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ガボ「早く 神さまを復活させて
どんな姿なのか 見てみてえな。
アイラ「どうしたのかしら?
なんだか みんな 妙に
そわそわしてるみたい……。
メルビン「むう?
何やら そうぞうしいが
何事でござる?
*「おお! よくぞ もどられた!
*「いや なんといえば いいか……
とにかく 奇跡がおきたというか……
*「まあ ともかく
族長さまのテントへ!
*「西の大陸が復活して そこに
本当に 神の祭壇があったら
いよいよ 神の復活の儀式。
*「そしたら やっと アイラの
本気の踊りが 見られるのね。
楽しみだわ。
メルビン「ほ 本気の踊りでござるか。
……ゴクッ。
そ それは楽しみでござるなあ。
*「なんでも 北西の島国で
音楽家のつどう 大会が
行われるらしいぜ。
*「トゥーラ弾きも 音楽家だから
そんなところに 伝説の弾き手も
現れたりしてな。
ガボ「北西の島……?
ガボ「なあ アルス。
北西って どっちだったっけ?
アイラ「音楽大会か……。
そんなものが 開かれれば
ウデのいい 楽士も集まるかしら。
*「ねえ ねえ 見た?
海の向こうに でっかい大陸が
できたんだよ! すごいや!
*「西の大陸が 復活したってことは
そこに 神の祭壇があれば
言い伝えは 真実になるな。
*「そうなると あとは 伝説の
弾き手を さがして 儀式を
とりおこなえば……
*「おい おい 本当に 神さまが
復活されるのか? なんだか
むしゃぶるいが 出そうだぜ。
ガボ「前ん時は まだ
その時じゃねえってことで
儀式 失敗しちまったもんな。
ガボ「今度は 魔王も いねえことだし
きっと 神さま 復活するぞ。
メルビン「後は 伝説の弾き手さえ
見つければ いよいよ アイラどのの
踊りが 見られる……。
メルビン「……あ いや!
神が 復活なさるのでござるな。
アイラ「あと少し……あと少しで
わたしたち ユバールの民の悲願が
果たされるんだわ。
*「ええと…… 旅の荷物は
これでよかったかねえ。昔は
旅にも なれてたんだけど……。
*「伝説の弾き手は まだだけど
とりあえず あの大陸へ
行ってみることに なりそうよ。
*「そうなれば 旅立ちの前の
うたげの じゅんびを
しておかなくちゃね。
ガボ「ユバールって 何かっていうと
すぐに 飲んで 歌って
さわぐよな。
ガボ「みんな お祭り好きなのかな?
メルビン「うたげとは 大いに
けっこうでござるな。
では われわれも いっしょに……。
メルビン「……っと さすがに
そんなことを している場合では
なかったでござるな。
メルビン「早く トゥーラの弾き手を
見つけ出さねば……。
アイラ「祭壇が 発見できそうなのに
弾き手が 見つからないんじゃ
カッコつかないわ。
アイラ「さあ アルス。
なんとしてでも 伝説の弾き手を
見つけ出すわよ。
*「わしらは ひとあし先に
神の祭壇で 儀式のじゅんびに
とりかかるつもりだ。
*「伝説の弾き手が 本当に
見つかってくれると
いいんだがな。
*「この子たちに ブラッシングするのも
久しぶりだねえ。さあ きれいに
しなくっちゃ。
*「ああ もう みんな
のんびりしてるんだからなあ!
*「ま オレだって いままでは
伝説のことを 心から
信じては いなかったけどさ。
*「あんなふうに 大陸が現れるのを
見せられちゃあ 神の言い伝えも
信じたくなるよな。ねえ。
*「うちの人ったら 最近 ちっとも
笛の練習を しようとしないから……
儀式で ちゃんと 吹けるのかしら。
*「かつて 魔王が 世界中を切り取り
封印したという伝説が ありました。
*「そして その封印された国々を
勇者が救ったという伝説も また
語られていました。
*「もしや アルスさんたちは
その伝説と なにか関係が
あるのでは ありませぬか?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
*「やはり そうでしたか……。 |
いいえ |
*「そうですか……。それでも |
メルビン「わしは 伝説の英雄などと
呼ばれておったが……。
メルビン「まことの 英雄の称号は
アルスどのにこそ
ふさわしいものでござったな。
アイラ「今にして 思うと
昔話で聞いていた 伝説の勇者って
アルスのことだったのよね。
アイラ「わたし ホントに
すごい体験を してきたのね……。
ガボ「どうしたんだ アルス?
ひょっとして テレてんのか?
族長「おお よくぞもどった!
今まさに 旅立ちの 話し合いを
しておったところじゃよ。
族長「お前さんたちも 見たかもしれんが
なにも なかったはずの 西の海に
いきなり 大陸が!
族長「あそこに大陸が 現れたということは
神の祭壇も 存在するかもしれん。
族長「まだ 伝説のトゥーラ弾きは
見つかっておらぬようじゃが
儀式の準備は しておかなくては……
族長「ともかく われわれは 先に
あの大陸へ行って 神の祭壇の
存在を 確かめるつもりじゃ。
メルビン「わしらが 魔王を倒したため
神の祭壇が あるという大陸も
復活したのでござろう。
メルビン「いよいよ この長き旅も
終わりの時でござるかな?
アイラ「祭壇も 見つかりそうだし
わたしたちは 早く トゥーラの
弾き手を 見つけなくちゃね。
ガボ「うほ〜! 今度こそ
神さまが 復活すっかもしんねえな。
オイラ 楽しみだぞ。
*「音楽を 愛する
文化の国 マーディラスへ
ようこそ 旅の方!
*「今日は なんと
トゥーラひき世界一を決める大会が
大神殿で 開かれるよ!
ガボ「やったぞ アルス!
大会 今日だってさ!!
イヤッホーッ!!
*「おふれを聞いて はるばる
海の向こうから やってきましたが
この国は いいですねえ。
*「音楽家にとっては 天国だ。
このまま 住んじゃおうかな。
*「ウオーッス!
オレは トゥーラがひけないが
大会は めでたい!
*「おれっち やっぱりヨハンが
優勝すると 思うッス!
ヨハンに かなう者はいないッス!
メルビン「ウワサのヨハンの演奏も
ようやく 聞けるでござるな。
楽しみでござる!
*「町中 音楽でいっぱい!
体が かってに
おどりだしちゃうわ!
ガボ「あはは! おっもしれえ
ねえちゃんだなっ!
アイラ「わたしも おどりたくて
さっきから ウズウズしてるわ!
*「なんでも ヨハンは
捨て子だったのを 師匠に
引きとられたらしいですよ。
*「大地のトゥーラという ことばには
なにか 不思議なチカラを
かんじます。
*「ぜひ わたくしも
大会を 見にゆきたいものです。
さて……
(教会)
*「ルルルル〜……。
練習中 なんです。
ジロジロ見ないでくださいよ。
*「今日も いいニュースを
しいれてますよ!
*「姫さまは このあいだ
うばやと ケンカをして
アカンベーを なさったそうです!
*「ああ…… わたしも
姫さまに アカンベーとか
ベロベロバーとか されてみたい。
*「あ〜 ゴホン。
あたらしい情報が 入りましたら
また お知らせいたします。
*「どうぞ おたのしみに!
*「トゥーラが なんだってんだい!
もう 音楽なんざあ
聞きたくもないよ!
*「トゥーラひきの 大会
わたしも 見にゆこうと
思っています。
*「にゃにゃにゃーん!
にゃにゃにゃにゃ にーにー。
*「とうとう 今日が大会当日!
大神殿に いそがなくっちゃ。
メルビン「今日が 大会当日とは
ちょうどいい時に
やって来たでござるな。
*「どうやら この国一番の楽師は
ヨハンというらしいですね。
むむ…… 腕前が気になる。
*「今日っはっ たのし〜い
トゥーラのっ大会〜!
ランラランララーン♪
アイラ「いよいよ 今日……!
伝説のひき手が 見つかるのね。
*「このお客さんさえ 帰れば
あたしも大会を見に
いけるんですがねえ……。
*「ぐー すぴぴぴぴぴ。
*「優勝は ヨハンにきまってるわ!
おうえんに 行かなくっちゃ!
*「やっぱり ダメだ。
ぼくなんかじゃ 大会には
出られないよ。
*「きみとくらす家を
グレーテさまに もらおうと
思ったのに……。
*「男の人って 家にこだわるわよね。
愛さえあれば そんなの
どうだっていいのに。
*「大地のトゥーラとやらを
うまく ひきこなせれば
ほうびは 望みのまま。
*「ふふふ ぼくはかならず
優勝して みせますよ。
グレーテ「おお! わが友アルスよ!
ちょうどよいところへ まいった。
グレーテ「これより 大神殿にて
トゥーラひきの大会を
始めようとしていたところじゃ!
グレーテ「では わらわは
ひとあし先に 大神殿へ向かう。
そちも 急げよ。
メルビン「ささっ アルスどの!
遅れてはならぬでござる!
早く 大神殿へ!
アイラ「もう始まるのね!
大神殿に 急がなくっちゃ!
ガボ「おい アルス!
いそいで 大神殿行かねえと
いい席 とられちまうぞ!
*「ルルル〜 ついに この日〜
世界一が〜 きまる〜 ルル〜。
*「トゥーラひき世界一をきめる大会は
大神殿で おこなわれる。
そちらへ 向かわれるとよい。
メルビン「たくさんの 楽師たちが
集まっているでござるな。
ガボ「あっちこっちで 歌ったり
じゃかじゃか鳴らしてるぞ!
にっぎやかだな〜。
アイラ「町中 音楽でいっぱい!
ホントに世界中の楽師たちが
集まってるのね。
アイラ「いったい 何人の楽師が
集まったのかしら。
すごいわ……!
ガボ「うひゃーっ すげえ人だな!
そろそろ 始まるのかな?
メルビン「アルスどの。
姫君が お待ちかねでござる。
*「ここは マーディラス大神殿。
世界一のトゥーラひきをきめる
大会は もうすぐ始まります。
*「…………。
*「わたしのような 年よりは
大会に出ても
しかたありませんからな。
ガボ「じっちゃんは 出ないのかあ。
ふ〜ん。
メルビン「楽師どのは またもや
浮かぬ顔でござるなあ。
せっかくの 大会というのに。
*「ひと声かけただけで こんなに
トゥーラひきが集まるなんて。
さすが グレーテさまね。
*「神殿の中にも 出場者たちが
まっています。
大がかりな 大会ですよね。
*「ほっほっほ にぎやかなこと。
おまつりは 楽しいねえ。
*「わたしも 大会に出場するんです。
がんばるぞ!
メルビン「みな きんちょうした
様子でござるな。
リラックスでござる!
*「出場者は ここにならぶんです。
あ〜 もういっぺん
トイレに いってこようかな。
ガボ「いっぱい 出るんだなあ。
何人いるんだぁ?
*「なんでもいいから
早く やれーっ!
*「……音楽家って なんか
イイ男ばっかだなあ。
*「大会に 使われるという
大地のトゥーラ……。
*「なにやら
不思議な楽器だそうですなあ。
*「ちかごろは とんと 祭りも
ありませんでしたので
今日は 楽しみですじゃ。
*「ここで 出場者は
トゥーラをかなでるのだ。
*「ぼく 1番手なんです。
うう きんちょうするなあ。
アイラ「これだけいれば 絶対
伝説のひき手も 見つかるわね!
*「はるばる 海のむこうから
来たんですから
ぜったい 優勝しなくっちゃ!
ヨハン「あん? オイラは 大会に
出れないハズだろう だって?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
ヨハン「……フン。 ヨハン「だが オイラも ヨハン「オイラは ベストを尽くす。 |
いいえ |
ヨハン「……だよな。 |
アイラ「どんなに大勢の前でも
わたし あがったりしないの。
アイラ「むしろ 踊りを見てくれる人が
多ければ多いほど うれしいわ。
そのほうが はりあいがあるもの。
メルビン「大きないくさの前には
ナイーヴになるものでござる。
わしも そうでござったよ。
ガボ「ヨハンのやつ なんだか
顔色 悪かったなあ。
ハラ こわしてんのかなあ。
*「優勝したら どんなほうびを
もらおうかなあ……へへへ。
*「とうぜん 優勝はヨハンよね!
きまってるわ!
ガボ「なあ アルスも
ヨハンが優勝すると 思うか?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
ガボ「やっぱ ヨハンかあ。 |
いいえ |
ガボ「えっ!? 他のやつ? |
*「今日はひさしぶりに
ヨハンのトゥーラが
聞けるのよ!
メルビン「ヨハンどののトゥーラは
そんなにスゴいのでござろうか?
メルビン「聞いたことがないから
いまいち ピンとこないでござる。
*「えへへっ 店をぬけだして
きちゃいました。
ナイショですよ。
*「ここは これからはじまる
トゥーラの大会の 出場者の
控え室に なっています。
*「順番が おそい人は
ここで待つことに
なっているんですよ。
*「ア〜ア〜ア〜ア〜ア〜!
*「大きな声を出すと
おちつくんですよ。
*「使いなれた 楽器なら
優勝 まちがいないのに……。
トホホホホホ。
*「大地のトゥーラなんて楽器
聞いたことがありませんよ。
どんな音色なんだろう。
*「ララララ〜。
*「そろそろ はじまりますよね。
おくれないように
見にいかなくちゃ。
*「ルルル〜ルルルラ〜。
勝つのは わたしだ〜。
ラルルラ〜。
*「大会には出ますが
優勝とか ほうびとかは
どうでもいいんです。
*「名高い ヨハンさんのトゥーラを
じかに聞けるのが 楽しみで
海をわたって きたんです。
アイラ「伝説のひき手が ヨハンなら
あの人は わたしたちの一族の
血を引いてるってことになるわね。
*「アルスどののご一行ですね。
グレーテさまが おまちかねです。
どうぞ この上へ!
大臣「おお! これはこれはアルスどの!
ちょうどよい所へ!
もうすぐ大会が はじまりますぞ!
グレーテ「おお! 待ちわびたぞえ!
アルスや。
グレーテ「今日 このよき日 ようやっと
トゥーラひき世界一をきめる大会を
ひらくことが できる!
グレーテ「めでたいのう うれしやのう。
これほど むねが ときめくのは
ひさかたぶりじゃ!
グレーテ「そのほうさえ よければ
すぐにでも 大会をはじめるが
心のじゅんびは よいかえ?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
グレーテ「うむ。よくぞ申した。 |
いいえ |
グレーテ「そうかそうか。 グレーテ「ならば すこし |
いいえの場合
メルビン「せっかく 姫君が
われらを待っていてくれたでござる。
これ以上 お待たせするわけには……。
ガボ「アルス ションベンだったら
そのへんで すまして
早く 大会始めてもらおうぜ!
グレーテ「うむ! では みなのもの
これより トゥーラひき
世界一をきめる 大会を はじめる!
大臣「静かに!
グレーテ「……ごほん。では アルスよ。
大地のトゥーラを これへ。
大臣「1ばんめ ペトラ!
*「はい!
*「ひっこめー! ヘタクソー!!
*「本気でやってんのかー!?
*「静かに!
大臣「ごくろう ペトラ。
さがってよろしい。
*「はい……。
大臣「では 2ばんめ デカーボ!
*「はい!
*「しっかりしてくださいよ〜!
*「もっと がんばらんかい!
*「ちょっと〜 なにやってんの〜!?
*「静かに!
大臣「ごくろう デカーボ。
さがってよろしい。
*「はい……。
大臣「では 3ばんめ……。
おお そなたの番か。
大臣「ヨハン 前へ。
*「キャ〜! ヨハン〜!
がんばってぇ〜!!
*「いつもみたいに ひいとくれよ〜!
*「ヨハンさーん! きたいしてるよ〜!!
グレーテ「じいや。
ヨハンともうす者は それほどの
ひき手なのか?
大臣「はい グレーテさま。
なんでも このマーディラスいちの
トゥーラひきとか。
大臣「どうした ヨハン。
お前の番だぞ。
ヨハン「……待たせたな。
オイラは ここさ!
*「ヨハ〜ン!
*「早く ひいてくれよぉ〜!!
*「静かに!
大臣「さあ ヨハン。
この大地のトゥーラを
ひいてみよ。
*「ちょっと〜 なにやってんの〜!?
*「ウソだろー! ヨハーン!!
グレーテ「なんじゃ あの男は!
マーディラスいちの トゥーラひきが
聞いてあきれるわ!
大臣「い いえ姫さま。
そのぅ こんなはずでは……。
*「あんたが ひけないなんて
悪い じょうだんだろ〜!!
*「なにやっとるんじゃ〜!?
*「静かに!
大臣「……ごくろう ヨハン。
さがってよろしい。
大臣「では つぎの者。
ルルスゴイ!
*「はい!
*「オレのほうが まだマシだぞ〜!
*「ヨハンが ダメだったのに
あんたにひけるはず ないわよ〜!
*「神よ…… なんたることでしょう。
*「ひっこめー!!
*「静かに!
大臣「ごくろう ルルスゴイ。
さがってよろしい。
*「はい……。
大臣「つぎ ユーリル!
*「は はいっ!
*「ヘタクソ〜!
なにやってんのよ〜!?
*「ひっこめ〜!!
*「なにやってんだ〜!?
その後も たくさんの楽師たちが
大地のトゥーラに いどんだが
だれも ひきこなせる者は いなかった。
なかなか 伝説のひき手は 見つからず
グレーテ姫も 観客たちも
いらだちはじめていた。
そして さいごの楽師も
大地のトゥーラを ひくことは
できなかった……!
グレーテ「むう……。
グレーテ「なんじゃ なんじゃ!
そのほうども ふがいない!!
グレーテ「それでも 世界中から
よりすぐった トゥーラひきかっ!?
なぜ だれも ひけぬのじゃっ!!
グレーテ「たかだか トゥーラひとつ
なさけなくは ないのかっ!!
大臣「ですが グレーテさま。
大地のトゥーラは とくべつな
チカラをもつものと……。
グレーテ「ええいっ やかましいっ!
グレーテ「そもそも このような
ややこしい トゥーラがあるから
わるいのじゃ!
グレーテ「そこな 兵士!
*「はっ!
グレーテ「その いまいましいトゥーラを
こなごなに 壊してしまうのじゃ!
大臣「ひ ひめさま!?
そのようなこと なりませぬぞ!
グレーテ「うるさいうるさいうるさーい!
わらわが 壊すといったら壊すのじゃ!
国のあるじの 命令じゃぞ!
*「グレーテ姫さま!
*「グレーテ姫さま!
グレーテ「……なんじゃ?
わらわの ジャマをするならば
タダではおかぬぞ!
*「おそれながら 姫さま。
今いちど わたくしめに
チャンスを くださいませぬか。
グレーテ「…………。
*「この場に あつまった者の中に
かならずや 大地のトゥーラを
ひきこなせる者が おります。
*「どうか その者に 今いちど
試させてくださいませぬか。
グレーテ「……ふん。
グレーテ「やはり できませんでした
では すまさぬぞ?
*「もとより かくごの上です。
まんいち ひけなかった時には
このおいぼれの首を。
グレーテ「そこまで申すか。
よかろう では 今いちどだけ
試してみるがよい。
グレーテ「そのほうが ひくのか?
*「いえ わたくしではなく……。
*「ヨハン。
*「さあ ひきなさい。
おまえなら できるはずだ。
ヨハン「でも 師匠……。
*「そいつは いちど
失敗したじゃないか!
ムリに 決まってるよ!
*「じいさん 何 バカなこと
言ってんだよ〜!
*「いくら ヨハンでも
できっこないよ!
グレーテ「ええい 静まれい!
グレーテ「……いまいちど 聞くぞ。
ヨハンが ひけなかった時には
そなたの首 もらいうける。
グレーテ「それで よいのだな。
*「はい グレーテさま。
グレーテ「……よし!
グレーテ「ヨハンとやらに 特別に
今いちど ひくことを許そう!
大臣「では ヨハン!
*「さあ ヨハン。
おちついて ひいてみなさい。
*「さあ……!
*「なんて きれいな音だろうね!
*「……ううむ! なんとすばらしいっ!
*「キャー! ヨハ〜ン! ステキ〜!
*「静かに!
グレーテ「……みごと!
グレーテ「ヨハン! たしかに
そなたこそ 伝説のひき手じゃ!
アルス! みつけたぞ!
みごと 大地のトゥーラを かなでた
ヨハンと アルスを かこんで
その夜 盛大な宴が もよおされた。
ヨハンは 大地のトゥーラで
さまざまな曲を かなで
おおいに 場をもりあげた。
そして 次の朝……。
グレーテ「これで めでたく
伝説のトゥーラひきが 見つかった!
わらわも まんぞくじゃ。
グレーテ「どうじゃ アルス。
わらわを頼って よかったであろ?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
グレーテ「うむ。 |
いいえ |
グレーテ「よかったであろ! (ループ) |
グレーテ「ヨハンとやら。
この者たちを助け みごと
われらが神を 目覚めさせよ。
グレーテ「わかっておるな?
ヨハン「ま ちょちょいと
行ってくるさ。
オイラに まかしときなよ。
グレーテ「ほっほっほ。
まっこと ヨハンは楽しいやつじゃ。
……そうそう わすれておった。
グレーテ「ヨハンよ そちに
なんなりと ほうびをつかわすが
何が望みじゃ? 申してみよ。
ヨハン「キレイな おねぇちゃんと
うまい酒と 食い物!
……と 言いたいとこだけどさ。
ヨハン「森にすてられてた オイラを
ここまで育ててくれた 師匠に
ラクさせて やりたいんだ。
ヨハン「ガラでも ねえけどさあ。
どうだい? お姫さん。
たのめるかい?
グレーテ「ううむ 育ての親への
恩を返したいと 申すか。
まこと あっぱれ。
グレーテ「よいよい。
そちが留守の間は すべて
わらわに まかせておれ。
グレーテ「アルス それでは
気をつけて ゆくのじゃぞ。
グレーテ「このグレーテ いつの日も
そなたらの無事を 祈っておる!
ヨハン「お姫さん オイラがついてるんだ
心配ないぜ。
じゃ ちょっくら 行ってくるぜ!
ヨハン「アルス さあ 行こうぜ!
ヨハンが 仲間にくわわった!
ヨハン「オイラのトゥーラで 神サマも
ガツンと起こしてやるさぁ!
ヨハン「アルス これからの道中
楽しくやろうぜっ。
ヨハン「やっぱ オイラのトゥーラが
いちばん ビンビンだったワケよ。
アルスだって わかってただろ?
ヨハン「いっぺん 他の国ってモンを
見てみたかったんだよな。
世界中 ぱーっと 遊び回って……。
アイラ「何 言ってるのよ!
一刻も早く 神の祭壇へ行かなきゃ!
ヨハン「こわい顔するなよ ベイビー。
今までずーっと 待ってたんだ。
ちょっとより道したって オッケーさ。
ガボ「ヨハンの師匠のじっちゃん
しっかし どきょうあるよなあ。
命にかえても! なんて言ってさあ。
ガボ「ヨハンが 伝説のひき手
だったんだなあ。
あの曲 キレイだったよな。
メルビン「ようやく 伝説のひき手と
おどり手が そろったでござる!
これで わが神も復活するでござる。
メルビン「この日を どれほど
待ちわびたことか!
アルスどのっ うれしいでござる!
アイラ「大地のトゥーラに みちびかれ
伝説のひき手は あらわれた……!
アイラ「さあ アルス!
神の祭壇へ 急いで行きましょう!
メルビン「う〜 ヒィック!
い いや その ゆうべはちょっと
飲みずぎたでござるよ。 わっはっは。
アイラ「ヨハンが 大地のトゥーラで
ひいた曲。初めて聞いたはずなのに
なつかしい気持ちになったわ。
ガボ「ふひーっ ゆうべはいっぱい
ごちそう 食べたなあ。
うーん しあわせっ!
メルビン「育ての親への 恩義を
忘れぬとは ヨハンどのもあっぱれ。
さすがは 伝説のひき手でござる。
グレーテ「なんじゃ アルス。
わらわが恋しくて
立ち去りがたいと申すか。
グレーテ「しかたのないやつじゃのう。
ほれ さっさと行って
さっさと もどってこい!
ヨハン「ははぁ〜ん そうかそうか!
まっ うまくやれよ アルス!
メルビン「も もしやアルスどのは
姫君が お気に召したでござるか?
メルビン「たしかに 年の頃は
ふたりとも つりあうが。
う〜む。
ガボ「アルス まだなんか用か?
アイラ「お姫さまには ずいぶん
お世話になったものね。
お礼を言うのは いいことだわ。
大臣「アルスどの くれぐれも
お気をつけて。
*「トゥーラの大会のおかげで
仕事がずいぶん たまって
しまいましてなあ。
*「ええと あの件はグレーテさまに。
この件はグレーテさまに……と。
ヨハン「ここの じーさんたち
昼間は すまして仕事してるけど
酒場じゃ すごいんだぜ〜っ。
ヨハン「よっぱらうと 集団で
はだかおどり はじめちまうんだ。
人は 見かけによらないだろ。
メルビン「この国の 方々は
ずいぶん働き者でござるなあ。
見習わなければ うむ。
ガボ「あんだけ でっかいことの
後なんだから 一日ぐらい
休みゃあいいのになあ。
*「あの書類と この書類を
今日中に グレーテさまに
見ていただかなくては。
アイラ「あいかわらず お姫さまに
まかせっきりってワケね。
やれやれ。
ヨハン「アルス 悪いけど
この国を出るまえに ちょっと
寄ってほしいとこがあんだ。
ヨハン「師匠に あいさつくらい
してきたくってさ。
たのむよ なっ!?
*「いやいや ひさかたぶりの
お祭りさわぎは
楽しゅう ございましたねえ。
*「姫さまも たいそう
およろこびでございましょう。
*「まあ ヨハンさん!
大会のとき すっごく
かっこよかったわよ!
ヨハン「ははっ アルス!
うらやましそうな顔してるぜ。
ヨハン「でも ファンが多いってのも
何かと 大変なのさ。
メルビン「わしも なにか楽器を
はじめてみるでござる。
そうすれば きっとモテモテに……。
メルビン「い いやっ なんでもないで
ござるよ アルスどのっ!
*「同じ 大地のトゥーラを
つまびきながらも
出る音は さまざまでした。
*「楽師たちには ヨハンのような
美しい音色は 出せなかった。
なんとも 不思議なものです。
ヨハン「ははっ アルスも
1000年ぐらい 修行したら
ひけるようになるかもなっ。
アイラ「いつの世も 大地のトゥーラを
ひきこなせる者は ひとりだけ。
アイラ「一族には
そう伝えられているわ。
メルビン「大地のトゥーラは
ひき手を選ぶと 伝えられるで
ござるよ。
メルビン「ほかのひき手は トゥーラには
役不足だったので ござろうなあ。
ガボ「おんなじメシ 食っても
出る げっぷは みんな違うもんな。
わかる わかる。
*「ここには 姫さまの命令で
めずらしい楽器や 歌の本を
あつめてあります。
*「今 ヨハンが大会でひいた
ふしぎな曲を 楽譜に
書きしるして いるところです。
ヨハン「ぜんぜん覚えてねえのさ。
あのトゥーラ持ったら
頭ん中に 音が あふれてきて……。
ヨハン「それを おいかけてたら
自然に曲になっちまった。
不思議な楽器だよな ホント。
アイラ「ヨハンが 大会でひいた曲。
あれは 神を復活させるため
わたしたちに 語りつがれてきた曲。
アイラ「いわば 神さまのメロディって
ことになるのかな。
メルビン「今できることは 今やる。
明日できることも 今やってしまう。
それが 人を向上させるでござる。
*「うつら……うつら……。
*「トゥーラの大会のことを
思い出すと 体がかってに
おどりだすのよ!
*「ラララ〜!
*「トゥーラの大会!
いやあ ぼく 感動しました!
ヨハンさん すごかったなあ!
*「さいしょは ひけないフリをして
ぐんと 場をもりあげましたよね!
さすがだなあっ。
ヨハン「…………。
ヨハン「…………。
メルビン「場を もりあげるため?
そういうわけだったのでござるか?
ヨハン「ま まあなっ。
オイラはぜーんぶ 計算の上さ。
メルビン「ふーむ……。
ガボ「うん! あれですっごく
もりあがったよなっ ヨハン!
ヨハン「う うん……まあ な。
アイラ「ねえ アルス。
早く 神の祭壇へ行きましょう。
みんな きっと待ってるわ。
*「すや……すや……。
*「世界中の楽師のうち
ただひとり ヨハンだけが
大地のトゥーラを ひけた。
*「ヨハンには きっと
何か 大切な役割が
あるのではないでしょうか。
メルビン「人間には 誰でも
その人だけの 大切な役割が
あるのでござるよ。
メルビン「わしらや ヨハンだけが
特別というわけでは ござらぬ。
神は みなを愛しているでござる。
ヨハン「ふ〜ん ここが
お城の てっぺんかあ。
へへっ いい気分だぜ!
ガボ「なあ オイラ ハラへった。
おやつ 食べてもいい?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
ガボ「やったぁ! オイラゆうべの |
いいえ |
ガボ「むー。わかったよ。 |
*「…………。
*「ぼくも 大会に出たんです。
*「…………。
*「自信 なくしちゃって。
はぁ……。
*「まあ アルスさん ヨハン。
ごきげんよう。
*「よその国の 詩人たちも
グレーテさまの 美しさには
おどろいていましたわ。
*「ヨハンも おかしな子だよ。
トゥーラがひけないフリなんて
どうして したんだろうねえ?
*「芸術家さんの お考えは
あたしらにゃあ わからないよ。
ヨハン「あん? なんだい?
悪ぃな。考え事しててさ。
メルビン「あの時の 様子では
何やら事情がありそうに
見えたでござるが……。
メルビン「ヨハンどのに 聞いても
よいものやら 悩むでござる。
アイラ「あれ? そうだったっけ?
細かいことはいいじゃない
伝説のひき手が見つかったんだから。
アイラ「早く 神の祭壇へ行きましょう。
ガボ「ゲージツカさんの お考えは
オイラにも わかんねえよ。
ガボ「んで ゲージツカさんて
食えるのか? それ。
*「トゥーラの大会 すごかったわね!
あんなにたくさんの楽師さんが
あつまったのは はじめてよ!
ヨハン「何百人の楽師が たばになって
かかってきたって オイラにゃあ
かなわねえさ。
ガボ「オイラも あんなにいっぱい
ごちそう食ったの はじめてだ!
トゥーラの大会 すごかったよな!
アイラ「マーディラスの人たちも
ゆうべは楽しかったみたいね。
よかったわ。
*「大会での ヨハンの演奏は
まったく 見事でした。
*「神を よみがえらせる仕事が
終わったあとは 王室づきの
楽師になってほしいものです。
ヨハン「王室づきなんて ガラじゃない。
オイラは青空の下 いつだって自由に
トゥーラを ひきたいのさ。
アイラ「神を よみがえらせるのが
まず先決よ。アルスも ヨハンも
ちゃんと わかってるわよね?
ヨハン「ベイビー 誰に聞いてるんだい?
オイラにまかせとけって!
アイラ「なんか 心配なのよねえ……。
メルビン「ほう 王室つき楽師とは
名誉なことでござるなあ。
うむうむ。
ガボ「おっ オーシツつきだ!
すげえな ヨハン!
おまけがついてくる みてえだぞ!
*「トゥーラに〜 みちび〜かれ〜
神を〜 求め 旅立つ〜。
*「お〜お〜 旅人〜よ〜
お〜お〜 ヨハ〜ン〜よ〜。
気を〜つ〜け〜て〜!
ヨハン「みんなが 期待してるんだ。
神サマの一人や二人 ぱぱっと
たたき起こしてやるぜ。
ガボ「お〜お〜 門番〜よ〜。
い〜って〜き〜まぁ〜すっ!
が〜んば〜る〜ぞ〜!!
メルビン「見送りは うれしいが
歌を歌われると どうも
はずかしいでござるなあ。
アイラ「……さすが 音楽の都。
としか 言いようがないわね。
ヨハン「アルス ちょいとだけ
師匠の顔が 見てきてえんだ。
寄ってってくれないかい?
アイラ「一応 ヨハンのお師匠さまにも
旅立つ ごあいさつを
しておかなくっちゃね。
ガボ「な ここまで来たんだから
ヨハンのじっちゃんのとこ
寄っていこうぜ!
メルビン「ヨハンどのの師匠の家は
たしか この城下町に
あったのでは ござらぬか?
*「音楽を 愛する
文化の国 マーディラスへ
ようこそ 旅の方!
*「トゥーラひき世界一をきめる大会は
ぶじに 終了したよ!
アイラ「楽師さんたちも みんな
自分の国へ 帰っちゃったのね。
ずいぶん がらんとしてるわ。
メルビン「あとは 神を復活させれば
わしの役目も 終わるでござる。
長かったでござるなあ。
ガボ「きのうはさぁ 花火どーん!で
紙ふぶき ぱーっ!で
おもしろかったのにさあ。
ガボ「ぜんぶ かたづけられちゃった。
あ〜あ つまんねえの。
*「ラララ そこに見えるは〜
わがライバル〜 ヨハ〜ン〜!
きみの〜トゥーラは〜見事だ〜。
*「おめでとう ヨハ〜ン!
わたしの〜まけだ〜ラララ〜。
ヨハン「オイラにゃ 誰もかなわない。
へへっ なんつーか格がちがうての?
ヨハン「まっ アルスは かなり
イイ線 いってるけどね。
メルビン「もしや あの御仁は
歌わずには しゃべれないので
ござろうか?
ガボ「ラララ そこにいるのは〜
大会で〜 負けたにいちゃん〜。
ガボ「ざ〜んね〜ん だったよな〜。
まあ 明日が あるさ〜!
*「大地のトゥーラの音色には
神々しい 光をかんじました。
*「まるで 神が すぐそこに
いらっしゃるかのように。
……さて。
(教会)
*「いらっしゃいませ。
ここは 楽器の店です。
*「大会のあとは いつもより
トゥーラの売れゆきが
倍ほどにも なりました。
*「いやあ トゥーラの大会での
ヨハンの演奏 すばらしかったなあ。
*「今でも 耳に 残っていますよ。
あの 調べ…… は〜 ウットリ。
*「世界中から 集まった楽師たちは
ふたたび 帰ってゆきました。
*「バウバウ!
*「あっ! アルスさん!
いつの間に あんなに
姫さまと 仲良くなったんです!?
*「えっ? ずっと前から
姫さまと 友達だって?
ほんとですか!?
*「うう…… うらやましい。
なんて うらやましい……。
ああ…… うらやましい。
*「こんど わたしのこと
姫さまに アピールしといて
くださいね! お願いしますよ!
*「おや ヨハンじゃないか。
優勝 おめでとう。
ヨハン「あのさあ そうしきの時
おいら 悪かったよ。
ヨハン「お祈りの曲 ちっとも
練習してなかったから
つい ひける曲を……。
ヨハン「でも おいらなりに
ビンビンに 心をこめて
ひいたんだぜ。
*「フン。もういいよ。
*「あたしの 父さんは
ここから空を ながめるのが
好きだった。
*「空みたいに 大きな心でいろって
いっつも 言ってたよ。
だから もういいんだよ。
*「今度は 神さまのために
トゥーラをひくんだろ。
がんばりな。
ヨハン「……へへっ まかしとけって!
アイラ「そういう訳があったのね。
でも 過ぎたことは しかたないし
これから がんばればいいんじゃない?
ヨハン「……まあ な。
メルビン「なくなられた お父上は
きっと天国へ 行ったでござる。
なあ ヨハンどの。
ヨハン「…………。
ヨハン「今なら ちゃんとあやまれるよ。
ここのじいさんには 悪いことした。
だからさ アルス。
ヨハン「あのじいさんの ためにも
オイラ 全力で 神サマのやつ
起こしてやるからよ! 見てな!
ガボ「空みたいに でっかい心かぁ。
そういうのって いいよな!
*「大会で つかった
大地のトゥーラという
とくべつな 楽器。
*「もしや 神さまが
お作りになられたものでは
ないのでしょうか。
*「あの大会で ますます
ヨハンの人気が あがっちまった。
*「まあ たしかに
かっこよかったけどさあ。ぶつぶつ。
*「大会の時は この酒場中
楽師さんたちで いっぱいで
そりゃ すごいさわぎでしたよ。
*「あんときゃ うるさいと思ったけど
静かになると けっこう
さみしいもんですね。
*「ヨハンの師は やつを育てるのに
ずいぶん 苦労したそうじゃ。
*「そりゃあ さすがのヨハンも
頭が あがるまいよ。
ヨハン「じーさん よけいなこと
言うんじゃないっての!
ちぇーっ。
ガボ「へーっ じっちゃん えらいな。
やっぱ ヨハンの飼い主
だったんだな!
アイラ「ガボ そういうのはね
飼い主じゃなくって
育ての親って言うのよ。
ガボ「あ そうだったけ?
まっちがえちゃったーっ。
アイラ「あははっ。
それでヨハンも お師匠さまの
言うことだけは きくのね。
メルビン「男手ひとつで 幼子を
育てあげるとは 苦労されたで
ござろうなあ。
メルビン「うむ! 美談でござる!
*「ヨハ〜ン! 優勝 おめでとっ!
旅に出ても あたしのこと
忘れないでね〜!!
ヨハン「こんなかわいいベイビーを
オイラが 忘れるはずないさ。
なあ アルス。
アイラ「まったく 国中の女の子と
知り合いなんじゃないの?
メルビン「あの バニーどの
わしのことも 忘れないで
いてくれるで ござるかなあ?
*「飲んで 歌って おどって
飲んで 歌って おどって……。
*「楽師さんたちのペースに
あわせてたら も〜お
つかれちゃったわ。
*「いい 天気だね。
……ポッ。
*「ほんと いい天気ね。
……ポッ。
アイラ「あっはっはー。
二人の世界ってカンジね。
ジャマしちゃ 悪いわね。
メルビン「わしも 若い頃を
思い出すでござるよ。
ヨハン「へえ じいさん 初恋は
いつなんだい?
メルビン「うむ。あれは わしが
まだ剣を始めたばかりのころ……。
メルビン「ヨ ヨハンどの!
何を 言わせるでござるか!?
ヨハン「いいじゃん いいじゃん。
てれるなってぇ。
メルビン「もう 忘れたでござる!
ずーっと ずーっと昔のことで
ござるからなっ。
ガボ「天気がいいのは わかるけど
あのふたり 何やってんだ?
*「あっ ヨハン! おめでとう!
ヨハン「へへっ てれくさいね どうも。
*「おや ヨハンじゃないか!
あたしゃ あんたが優勝するって
信じてたよ!
ヨハン「わかってるよ ベイビー。
*「いやだよ ヨハンったら。
オホホホホホホ!
*「にゃ にゃぁ〜ん。
*「よくよく 話してみたら
こいつ けっこう
いい奴だったッス!
*「おれっち ふたりで
歌うことにしたッス!
なかよくやるッス!
ヨハン「この家に住んでるおどり子は
オイラの ガールフレンドの
ひとりなのさ。
ヨハン「えくぼの かわいい子なんだぜ。
アルス おまえ どんな娘が
好みなんだい?
ガボ「なかよしは えらいぞ!
なかよしは いいことなんだぞ!
ガボ「オイラなんか 山に住んでる
ぜんぶの動物と
なかよしだったもんね。
*「これからは ハーモニーの
時代ってことよ。
ドゥ ドゥ ドゥビドゥバ〜。
メルビン「一人ひとりが つたなくとも
チカラをあわせれば それなりに……。
メルビン「なるといいでござるなあ。
アイラ「…………。
アイラ「ご近所の人も 大変ねえ。
*「わったしは 戦う〜!
正義と〜 愛の〜 ためぇ〜。
ルルルン ルルン〜。
*「いやあ 歌がこんなに
楽しいものだったなんて
知りませんでしたよ!
ヨハン「はははっ ゴキゲンだねぇ!
その調子 その調子っ!
ガボ「オッイラも〜戦う〜!
おいしい〜メシの〜ためぇ〜。
ルルルン ルルン〜。
アイラ「まあ 本人が幸せそうなら
他人のわたしたちが
口をはさむことじゃないわよね。
*「あのおじちゃん ヘタだなあ……。
*「……ヨハンか。
話は聞いたぞ 神をこの世へ
よみがえらせると いうのだな。
*「もう トゥーラをひくことを
禁じは しない。
その方々の チカラとなるのだ。
*「長い旅に なろうが
体に 気をつけるのだぞ。
ヨハン「師匠!
ヨハン「その……そうしきの時は
おいらが 悪かったよ!
ヨハン「師匠に ずっと前から
楽譜はもらってたのに
ぜんぜん 練習してなくて。
ヨハン「だから そのかわりに
つい 得意な曲を ひいちまった。
……お祭りの曲をさ。
ヨハン「死んだ じっちゃんには
悪かったと思ってるよ。
だから……。
*「ヨハン 大会の場で よくぞ
いいつけを 守った。
*「はじをかくことを だれより嫌う
お前が。その心にめんじて
そうしきの日のことは 許そう。
*「だが ヨハンよ。この世には
数え切れないほどの 音楽がある。
このわたしも 知らない曲が。
*「ひとつの曲を ひきこなすまで
かかる時間は はかりしれない。
だが 人の命は みじかい。
*「この年になって 思うのだ。
もっと たくさんの曲を
もっともっと 演奏したいと。
*「ひとつひとつの 曲との出会いを
おろそかにしては ほしくないのだ。
……お前は まだ 間に合う。
*「ヨハン おのれの才に おぼれるな。
大地のトゥーラさえ ひきこなす
その腕を 大事にしろ。
*「そして わたしよりも ずっと
たくさんの曲を
人々に 聞かせてやっておくれ。
ヨハン「……わかったよ。
ヨハン「おいら がんばるからさ
おいらが戻るまで くたばんなよ!
ヨハン「……行こうぜ アルス!
ヨハン「アルス 行こうぜ。
オイラ がんばるからさ。
神さま 復活させような!
ヨハン「師匠……元気でな。
ガボ「オイラ 死ぬときのことなんて
考えたこともねえよ。
アルスは どうだ?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
ガボ「そっか。すげえな。 |
いいえ |
ガボ「だよなあ。でも オイラたち |
メルビン「楽師どの ヨハンどのの身を
心より 案じておられるでござるな。
ううっ 泣けるでござる。
メルビン「時間とは なくしてみて
初めて ありがたさがわかるもの。
メルビン「まだ若い アルスどのには
ピンとこないかも しれぬが。
アイラ「たとえ ひとつの手ぶりでも
おろそかにする者には
よい踊りは 踊れない。
アイラ「わたしも よく言われたわ。
いつだって真剣に踊れって。
ガボ「オイラさ 世界中ぜーんぶ
旅してみてえって 思ってるんだ。
ガボ「それが できないうちに
死んじまったら やっぱ
すんごい くやしいだろうな。
ヨハン「師匠 元気でいてくれると
いいんだけどさ。
ははっ らしくないかい?
ヨハン「さっ ぱぱぱーっと
神サマを 起こしちまおうぜ!
アルス!
*「アルスさんたちを 助け
神を よみがえらせるため
大地のトゥーラを かなでる。
*「そのためには 日頃より
きちんと 練習しておくのだぞ。
よいな ヨハン。
*「長い旅に なろうが
体に 気をつけてな……。
アイラ「神の祭壇までは 遠いわ。
アルス 早く 旅立ちましょう。
メルビン「これで 思い残すことは
ないでござる。
神を復活させに 急ぐでござるよ。
アイラ「ぜんぶ終わったら もう一度
お姫さまに 会いに来ましょうね。
きっと 楽しみにしてるわよ。
ガボ「この町 おもしろかったよな。
なんでも ルルル〜ラララ〜で。
また来ような!
メルビン「別れの時になってみれば
あの姫君も なつかしいでござる。
ガボ「さあ! アルス!
神さまんとこ 行こうぜっ!!
*「あっ ヨハン! わかってるって。
あんたが 出かけてる間のことは
バッチリ まかせてよ!
ヨハン「師匠をよろしくな ベイビー!
ヨハン「ひっろいよな〜。
師匠も これっくらい広い家に
住ませてやりたいぜ。
ガボ「神殿に なんか用なのか?
ああ 大神官のじっちゃんの
お墓まいりか?
アイラ「神殿は 神の家。
主のいない家は さみしいものよ。
アイラ「アルス 早く神様を
復活させましょう。
メルビン「いつ来ても 大神殿は
気持ちが ひきしまるでござる。
*「ここは マーディラス大神殿。
世界一のトゥーラひきを決める大会も
ここで 行われました。
*「リレ〜ミ〜ト ルルル〜ラ〜。
*「呪文も 歌みたいに
言ってみると 楽しいですよ。
*「いにしえ〜の〜英知を〜
秘めし〜神〜殿よ〜。
ルルルル〜。
石版を調べると
ヨハン「どこに いくつもりだい?
オイラ おかしな所には いかないよ。
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