わたしたちの 祖先だっていうけど
どうやって 作ったのかしら?
アイラ「見れば 見るほど
ふしぎで 神秘的な光景だわ。
*「いきなり 大陸が 現れたときは
びっくりしたけど じっさいに
ここに 来てみたら……
*「なんだか 昔から ここに
あったみたいな ふしぎな
なつかしさを 感じるのよね。
メルビン「フ〜ム。たしかに
この光景は ふしぎな落ち着きを
感じさせるでござるな。
アイラ「そう言えば わたしも
なんだか なつかしさを感じるわ。
どうしてなのかしら?
*「本当に 神さまを
復活させるなんて なんか
すごいことに なってきたよなあ。
*「まあ オレは アイラの
情熱的な踊りが 見られるだけでも
うれしいけどさ。エヘヘ。
ヨハン「やれやれ まったく
こまった 兄ちゃんだな。
ヨハン「オイラが 弾き手として
来たからには 曲のほうも
ちゃんと きいてほしいもんだね。
アイラ「彼 いつも わたしの踊りを
いやらしい目つきで見るのよ。
アイラ「まったく やになっちゃうわ。
メルビン「なんと!
それは ふとどきなヤツでござるな。
許せんでござるよ。
アイラ「……メルビン あなたもよ!
*「神の封印された祭壇があるって
伝説は 本当だったんだな。
*「これで 神を 復活させたなら
この世は 本当の平和を
手に いれることになる。
*「オレたちの旅も ついに
終わるときが くるのか。そして
アルスたちの 旅もな。
ヨハン「本当の平和ねえ……
今でも じゅーぶん 平和だと
思うんだけどな。
ヨハン「ま オイラにとっちゃ
トゥーラが 思う存分 弾けりゃ
それで オッケーさ。
メルビン「神とともに 魔王に挑み……
石にまで封印されて 数百年……
思えば 長い旅路でござった。
ガボ「神さまが 復活しちまったら
それで オイラたちの旅は
終わっちまうのかあ……。
ガボ「なんだか ちょっと
さびしいよなあ。
アイラ「わたしたちは 神の復活という
使命のために 生きてきたわ。
アイラ「神が 復活した時
ユバールの民は いったい
どうなってしまうのかしら?
*「神さまを 復活させるなんて
たいへんな 役目だけど……
*「やっと アイラの本気の踊りが
見られることになって
うれしいわ。
*「伝説の弾き手さん。アイラを
思いっきり 躍らせてあげてね。
しくじったり しないでよ。
ヨハン「はん! オイラのトゥーラは
いつだって ビンビンだぜ!
ヨハン「オイラのえんそうを きいて
ほれるなよ! おじょうさん。
ヨハン「オイラが トゥーラの演奏で
しくじるわけないだろ。
なあ アルスも そう思うよな?
メルビン「ほ 本気の踊りでござるか。
……ゴクッ。
そ それは楽しみでござるなあ。
アイラ「別に わたしも 今まで
手を抜いて 踊ってたわけじゃ
ないんだけど……。
アイラ「でも いよいよ その時が
来たのね。
*「この洞くつの奥に 湖の水を引く
しかけが あるらしいんだけど
なんと 中に魔物がいるんだよ!
*「で 二の足 ふんでたんだけどさ
アルスさんたちなら
大丈夫だよな。
*「今日は ゆっくり休んで
体力を つけておいてくれよ!
ガボ「オイラたちなら もちろん
洞くつなんて へっちゃらだよな。
でも 今は眠いから 休もうぜ。
アイラ「ねえ アルス。
ここまで来て あせっても
仕方ないわ。
アイラ「今日のところは 族長たちの
言う通り 休みましょうよ。
メルビン「なるほど それで
水を引かせるのに わしらのチカラが
必要というわけでござるか。
メルビン「しかし いまだに
魔物が残っておるとは まったく
油断できんでござるな。
*「この平和な 世の中に
神は 必要ないんじゃないかって
言う人も いるらしいけどさ。
*「平和だからこそ それを 守るために
神は 必要なんだよ。
あたしゃ そう思うね。
アイラ「2度と 魔王のような存在を
許さないように 神さまには
世界を 守ってもらわなくちゃね。
ガボ「神さまが 復活すると
魔物は いなくなっちまうのかな?
それも つまんねえよな。
メルビン「あのご婦人の 言う通り!
神がいてこそ 世界は完全なものと
言えるのでござるよ。
*「ブルルルルル……。
*「ヒヒーン!
*「ブルルルルル……!
ブルッ!
なにやら こうふんしているようだ。
*「なあ 信じられるかい?
この 湖の水を 洞くつのしかけで
引かせることが できるなんて。
*「でも 本当らしいんだよ。
こうして 弾き手も 見つかったし
いよいよ 明日は 儀式だな。
ヨハン「へっへっへ。
明日は バリバリに シビれる
トゥーラの音色を 聞かせてやるぜ。
ガボ「オイラたちは 昔 ちゃ〜んと
水が 抜けるのを 見たもんな。
バッチリ 本当だよ。
メルビン「むむう。たしかに
こんな湖の水が 抜けてしまうとは
にわかに 信じがたいでござるな。
*「明日は いよいよ 神の復活の
儀式と なりそうですね。今日は
そろそろ お休みになりますか?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
*「では ごゆっくり |
いいえ |
*「そうですか。では |
族長「さて ゆうべは
よく 眠れたかの?
族長「わしら一族の中には
こうふんして 眠れなかった者も
おるようだが……
族長「もう 聞いておられるじゃろうが
この湖の水を引くには そこの
洞くつの奥へ ゆかねばならん。
族長「しかし 洞くつには まだ
魔物が巣くっており われわれには
入ることが できないのじゃ。
族長「そこで アルスどのに ぜひ
お願いしたい!
族長「洞くつの 奥の しかけに必要な
大地の鈴は アイラたちに
たくすとしよう。さあ この鈴を!
アルスは
大地の鈴を 手に入れた。
族長「これは われらが神の子の証し。
この鈴を 洞くつの奥の祭壇に
ささげれば 湖の封印がとけよう。
族長「これが アルスどのの
最後の使命になるかも しれんのう。
よろしく たのみましたぞ!
ヨハン「マジかよ〜!
なんで オイラまで アルスたちと
行かなきゃなんね〜んだ?
メルビン「今日こそ……今日こそ
神を 復活させるでござるよ。
アイラ「洞くつの中には
魔物だけじゃなく しかけも
たくさん あるはずよ。
アイラ「アルス くれぐれも
気をつけて 行くことにしましょ。
ガボ「なあ アルス。
さっさと 湖の水 抜いちまって
儀式を 始めてもらおうぜ。
*「今日は いよいよ 儀式か。
そして 神は復活され オレらは
どこへ 帰ってゆくんだろうな。
アイラ「本当に わたしたち
どこへ 行けばいいのかしら?
アイラ「神を 復活させることばかり
考えてて その後のことなんて
考えたこともなかったものね…。
*「ねえ 知ってる?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
*「なあ〜んだ。 |
いいえ |
*「神さまの封印をとく 儀式を *「ひとつは 今 ヨハンさんが *「そして もうひとつは 踊りを *「これは 族長さまが まだ |
ヨハン「この大地のトゥーラってのは
そんな大したモンなのかぁ。
どうりで いい音がするワケだね。
アイラ「清き衣……それを わたしが
まとって 踊るってわけね。
*「あたしらの先祖は かつて
いちど 神の復活の儀式に
失敗したことが あるらしいね。
*「なんでも 時期が
早すぎたとか……。でも 今回は
ぜったい まちがいないよ!
*「なんたって この大陸が
自分から この世界に
現れたくらいなんだからさ。
アイラ「わたしたちの先祖が
前に儀式をした時の 踊り手から
わたしは 名前をもらったのよ。
ガボ「そういや あん時から ずっと
いっしょに いんのは アルスと
オイラだけに なっちまったな。
*「あわわわわ……!
まさか 本当に 儀式を
やることになるとは……。
*「伝説が 本当だとは
信じてなかったので あまり
笛の練習を してないんですよ。
*「やぱり ゆうべの
一夜づけだけじゃ だめですよね?
ねえ あなた。
ガボ「一夜づけ…?
それって おいしいのか?
なあ オイラ お腹すいたよ。
メルビン「むうう。
本当に 大丈夫でござるかな。
*「いきなり 大陸が 現れたときは
びっくりしたけど じっさいに
ここに 来てみたら……
*「なんだか 昔から ここに
あったみたいな ふしぎな
なつかしさを 感じるのよね。
*「もしかして 大陸がないと
思ってたことが 逆に
幻覚 だったりして? まさかね。
ガボ「大陸がないと 思ってたことが
幻覚かも……なんて あのネーチャン
おもしれえこと 言うなあ。
*「アルスさんたちには 本当に
世話に なったな。アイラも
ずいぶん 成長したようだし。
*「湖の水が引いたら オレたちも
神の祭壇へ かけつけるから
気をつけて いってくれよ。
*「まあ あんたたちなら
なにも 心配は
いらないだろうがな。
*「神さまって どんな方
なんでしょうね。なんだか
こわいような 気分ですわ。
*「もうすぐ 神が復活して
オレたち一族の 宿命も
終わるんだ。
*「そしたら やっと 自由になって
彼女と 結婚して どこへでも
ゆくことができる。
メルビン「ほっほっほ。
うらやましいでござるな。
メルビン「どーれ。
彼らのためにも 最後の仕事を
こなすでござるよ。
ガボ「なんか 前にも 同じような
話を 聞いたような気がするなあ。
誰だっけ? アルス。
アイラ「わたしは 使命を 終えて
自由になったら 何をしようかしら?
もうずいぶん 旅もしたし…。
ヨハン「うう。
オイラは あらっぽいことは
苦手なんだよ。
ヨハン「アルスよう。オイラを
しっかり 守ってくれよ。
アイラ「湖の水を抜く しかけを
大地の鈴で 動かせば
いよいよ 次は復活の儀式ね。
ガボ「そういや この洞くつって
いろいろ しかけがあったよな。
オイラ すっかり忘れてたよ。
メルビン「神よ……
今しばらく お待ちくだされ。
目覚めの時は もうすぐでござるぞ。
アルスは 石碑を調べた。
石碑には なにやら
古代文字のようなものが
きざまれている。
しかし 石碑は あまりに
古びて 文字も かすれており
読むことは できなかった。
ガボ「これって 昔は なんて
書いてあったっけかなあ?
オイラ すっかり忘れちまったよ。
神聖な つららの 祭壇がある。
大地の鈴を ささげますか?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
アルスは 大地の鈴を |
いいえ |
(何も起こらない) |
アイラ「地上に 出れば いよいよ
復活の儀式……。
さすがに ドキドキしてきたわ。
ガボ「よっしゃ。
もう 水は 抜けたはずだから
早く 地上に 出ようぜ!
*「あっ! アルスさん ご無事で!
皆も もう 先に 神の祭壇の方へ
いっています。
*「さあ どうぞ こちらへ!
ヨハン「よっしゃあ。
オイラのハートは ビンビンだぜぃ!
ヨハン「あんたたちに サイコーの
演奏を きかせてやるさ。
メルビン「ほほう。
これは 見事な祭壇でござるな。
さすがは 神のおわす場所でござる。
アイラ「この祭壇を見たら
わたしも 覚悟が 決まったわ。
アイラ「これまでの 最高の踊りで
神さまに 復活していただくわよ。
ガボ「水が引いた後の 祭壇を
見るのは 久しぶりだなあ……。
やっぱり すごく でっけえや。
*「アルスさんたち おつかれさま。
族長さまが お待ちですわ。
さあ どうぞ 祭壇の方へ。
*「やあ アルスさんたち
おかげで 水が引いて
この通りさ。ありがとう!
*「皆も もう 祭壇の方で
儀式のじゅんびを してるぜ。
*「わくわく……
早く 神さま 復活しないかなあ!
*「はあ〜 たいした祭壇だねえ。
こんなものが 湖の底に
封印されてたなんて……。
*「いよいよ アイラの踊りが
見られるなんて オレは
うれしいよ!
*「そこのあんたも しっかり
えんそう してくれよ。
ヨハン「けっ! にいちゃんからは
スケベそうなにおいが プンプン
するなあ。
ヨハン「オイラのえんそうは そりゃあ
ビンビンに 神聖なものなんだよ。
かんちがいすんなよな。
ヨハン「オイラとしては
アイラの踊りが オイラの演奏で
かすんじゃわないかが 心配だね。
アイラ「あら 言ってくれるわね。
あなたこそ わたしの踊りに
見とれて 失敗しないでよ!
ヨハン「へっ その 鼻っぱしらの強さが
たまんないね! よっしゃ
気分が のってきたぜい。
メルビン「わしも アイラどのの踊りが
見られるのは 楽しみでござる。
メルビン「も もちろん スケベ心など
みじんもないでござるよ。
ガボ「オイラも アイラの踊りが
見られるのは 楽しみだぞ。
*「いよいよ 神さまが
復活されるんだねえ!
*「あたしゃ こんなふだん着で
はずかしいよ。
メルビン「神は われらの衣服が
ふだん着だろうと ドレスだろうと
気になさりはしないでござるよ。
*「神さまは どんなお酒が
好きかしら?
*「もし これからは 神さまに
お仕えすることに なるなら
おぼえておかなくっちゃね。
ガボ「へえ。神さまも 酒を
飲むのかあ。 じゃあ やっぱり
神さまも よっぱらうのかなあ?
*「オレたちの 祖先は いったい
どうやって こんな 祭壇を
作ったんだろうな?
*「まるで 神ワザとしか
思えないが…… はっ! そうか!
神が ご自分で 作ったのか!?
*「いよいよね アイラの本気の踊り
見せてもらうわ。ヨハンさん
思いっきり 踊らせてあげてね。
ヨハン「はっはっは!
オイラのえんそうを きいて
ほれるなよ! おじょうさん!
*「練習不足で 不安だったけど
いざ その場に なってみると
意外と おちつくもんですね。
*「うん 思いきって吹けば
いい 笛の音が 出せそうですよ。
ねえ あなた。
ガボ「フエの兄ちゃん ちょっと
あぶない目つき してたぞ。
大丈夫かなあ。
メルビン「ほほう……。
人間 いざとなれば 根性が
すわるものでござるな。
アイラ「どうやら 心配なさそうね。
やっぱり こういう時は
思いきりが たいせつだわ。
*「神が 復活したら アルスさんの
旅もおわるんだろ?
*「そしたら 父さんや母さんのもとに
もどって よろこばせて
あげるんだぜ。
*「故郷が あるってのは
本当に いいもんなんだからさ。
ヨハン「これが終わったら
世界中を トゥーラを弾きながら
旅するってのも いいよなあ。
ヨハン「かっこいい 美人の
おねえちゃんが 一緒なら
なお 最高だぜ。
メルビン「わしは これが終わったら
むろん 神にお仕えするでござるよ。
ガボ「オイラは これが終わったら
きこりの おっちゃんのとこに
住むことにしようかな。
アイラ「故郷か…。 そういえば
わたしたち ユバールにとっては
世界中が 故郷みたいなものかしら。
族長「おお アルスどの! アイラ!
そして みなさん。ここまで
本当に ごくろうさまじゃった。
族長「こうして 神の復活の儀式が
おこなえるのは まさに 皆さまの
おかげじゃ。
族長「おそらく この世界には
アルスどのの はたらきを
知らぬ人も 多きことじゃろうが……
族長「わしは そのすべての人々に
かわって 心より 礼を
申し上げたい!
族長「アルスどの そして みなさん
本当にありがとう! あなた方こそ
真の 神の子かもしれんのう。
族長「さて…… いよいよ 儀式を
始めたいと 思うが その前に
アイラに これを。
族長「これは ご先祖さまより
代々 あずかってきた 清きころも。
族長「神の踊りを踊る 巫女が
身につけるべきものじゃ。
持っている場合
族長「おや? なんと! すでに
清きころもは もっておったのか?
族長「そんな ばかな…… わしらの他に
その衣を もつ 人々なぞ……
族長「ぞうか! まさかと思ったが
古文書にあった 神の一族の
生き残りが おったのか!
族長「すると アイラは その方がたとも
会ったというのだな? ふむ……
まこと いい経験を したものよ。
族長「アイラよ 一族の想い
いや 世界中の人々の想いを
こめた 踊りを 期待しておるぞ。
族長「かつて われらの 先祖は
儀式に しっぱいしたとの 記録が
残っておる。
族長「それは 大地のトゥーラが
金色にかがやくとき との
言い伝えを よみまちがったため。
族長「金色にかがやくとき とは
おそらく この夕日を 照りかえし
黄金色に かがやくとき……。
族長「わしらは そう理解した。
さあ アイラよ。そして ヨハンよ。
今こそ 儀式のときじゃ!
族長「いざ 始めようではないか!
われらの声よ 永き時を眠る
神に とどきたまえ!
ヨハン「あれ? な なんだよ。
なんにも おきねえじゃ……
*「な な なんだったんです?
いったい!
*「ああっ!?
あれは なんだ!?
族長「こ これは…… 神よ
あなたが 神ですか?
おお…… わたしは どんなに
この時を まちわびたことか。
わたしは 神。この世の
あらゆるものを 創造し
見まもる 全知全能の神。
わたしは 目覚めた。
わたしの子どもらよ。もう
迷うことはない。
そなたらの 運命は これで
平和なこの世に ゆだねられた。
この世の すべての 悪しきものは
消しさらねばなるまい。
わたしは 神。
この世の すべてを つかさどるもの。
メルビン「おお…… 神よ!
どんなに 再会の この日を
待ちわびたことか!
メルビン「神よ! 永き眠りの中で
お忘れか!?
わしは メルビン。
メルビン「かの たたかいの後
神の封印により この世に 命を
たくされた者でござる!
メルビン「神よ! かつて ともに
戦いし 邪悪の者が ついに
ほろんだことは ご存知であろう。
メルビン「これからは 神に 仕え
この平和な世を まもって
ゆけるのでござるな?
メルビン…… そうか メルビンか。
とても なつかしい 名じゃ。
むろん おぼえておるとも。
メルビン…… そなたを
忘れようはずもない……。
わたしが 目覚めたからには
この世のため つくさねばならぬ事が
おおいに ある。
そなたたちには のちほど
わたしの言葉を伝える
つかいの者を 送るとしよう。
それまでは おのおの
故郷の地へ もどり この平和を
喜びあうがいい。
アイラ「ああ びっくりした!
爆発のしゅんかん
もうだめかと 思ったわよ!
ヨハン「まったく…… けっこう
あらっぽい 復活だったよな。
あれが 神さまか……。
族長「いや まさに 神のお姿は
わしの想像を こえて
おいでじゃった……。
族長「あの 大いなる お姿は
きっと 世界中の人びとの目にも
とどいたことであろう。
族長「そして これで わしら一族の
使命は終わりじゃ。神の おわす今
わしらは 自由の身となった。
族長「これより先は ただ 人びとの
心の平和を いのりつつ
どこへなりと 旅立つとしよう。
族長「……アルスどの。
アイラを よろしく
おたのみ申します。
アイラ「ぞ 族長さま!
どういうこと!?
族長「ほっほっほ。アイラよ。
お前は もう アルスどのの
大切な 仲間であろう?
族長「それに お前には
もう 帰るところが
あるではないか。
族長「お前を かわいがってくれる
王のいる グランエスタード。
族長「神の復活は 世界中の人々にも
感じられたはず。
族長「今ごろは きっと 皆さんの
故郷の人々が 帰りを 心待ちに
しておられるはずじゃ。
族長「さあ ゆくがいい!
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