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ガボ「この町は 平和そうだし
魔王が 悪さしてるってわけじゃ
ねえみたいだな。
マリベル「あ〜あ なんだか
あたし 疲れちゃったわ。
マリベル「ねえ アルス。
町の見物なんか 後にして
今日はもう 休みましょうよ。
*「ここは リートルードの町。
天才建築家 バロック先生の
作った 時計塔で 有名なのよ。
ガボ「なあ あっちにヘンテコな
塔があっぞ。
あれが 時計塔ってヤツか?
マリベル「天才建築家ねえ……
なーんか うさんくさいわね。
アルスも そう思うでしょ?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
マリベル「そうよね。 |
いいえ |
マリベル「あら? あんたなんかに |
*「町の北にある 橋が ようやく
わたれるように なるんだって。
*「明日は お父さんと 開通式を
見にいくんだ。楽しみだな!
*「この教会も いいかげん ガタが
きていましてなあ……そろそろ
建てかえの時期ですかな?
*「ならば せっかくだから
あの天才 バロック先生に
建て直してもらいましょうかね。
*「そうすれば ここも有名になり
見学者が 押しよせ そこから
見物料をとれば……ムフフフ。
*「……コホン!
でも ま この古い建物も
それはそれで 味が あるものですな。
*「バロック先生に 家を たてて
もらおうと こうして 資材を
あつめては いるんだが…
*「あの人 気が むいた時しか
仕事しないからなあ…。
*「宿屋の おカミさんなら お医者の
クリーニ先生の所だよ。
*「なんでも 今朝 下働きの 女の子が
階段で 足を すべらしたらしくてさ
それで つきそいで いってるんだ。
*「大きな 時計塔が できた時も
えらい さわぎだったが 今回の
開通式は それ以上だなあ。
*「たんに 橋が できるってより
陸地が ひとつに つながるって
かんじが するもんな。
ガボ「なんだか よくわかんねえけど
なんか お祭りみてえなモンを
明日 やるんだな。
ガボ「なあ アルス〜。
オイラ そのナントカ式ってーの
見にいきてえよう。
マリベル「ふ〜ん。明日は
橋の開通式が あるんだ。
みんな はしゃいじゃってさ。
マリベル「……なによ アルス?
アンタも 見にいきたいっての?
マリベル「まったく アンタって
本当にガキね。なにかあると
すぐ 首をつっこみたがんだから。
マリベル「……でも ま いいわ。
明日は その開通式ってのを
見にいってもいいわよ。
*「町のシンボルの 時計塔も 今度の
橋も みんな あの天才建築家
バロックが 作ったんですって。
*「他にも 町長さんのお屋敷に
ふん水に……まさに
このリートルードは バロックの町ね。
*「だけど バロック本人は ここに
住んでないのよ。
ほんと ヘンクツさんよね。
*「あしたは ぜったい 開通式に
いかなきゃ! こんな 大きな
イベント めったに ないもんね。
*「あなたたちも せっかく いい時に
きたんだから 今日は この町で
泊まっていきなさいよ。
*「それで あしたは 橋の開通式を
見ていくと いいわ。
*「わしは 若いころ 川の渡し舟の
船頭じゃった。
*「橋が 開通すれば 川向かいの
土地へ いくのが ずいぶん
楽になる。
*「よろこばしい かぎりじゃが
渡し舟が なくなって しまったのは
ちょっぴり さみしいのう。
*「どいつも こいつも あしたの
開通式の 話ばかりで
うっとおしいったら ありゃしねえ。
*「そんなに さわがなくたって
お天道さまが も一度 のぼりゃあ
ほっといても 明日はくるんだよ。
*「明日は 開通式で 店は
休みにしますんで……。
*「その分 今日は じゃんじゃん
飲んでいってくださいよ……って
よく見りゃ 子供じゃないか!
*「ここは 子供が
うろつくような所じゃないんだぞ。
ほら 行った 行った!
*「ここの宿屋で 下働きしてる
エイミって娘は そりゃあ
そそっかしくてなあ……。
*「自分に 被害が およばなけりゃ
見ていて あきないんだが……
*「今度は 階段から 転げ落ちて
ケガしちまって さすがに
あれは かわいそうだったな。
*「明日は 新しい橋の開通式だとかで
はるばる 来てみれば
こんな粗末な 宿しかないなんて…。
*「おまけに 宿の娘に ミルクを
ひっかけられて 高級なドレスを
ダメにされるし……。
*「ああ もう!
本当に 来るんじゃなかったわ!
*「橋が 開通すりゃ 川向こうへ
商売しに いきやすくなる。
*「いっちょ オレも いって
ガッポリ かせいで こようかね。
*「橋が 開通したら 旅人もふえて
とうぜん 武器や防具だって
もっと 売れるようになる。
*「なにも ムリして 川向こうへ
行くこたあない。ウチの兄貴は
そこんトコ わかってないよ。
*「あしたは いよいよ 橋の開通式。
これで 対岸との 人の 行き来も
多くなるでしょうね。
*「わたしも これを機に 川向こうへ
旅立とうと 思っています。
*「この町で 先生と 呼ばれてるのは
建築家の バロック先生と
お医者の クリーニ先生さ。
*「おふたりは 幼なじみでね。
今でも 親しい みたいよ。
*「クリーニ先生は よく
できた人でのう。わしらの様な
貧しい者にも やさしいんじゃよ。
*「それに くらべて バロックの
悪たれめは 天才とか 呼ばれて
いい気に なっておる。
*「だいたい 昔から 鼻もちならない
奴だった。どうして ふたりの
仲が よいのか 不思議じゃよ。
*「うちの 亭主ったら あんなに
はしゃいじゃって。よっぽど
開通式を 楽しみに してたのね。
*「いくら 近くだとは いっても
やっぱり モンスターは
出るからな…。
*「こうやって 武器や 防具も
しっかり 装備して いかなくちゃ
危ない。
*「…そうだ! 薬草も 持っていこう。
ケガするかも しれないしな。
アルスは 足もとを 調べた!
アルスは
10ゴールドを 手に入れた。
*「エ〜ン お金 おとしちゃった〜。
ママに 怒られるよう。
女の子に ひろったお金を わたしますか?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
*「アッ! あたしの お金だ! |
いいえ |
(何も起こらない) |
*「お兄ちゃん ありがとね。おかげで
ママに 怒られないで すむよ。
*「このふん水 時計塔と 同じく
バロック先生の 作品なんですよ。
*「やっぱり いいよなあ…。
*「もう! ホントに あいつったら
いつまで 待たせる 気かしら?
*「待ちあわせは ふん水の前って
ちゃんと 言っといたのに!
*「いやあ じつに 見事な
時計塔ですなあ。
さすがは 天才 バロックだ。
*「なんでも 彼は この時計塔で
時間の 流れを 表現したとか…
ウム わかる。わかりますぞお!
*「う〜む スバラシイ!!
やっぱり バロック氏の 建築は
芸術の きわみだ。
*「明日の 開通式では 最新作の
橋が おひろめに なる。
ワクワクするなあ。
マリベル「なんだか 変な建物ねえ。
これを 作った人って 相当な
変人にちがいないわね。
ガボ「おもしれえ 建てモンだなあ。
オイラ 気に入ったぞ。
*「時計塔の 機械室 一度
見てみたいなあ。
*「でも あの扉に カギが
かかっていて 入れないんだ。
*「あ〜あ だれか 合いカギでも
持ってないのかなあ?
*「いいよなあ 時計塔… ここに
いると 心が 安らいで 時間が
たつのも 忘れる…。
*「…時間? し しまった!
デートの 待ち合わせしてたんだ!
*「ごめん。悪気は なかったんだ。
ただ ちょっと 時計塔に
行ってて… ごめん!
*「まったく どれだけ 待ったと
思ってるのよ!
*「そんなに 時計塔が 好きなら
時計塔と デートしてりゃ
いいじゃない!
*「へえ こいつも バロックって奴の
作ったモンなのか… どれ どれ。
*「ゲッ! なんだ コレ!
こわれちまったぞ!
*「し し〜らねえっと!
マリベル「あ〜あ あの人
やっちゃったわね。
マリベル「でも ま あたしたちには
関係ないか。めんどーだし
見なかったことに しましょ。
これは いったい 何なのだろうか?
あやしい物体が かざってある。
*「あしたは 町の北にある 橋の
開通式が 行われるんだよな?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
*「だよな。わかってるんだが |
いいえ |
*「お おい いいかげんな事 |
*「ありゃ? なんだ わざわざ
後ろから 入りこんできて?
ここにゃ 酒しか ないぞ。
*「そこの ハデな色の 屋敷には
この町の 町長が 住んでおる。
*「しかし よくも まあ あんな所で
落ちついて いられるもんじゃ。
*「わしには バロックとやらの
建てるものは 理解できんよ。
アルスは 本だなを調べた。
「天才建築家バロック作品集」と
書かれた 本がある。
バロックが作った 建築物が
すべて カラフルな 絵入りで
くわしく 解説されている。
アルスは 見ていて
目が チカチカしてきた。
*「ん〜 なにか ようかね?
わしは 明日の 開通式の
あいさつの 準備で 忙しいんじゃ。
*「あ〜 本日は 晴天にも めぐまれ
この記念すべき日を
むかえることが できました。
*「…ちょっと ありきたいかのう?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
*「…やっぱり そう 思うかね。 |
いいえ |
*「そうかね。それじゃあ 頭の |
*「主人は だれよりも 明日の開通式を
楽しみに しているんですよ。
*「そりゃ 私だって バロック先生の
建築が すごいのは わかるわよ。
*「でも その建物の中で 実際に
生活するってのは ちょっと
ついていけないトコあるわよね。
*「この お屋敷の床って
汚れが 目立たないから
掃除が 楽なのよね〜。
*「あ このことは だんなさまや
奥さまには ないしょよ。
*「ほんとに この子は
ドジなんだから……。どうして
階段から おちたりするかねえ……。
エイミ「す すいません おカミさん!
あたしのつきそいのために
宿を 空けることになっちゃって…。
*「ああ わかった わかった。
…で どうなんだい 先生?
クリーニ「う〜ん 骨は おれてないけど
こりゃ ネンザしているね。
クリーニ「しばらく 動かさない方がいい。
当分はここで 治りょうに
せんねんしてもらうよ。
エイミ「で でも クリーニ先生!
あたし 宿屋の仕事が あるし
これ以上 ごめいわくは……。
クリーニ「めいわくなワケないだろう。
わたしは 医者で
君は わたしの患者なんだぞ。
クリーニ「それに その足じゃ
どうせ 仕事にならんぞ。今は
早く 治すことだけ 考えるんだ。
クリーニ「そういうワケで おカミさん。
エイミは しばらく ウチで
あずからせてもらうよ。
*「まったく……明日は いよいよ
橋の開通式だっていう いそがしい時に
しょうのない子だよ。
*「いいかい エイミ!
仕事を 休むからには しっかり
治して 帰ってくるんだよ。
アルスは 本だなを調べた。
医学書が 並んでいる。
クリーニ「おや 旅の方かい?
ははあ……さては キミたち
橋の開通式を 見に来たクチだね?
クリーニ「でも 開通式は 明日だから
今日のところは この町の宿屋にでも
泊まっていくといいよ。
クリーニ「ちょうど さっき 出ていった人が
この町の宿屋の おカミさんなんだ。
エイミ「先生の お客さまですか?
あたしは この町の宿屋で
働いている エイミって いいます。
エイミ「クリーニ先生には この町に
きた時から お世話に なって
ばっかり なんですよ。
*「むこうの部屋は ウチの先生の
友だちである バロック先生のための
仕事部屋なのよ。
*「あの人 ふだん 山奥のアトリエで
くらしてるんだけど 町での仕事は
ここで やっていくのよ。
*「奥にかざってある絵は 代表作の
時計塔のものなんだけど 近ごろ
なんだか ブキミな感じがするのよね。
*「前は そんなことなかったんだけど…
どうしてなのかしら?
アルスは 本だなを調べた。
建築の本が 並んでいる。
この町の 時計塔が えがかれている。
アルスは この絵から なにか
不気味な気配を 感じた。
マリベル「こんな山奥に また
変な建物が あるわねえ。
建てた人間の 正気をうたがうわ。
ガボ「うはー こんな山ん中に
カッコいい建てモンが あるぞ!
*「バロック先生ってば 橋の仕事が
おわったばかりだってのに もう
次の構想を ねってるんですよ。
*「話しかけるのは 構いませんけど
どなられても 知りませんからね。
アルスは 本だなを調べた。
「天才バロックと時計塔」と
書かれた 本がある。
”われわれが生きている この時間には
凡人には 見ることのできない
いわば 時と時のはざまが 存在する。
”その時のはざまを わずかでも
のぞくことが できる者。
それが 天才とよばれる人間だ。
”わたし バロックは この時計塔により
凡人には 一生見ることのできない
時のはざまを 表現することにした。
”しかし 結局のところ 見る者が
凡人では わたしの表現したいことは
決して 伝わりはしないだろう……。
バロック「ここに 柱をたてて
こっちは 吹きぬけにしてだ…
あれは こうして ここはあれで…
バロック「ああん! なんの用だ?
オレは今 いそがしいんだよ!
ジャマすんじゃねえ!
なにやら 塔のようなものの
図面が かかれている。
*「ニャオ〜ン。
マリベル「なんだか ヘンテコな橋が
あるわね。
通れないのかしら?
ガボ「うほ でっかい橋が あんなあ。
アルス わたってみようぜ。
*「よう! ここは 橋の建設現場だ。
と言っても 後は 明日の開通式を
待つばかりだがな。
*「明日になれば 人がわんさと
押しよせるに 決まってますからね。
*「一足先に ここで 商売を 始める
ことに しましたよ。
さて それでは…。
(どうぐ屋)
*「ここに 置いてあるのは 橋を
つくるのに 余った資材
なんだってさ。
*「さすがに つくるモンが でかいと
余りの資材も バカにならないね。
*「ちょいと前までは ここから出る
渡し舟だけが 向こう岸にわたる
手段じゃった。
*「それが いつの間にやら あんな
立派な橋まで できて……
時の流れというのは 早いもんじゃな。
*「この ほったて小屋は
橋を作った 大工たちの
詰め所なのさ。
*「寝泊りも できるんだけど
つい この間まで バロック先生も
大工に まじって 寝てたんだよ。
*「意外に 思うかもしれないけど
あの人も 仕事のこととなると
人が 変わっちまうからねえ。
*「この世には 時の砂という
ふしぎなチカラを持った砂が
あるそうです。
*「なんでも それをつかえば
すこしだけ時間を もどることが
できるとか……。
*「なにか 失敗した時に
やりなおしが きくなんて
うらやましいですわね。
橋の図面が えがかれている。
*「何はともあれ 予定通りに
明日 開通式が できるんで
ホッとひと安心てとこだな。
*「長年 親しんだ この小屋を
離れるのは ちょっと
さみしいけどな。
*「いやあ 今回の仕事は 勉強に
なることばかりでした。
*「なにせ あのバロック先生と
ごいっしょできたんですから。
*「明日の 開通式… あの先生
ちゃんと 出席してくれるのかねえ。
*「なんていうか 建築のこと以外にゃ
かかわりたくもないって
お人だから…。
*「バロック先生なら ここにゃ
いねえぜ。
*「橋のほうが だいたい完成したら
とっとと 出ていっちまったよ。
*「今ごろは 東の山奥にある
自分のアトリエにでも
帰ってるんじゃねえか?
*「グゴゴゴ……むにゃ むにゃ。
開通式が……来ない……。
時計塔がぁ……。
*「……はへ?
オレ 今 なんか言ってた?
う〜 夢でも 見てたかなあ?
*「あう〜 どうも 寝すぎたみたいで
調子悪いぜ。
*「あの連中も なに ムキに
なってんだかなあ。
*「橋を わたる 一番のりなんて
実際 橋を つくった オレたちが
とっくに やっちまってるのに。
*「あの天才バロックの つくった
橋って いうんだから 一生の
記念ものですよ。
*「どうです?あなた方も こうして
並んでみては。いい思い出に
なりますよ。
*「ちくしょう! 一番のりは オレが
いただくはずだったのに…。
*「ハラいたで 出おくれるなんて
開通マニアの 名折れだ。
*「開通式が 終わったら オレが
いちばん 最初に この橋を
わたってやるんだ。
*「そのために 3日も前から
こうして 並んでいるんだぜ。
*「この橋は 明日 おこなわれる
開通式まで 通行止めだよ。
*「あれ? あんたたち さっき
クリーニ先生のトコに
来てた人たちだよね。
*「人手が 足りないから 充分に
サービスできないかも 知れないけど
泊っておいきよ。
*「どうせ 明日の 橋の開通式を
見にきた クチなんだろ?
さてと……
(宿屋)
エイミ「あ〜 忙しい 忙しい。
朝は てんてこまいだわ。
エイミ「えっ? キャア〜!?
アルスは エイミを 受け止めた!
エイミ「あれっ? キャ!
す すいません。
*「エイミっ! このドジ!
お お客さん 大丈夫かい!?
ホントに すまないことをして…
*「エイミ あんたも お礼いっときな。
この人が 受けとめて くれなきゃ
あんた きっと ケガしてたよ。
エイミ「あ ありがとうございました!
本当に スミマセンでした!!
エイミ「おカミさん あたし 洗いもの
やってきますね!
*「やれやれ しょうがない子だよ
本当に…。
*「お客さん すまなかったねえ。
本当に 助かったよ。
マリベル「あのコ たしか 昨日
ネンザしてたんじゃあ……?
もう 治ったのかしら?
ガボ「オイラは とにかく
カイツウ式ってのが 見てえぞ。
ガボ「きっと お祭りみたいなモンで
ごちそうが 食えるんだろうなあ。
マリベル「あんな ヘンテコな建物が
評判になっちゃうなんて
おかしなことが あるモンよね。
マリベル「ホントに ここの町の人たちの
感覚って 理解できないわ。
エイミ「あっ!
先ほどは お礼も そこそこに
どうも すみませんでした。
エイミ「あの時は もう はずかしくて
あせっちゃって……でも あたし
あんな風に よく 転ぶんですよ。
エイミ「ホントに どうして
こうドジなんだか……。
自分でも イヤになっちゃう!
ガボ「あのねーちゃん
ケガしてたんじゃなかったのか?
おっかしいなあ。
*「ああ あんたたちかい。
さっきは 本当に 助かったよ。
*「あんな そそっかしい子だけど
デキの悪いのほど
情が わくってもんかねえ……。
*「クリーニ先生の紹介で やとったけど
今じゃ ホントの 自分の
娘みたいな 気がするんだよ。
*「おっと! こんなこと あの子にゃ
言わないで おくれよ。
*「ここの宿屋で 下働きしてる
エイミって娘は そりゃあ
そそっかしくてなあ……。
*「自分に 被害が およばなけりゃ
見ていて あきることがないよ。
*「おカミさんも なんだかんだ言って
エイミには 甘いところがあるよな。
まあ ドジだけど いい子だしな。
クリーニ「はあ? エイミのケガは
もう 治ったのかだって?
はて? いったい 何のことかね。
クリーニ「エイミが ケガしたなんて話
わたしは 聞いてないぞ。
クリーニ「何か かんちがいでも
してるんじゃないのかい?
夢でも 見たとか。
クリーニ「そもそも キミたちは
いったい 何者なんだね?
わたしとは 初対面だろう?
クリーニ「エイミが ケガしたなんて
何か かんちがいだろう。
夢でも 見たんじゃないか?
*「宿屋で 働いている エイミって
以前は 遠くの町で 母親と
二人ぐらしだったんですって。
*「それで クリーニ先生は エイミの
母親の エミリアさんって人と
古い友人だったそうなのよ。
*「だから 母親を亡くして 身よりの
なくなった エイミを この町に
呼んだらしいんだけど……。
*「古い友人って どの程度の関係
だったのかしら?
ちょっと 気になるわよね。
マリベル「この辺りって 一見
平和っぽいけど なんだか
ちょっと奇妙な感じがするわね。
ガボ「う〜 オイラ はやく
カイツウ式ってのを 見てえぞ!
ガボ「あり? ナントカ式ってのは
どーなったんだ?
なんにも やってねえみたいだぞ。
*「よう! ここは 橋の建設現場だ。
と言っても 後は 明日の開通式を
待つばかりだがな。
*「あにィ!? 開通式は
今日じゃねえのかだってェ?
*「お兄さん 寝ボケてちゃいかんよ。
開通式をやんのは 明日だよ。
あ・し・た!
*「この橋は 明日 おこなわれる
開通式まで 通行止めだよ。
*「えっ?
開通式は 今日のはずだって!?
*「おいおい どこで 聞いたのか
知らないけど そりゃ
かんちがいってもんだぜ。
*「とりあえず 今日のところは
リートルードに帰って 宿屋にでも
泊まってくるんだな。
*「それで 明日になったら もう一度
ここに 来りゃ その頃には
開通式も 始まってるさ。
ガボ「あれ? オイラたち
なんか かんちがいしてたのかな?
ガボ「オイラ 開通式ってのは 今日
やるんだとばっかり 思ってたよ。
マリベル「ちょっと どういうことよ
これは? アルス あんた
納得のいく 説明をしなさいよ!
マリベル「あたしたちは たしかに
橋の開通式は 今日だって
きいていたはずよ。
マリベル「それが どうして 今日に
なって来てみても 開通式が
始まってないのよ?
マリベル「とつぜん 延期にでも
なったって言うの?
あーもう わけわかんないわ!
エイミ「あ〜 忙しい 忙しい。
朝は てんてこまいだわ。
エイミ「えっ? キャア〜!?
アルスは エイミを 受け止めた!
エイミ「あれっ? キャ!
す すいません。
*「エイミっ! このドジ!
お お客さん 大丈夫かい!?
ホントに すまないことをして…
*「エイミ あんたも お礼いっときな。
この人が 受けとめて くれなきゃ
あんた きっと ケガしてたよ。
エイミ「あ ありがとうございました!
本当に スミマセンでした!!
エイミ「おカミさん あたし 洗いもの
やってきますね!
*「やれやれ しょうがない子だよ
本当に…。
*「お客さん すまなかったねえ。
本当に 助かったよ。
マリベル「あのコ たしか 昨日
ネンザしてたんじゃあ……?
もう 治ったのかしら?
ガボ「さっきのねーちゃんが
階段を落ちるとこ。
オイラ 昨日も 見た気がするぞ。
ガボ「アルスも もちろん
おぼえているよな?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
ガボ「なんか まるで まったく |
いいえ |
ガボ「え〜っ おぼえてねえのか? |
マリベル「……あのエイミってコの
ドジも 相当なモンよね。
毎日 階段から落ちるなんて。
マリベル「……それにしても
昨日と まったく同じ
落ち方だったような……?
*「この橋は 明日 おこなわれる
開通式まで 通行止めだよ。
*「えっ?
開通式は 今日のはずだって!?
*「おいおい どこで 聞いたのか
知らないけど そりゃ
かんちがいってもんだぜ。
*「…はあ? 昨日もそう言ったって?
オレが? 冗談は よせよ。
オレは そんなこと 知らんぞ!
*「それとも 何かい?
昨日も今日も おんなじ 開通式の
前日が くり返してるってか?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
*「…………。 *「あんたたち それ 本気で *「え? バロック先生がどうしたって? *「先生なら あんたたちと 話が *「まあ その気が あるかなら |
いいえ |
*「な そんなわけないだろ。 |
*「バロック先生も よく時間について
語ってたから あんたたちとは
話が 合うんじゃないかな?
*「まあ その気が あるかなら
東の山奥にある 先生のアトリエに
行ってみたら いいんじゃないか?
*「どうせ いそがしいとか 言って
どなられるのが オチだろうけどね。
マリベル「バロックか……ウワサじゃ
相当変人らしいし 作品があれじゃ
その評価も うなずけるけど……。
マリベル「う〜ん……気は進まないけど
今は なんの 手がかりもないし
仕方ないわね……。
マリベル「さあ アルス ボケッと
してないで バロックさんの家に
向かうわよ。
ガボ「なあ アルス。
バロックさんて どんな人かな?
オイラ 会うの楽しみだなあ。
バロック「ここに 柱をたてて
こっちは 吹きぬけにしてだ…
あれは こうして ここはあれで…
バロック「ああん! なんの用だ?
オレは今 いそがしいんだよ!
ジャマすんじゃねえ!
バロック「……うん!?
今 おまえら 時間が どうとかって
言ってなかったか?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
バロック「ほほう? ひょっとして |
いいえ |
バロック「なんだ 空耳か。 |
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
バロック「…こいつは おどろいた。 バロック「なんだか知らんが 近頃 バロック「これも 天才ゆえの悩みかと バロック「……おい おまえら! バロック「時計ってのは ただ時間を バロック「ましてや この大天才 バロック「だから この異常は バロック「そういうワケで ちょっと バロック「もちろん このバロック様の |
いいえ |
バロック「ふん! しょせん 凡人には |
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
バロック「そうか! こいつが |
いいえ |
バロック「そうか! ことわるなんて アルスは 時計塔のカギを |
ガボ「うはぁ バロックさんて
まるで マリベルが 男に
なっちまったみたいな人だなあ。
マリベル「ガボー!!
あんた とんでもないこと
言ってくれるわねぇ!
マリベル「このかれんな乙女の
あたしの どこをどうしたら
あんなオッサンに なるのよ!?
ガボ「うひゃ! きこえてたのか。
わりい わりい!
ガボ「マリベルが男に なったなら
もっと 若けえハズだもんな。
マリベル「……なんか 論点が
ズレてる 気がするけど……
ま いいわ。
マリベル「なによ アイツ
えっらそうに! 想像以上に
感じの悪いヤツねー。
マリベル「天才建築家だか なんだか
知らないけど 何様のつもり?
あー むかつく!
バロック「それじゃあ 時計塔のこと
頼んだぜ。もし こわれてたら
オレに 伝えるんだぞ。
*「あのバロック先生と まともに
会話できるなんて あんたたち
見かけによらず すごいな。
*「ぼくの知る限りじゃ
そんなこと できるのは 町医者の
クリーニ先生だけだよ。
ガボ「なあ アルス。
あの時計塔に
いってみようぜ。
ガボ「オイラ 今回の一件と
あの時計塔は なんか
関係あると思うんだ。
ガボ「なあ アルス そのカギで
あの時計塔の扉が 開くんだろ?
ガボ「オイラ いっぺん あそこに
入ってみたかったんだ。
はやく 行ってみようぜ。
マリベル「まったく なんで
あたしたちが 時計塔の点検なんか
しなくちゃなんないのよ。
マリベル「まったく……
とんだ ムダ足だったわ。
マリベル「だいたい アルスが
ボケボケしてるから こんなこと
押しつけられるハメに なんのよ!
マリベル「点検しろって あたしたち
機械のことなんか なんにも
知らないのに どうしろってのよ!
マリベル「ホント いいかげんで
やになっちゃうわ。
ガボ「うひょお ワクワクすんなぁ。
巨大な歯車が 回っている。
レバーがある。動かしますか?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
時計が 止まった! |
いいえ |
(何も起こらない) |
レバーがある。動かしますか?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
時計が 動き出した! |
いいえ |
(何も起こらない) |
巨大な歯車だ。
じっと 一点を 見すえたまま
動かない。
いくら 話しかけても 全く
反応がない
ガボ「な…なんか変だぞ?
みんな 立ったまま
眠っちまってるみたいだ!
ガボ「ひょっとして オイラたちが
時計を 止めちまったせいで
こんなことになったのか?
マリベル「なによ これ?
みんな ぜんぜん 動いていない!
マリベル「ひょ…ひょっとして
時間が 止まってるの?
そんなバカなこと……?
いくら 話しかけても 全く
反応がない。
ケンカでも しているのか
若い娘とは 思えない すさまじい
形相のまま 止まっている。
石像を 乱暴な手つきで
触っているところで 動きが
止まってしまったようだ。
まばたきも せずに じっと
かたまっている。
開通式の あいさつの練習だろうか?
開きかけた口が まぬけだ。
どうやら 着がえの
さいちゅうだったらしい。
マリベル「ちょっと なに見てんのよ。
いやらしいわね。
どうやら 化粧の途中らしい。
おしろいを はたいている状態で
かたまっている。
営業スマイルも かたまったままでは
どこか 不気味だ。
グラスを かたむけているが なかの
液体は かたまったように
静止したままだ。
今 まさに 落としかけた お皿が
宙で 止まっている。
走りだした 不安定な姿勢のまま
動きが止まっている。
半べそをかいた 表情のまま
かたまっている。
ニヤけた顔のまま 動かない。
歌っていたのか 口を開けたままの
姿で 止まっている。
出ようとすると
このままの状態で 町を
出るわけには いかない。
バロック「おう! おまえらか。
で 時計塔の方は どうなんだ?
なにか 異常でも あったか?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
バロック「フッ やはり バロック「そうと わかれば 安心だ。 |
いいえ |
バロック「なにっ? そんなバカな! バロック「いや! きっと おまえらの バロック「おい! おまえら! |
宿屋で寝た場合
バロック「ここに 柱をたてて
こっちは 吹きぬけにしてだ…
あれは こうして ここはあれで…
バロック「ああん! なんの用だ?
オレは今 いそがしいんだよ!
ジャマすんじゃねえ!
バロック「…うん? おまえら
どっかで 見たような気がするな。
なにかを たのんだような…。
バロック「まあ いい! どうせ
おぼえてない 用事なんて
たいした ことじゃねえや。
*「クリーニ先生ってば ときどき
下の部屋で 手紙かなにかを
こっそり 読んでるのよね。
*「なにが かいてあるのか
わかんないけどさ……多分あれは
昔のラブレターかなんかなのよ。
クリーニ「かわらぬ友か…
わたしにとっては ざんこくな
言葉だよ エミリア…。
マリベル「……なんだったのかしら?
あの医者の先生 なんか
気になること 言ってたわね。
クリーニ「ああ 君たちは…。
クリーニ「おや? そのカギは…
ひょっとして 君たち バロックに
会ったのかい?
クリーニ「よく 初対面で あいつから
ものを 借りられたものだ。
よっぽど 気に入られたね。
おこられているのだろうか?
頭を 下げて あやまっている
様子だ。
満面の笑顔のまま かたまっている。
ガボ「ガルル……そこのウネウネ
なんか おかしいぞ!
イヤな感じがする。
マリベル「な…なによ これ?
他はみんな 止まってるのに
ここだけ 動いてる……。
マリベル「……なんか あからさまに
怪しいわね。 アルス あんた
調べてみなさいよ。
手に 古い手紙のようなものを
持ったまま かたまっている。
こっそり 手紙をのぞいてみますか?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
アルスは 手紙を のぞきみた。 ”この手紙が あなたの目に ”長年 病を わずらっており ”あの人の 重荷には ”古い友人である あなただけが ”あつかましい ねがいかとは ”今も 変わらぬ友 クリーニへ |
いいえ |
(何も起こらない) |
アルスは かべの絵を しらべた。
時計塔が えがかれていたはずの
キャンバスの中には 奇妙な空間が
うごめいている……。
ガボ「なんだか おかしな世界に
来ちまったなあ。
ガボ「まるで バロックのおっちゃんの
作った 建てモンの中に
いるみたいな 感じだよ。
マリベル「これは どう考えても
やっぱり 魔物のしわざよね。
マリベル「ってことは ここのナゾを
とけば あの異常な状況から
解放されるかも しれないわけだ。
マリベル「さあ アルス。
ボケッとしてないで 先に
すすむわよ。
アルスは 石碑を調べた。
「終わりより 始まりへ むかう時
道は 開かれる」
*「ククク……あの時計塔と
時の砂時計を 同調させるのが
これほど うまくいくとはな……。
*「わが時の封印からは だれも
のがれることは できぬ。
*「永遠の時の輪のなかで
同じ時を くりかえすがいい!
クククク……。
*「ウキキキ……。
*「ムッ! なんだ 貴様たちは!?
どうやって 人間が この
時のはざまに…。
*「い いや それ以前にどうして
貴様ら 時の封印から 自由で
いられるのだ?
はいいいえ両方
*「フン まともに答える気は
なさそうだな。
*「まあ いいさ どのみち
ここを 知られたからには
タダでは 帰さん!
*「閉ざされた時の中で 大人しく
していなかったことを
後悔するが いい!!
タイムマスター戦
マリベル「後ろにある 砂時計も
気になるけど とりあえず
こいつを 倒しちゃうわよ。
ガボ「ガルル……。あいつ
呪文とか つかってきそうだぞ。
アルス 気をつけろよ。
*「お…おのれ このわたしが
こんなガキどもにぃ……。
*「だ…だが 喜ぶのは まだ早いぞ。
たとえ わたしが 死んでも
時の封印は 解かれることはない!
*「そう…この時の砂時計が
あるかぎりはなあ……。
フ…フハハハハハ……!
*「し しまったぁ!
余計なこと 言うんじゃなかったぁ!
……グ グハァァ!
砂時計を無視して町に戻った場合
マリベル「ちょっと アルス。
あんた あの大きな砂時計を
ほっとく気なの?
マリベル「魔物のヤツも あの砂時計が
どーのこーの 言ってたじゃない。
マリベル「まったく……あんたには
注意力ってモンが ないの?
ホント たよりないんだから!
大きな砂時計だ。
この時間の異常に 関係して
いるのだろうか?
砂時計を 壊しますか?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
アルスは時の砂を 手に入れた。 |
いいえ |
(何も起こらない) |
ガボ「おんなじ 1日を ずっと
くり返させるなんて 魔物も
おかしなこと 思いつくよなあ。
マリベル「フウ……。
これで 明日になれば ちゃんと
開通式が おこなわれるハズよね。
マリベル「今日は もう疲れたから
とっとと ねちゃいましょうよ。
バロックの作った 時計塔が
えがかれている。
クリーニ「わっ!
クリーニ「……おどろいたなあ。
いったい 君たち いつの間に
ここに しのびこんだんだい?
クリーニ「ぜんぜん 気がつかなかったよ。
*「あれ?
あなたたち 今 地下室から
出てこなかった?
*「おかしいわねえ?
地下室に 下りたんなら あたしが
気がつかないはずないのに……。
エイミ「あ〜 忙しい 忙しい。
朝は てんてこまいだわ。
エイミ「えっ!? キャア〜!?
エイミ「……っと 大丈夫…。
ふう あやうく 今日も
落ちるところだったわ。
エイミ「おカミさ〜ん それじゃ
食器洗い 終わったら 開通式に
行ってきますね。
*「やれやれ 本当に
あぶなっかしいったらありゃしない。
マリベル「いっしゅん まだ 開通式の
前日が くり返されてるのかと
あせったわよ。
マリベル「ホントに あのコのドジも
いいかげんにしてほしいわよね。
マリベル「あたしたちの 活躍で
ようやく 開通式の日の朝を
むかえたわけだけど……。
マリベル「考えてみれば だ〜れも
あたしたちが 封印から 解放して
あげたことに 気付いてないのね。
マリベル「……それって なんか
ハラ立たない? こっちは
あんなに 苦労したってのにさ。
ガボ「今日こそ 本当に 開通式を
やるんだな。
う〜っ 楽しみだぞ〜!
*「あんたたち 開通式に 行くんじゃ
なかったのかい? 早く行かないと
もう 始まっちまうよ。
エイミ「早く かたづけないと 開通式
終わっちゃうよ〜。
エイミ「あっ お客さん!
お客さんたちも 行くんですよね
橋の開通式。
エイミ「だったら 早く 行ったほうが
いいですよ。あたしも この仕事が
終わったら 向かうつもりなんです。
*「いやあ 本当なら 今日は
休みにするはずだったんだけどね。
*「まあ 客が 来るんじゃ
そうも 言ってられないってわけさ。
*「開通式なんぞ 行くよりは ここで
こうして 酒でも 飲んでる方が
よっぽど 楽しいってもんさ。
*「あんたたちも そう思うだろ?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
*「おっ 話せるねえ。 |
いいえ |
*「チッ しらけるなあ。 |
*「あれ? ひょっとして
お客さんですか?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
*「あっ こりゃ すいません。 *「これは 店は休んで 開通式に |
いいえ |
*「なんだ やっぱり ちがうのか。 |
*「やれやれ 橋のひとつやふたつに
皆 大騒ぎしおって。
わしゃ つきあいきれんわい。
*「…決して 橋まで 行くのが
しんどいから 残ったんじゃないぞ。
*「町長さんも 奥様も
お出かけだってのに わたしは
今日も変わらず 水仕事…。
*「やっぱり 使われる身は
つらいわね。人間 使う方に
ならなくちゃ。
*「わたしは 別に 開通式なんか
見たくないから いいんだけどね…。
*「バロック先生の最新作って 言っても
わたしなんか こうして 日々
作品の中で くらしてるんだし。
*「時計塔だって ふん水だって
毎日 見てるし……。
*「……うう。
やっぱり 見にいきたいよう。
*「亭主も子供も 開通式に
行っちゃって 今日は 気楽だわ。
*「でも ひとりきりだと
こんな家でも 妙に 広く
感じちゃうのよね。
*「あたしゃ 人ゴミって
きらいなんでね。開通式なんて
見なくても 橋はわたれるさ。
*「このトシになると 橋のとこまで
行くのも 一苦労だからね。
あたしゃ 残ることにしたよ。
*「クリーニ先生が 開通式に
行っちゃったから わたしは
留守番。つまんないな〜。
*「まあ バロック先生とは 古い
つきあいらしいから 仕方ないけどさ。
*「古い つきあいって言えば
バロック先生も 知ってんのかな?
エイミの母親って人のこと。
ガボ「おお 人が いっぱい いるぞ!
これが 開通式ってヤツかあ。
マリベル「やってる やってる。
さあ アルス 人ゴミかきわけて
いい場所を とるわよ。
マリベル「言っとくけど あたし
みんなの後ろから のぞくのなんて
イヤだからね。
*「思った通り 人が たくさん来て
ずいぶん 商売させて
もらいましたよ。
*「これからも 橋をわたる人々で
にぎわうだろうし いっそ ここに
店でも かまえましょうかねえ。
ガボ「うほ ゴチソウが いっぱいだ!
なあ アルス これって まだ
食っちゃいけねえのかな?
*「ちょっと ジャマしないでよ!
今 いそがしいんだからさ。
*「ぐごー ぐごー。
*「開通式が 終わったら ここで
宴会が 始まるからね。その準備で
こっちは 大わらわだよ。
*「この世には 時の砂という
ふしぎなチカラを持った砂が
あるそうです。
*「なんでも それをつかえば
すこしだけ時間を もどることが
できるとか……。
*「えっ? あなたたちが
時の砂を もってるですって!?
*「いやですわ。ご冗談ばっかり。
時間がもどる砂なんて 作り話に
決まっているじゃありませんか。
*「町長の話は 長いからのう。
終わるまで ここで 時間つぶしじゃ。
*「あれっ? バロック先生
どこに 行っちゃったんだ?
一緒に 来たはずなのに…。
*「う〜む やっぱり バロックの
建築は すばらしいですなあ。
*「なんだい こんな時に?
今いいトコなんだから
しずかに しておくれ。
*「これから たくさんの旅人たちが
この橋を わたって 川のむこうと
こちらを 行き来するんだな。
*「自分のやってきた仕事が
こうして 形になるのを 見るのは
いいもんだ。
*「早く 橋をわたって むこう岸へ
商売に 行きたいもんだ。
まだ 終わらんのかな。
*「なんだか 妙な柱が 何本も
見えるけど ありゃ 本当に
橋なのか?
*「まあ バロックらしいっちゃ
バロックらしいんだがな。
*「やっぱり すばらしい橋ですね。
早く もっと間近で見たいんですが
それにしても 長い話だなあ。
*「あれ? バロック先生の姿が
見えないわねえ。自分の作品の
おひろめなのに 来てないのかしら。
*「この開通式が 終わったら
ついに 橋をわたれるんだ。
楽しみだなあ。
*「ねえ お父さん 見えないよ〜!
場所かわってよ〜!
*「ほへ〜 すんごい橋だなあ……。
ははあ〜 すばらしい……。
さすが バロック先生だ……。
*「いや〜 わざわざ 見に来て
正解だったなあ……。
*「作るのに 苦労した分
こうして 開通式を ながめると
かんがいも ひとしおだぜ。
*「ええっ よく見えないから
つめろって?
仕方ない人たちだなあ。
*「はい これで いいでしょ。
*「町長さんてば 本当に話が
長くて 困ったもんだわ。
*「このテの あいさつなんて どうせ
誰も きいてないってのに。
*「この開通式が 終わった後は
宴会が あるそうですよ。
ぼくも およばれしちゃおうかな。
*「ん? ああ
前の列に 来たいのかい?
ちょっと 待っておくれ。
*「さあ これで 空いたよ。
町長「…で ありまして 本日この様な
開通式が おこなえることは
まことに 喜ばしく思われ また…
*「町長! お話の途中ですが
そろそろ 時間の方が
押していますので…
町長「うん? ああ そうか。では…
町長「とにかく わたくしは
この橋の完成を 心から
祝うもので あります。以上。
*「え〜 町長のごあいさつでした。
つづきましては 設計者でもある
建築家のバロック先生にお話を…。
*「あ あれ? バロック先生は
どこに 行っちゃったんだ!?
さっきまで そこにいたのに…。
*「それにしても 本当に 立派な
橋が できたものだねえ。
神に 感謝しなくては。
*「今度は バロック先生が
いないってのかい? まったく
段取りの悪い 開通式だねえ。
*「くしゃん!
…うう さすがに この格好だと
風が 冷たく感じるわね。
*「おーい よく見えねえぞ!
まだ テープカットは しねえのか!
*「早く 間近で 見たいのに…。
まだ 終わらないのかな?
ガボ「バロックのおっちゃんが
いねえから 困ってんのか?
よーし じゃあ オイラが……。
ガボ「……クンクン。
……ニオイからすっと おっちゃん
この近くに いるみたいだぞ。
マリベル「まったく バロックさんてば
どこに いっちゃったのかしら?
マリベル「ホント いても いなくても
迷惑な人よねえ。
*「おお どうやら
町長の 長ったらしい話は
終わったようじゃの。
*「まったく どうして 長のつく
人間は 話まで 長くなるのかのう。
クリーニ「バロック そろそろ
打ち明けた方が いいんじゃないか。
父親は生きて ここにいるってこと。
バロック「余計な お世話だ。
あれの母親も 教えないことを
望んでいたのだろう。
バロック「おまえの 出る幕じゃない。
それに オレは あいつを
捨てた男だ。どうして 今さら…。
クリーニ「それは… エイミのことは
お前の知らなかったことじゃないか。
バロック「知っていても 同じことさ。
それに 実際 オレは 怖いんだ。
だから 町を 離れた。
クリーニ「エイミは 建築家バロックを
尊敬してるって 言ってたぞ。
バロック「建築家のね…。とにかく
オレは 名のりでる気はない。
おまえも 余計なことはするなよ。
マリベル「……バロックさんと
クリーニさん それから エイミ。
マリベル「どうやら この3人には
ただならぬ関係が あるようね。
どうも におうわ……。
クリーニ「バロック……バカ野郎が。
バロック「ああ 開通式のあいさつか。
そういや そうだったな。
すっかり 忘れてたぜ。
その後 開通式は
とどこおりなく終わり
人々は 祝いの宴へと うつっていった。
アルスたちも 人々にまじり
大いに 楽しんだが ただ そこに
バロックとクリーニの姿はなかった。
そして 夜が明けた。
マリベル「こんなところで
あのバロックさんが 寝起きしてた
なんて 信じらんないわねー。
*「グゴゴゴ……。
*「おや ようやく お目覚めかい?
ほとんどの人は もう
出発しちまったよ。
*「あんたたちも 対岸へ
旅立つつもりなんだろ?
*「はやくしないと むこうの町に
つく前に 日が くれちまうよ。
*「フウ……開通式も 無事 終わって
ようやく ひと息つけるよ。
*「長年 親しんだ この小屋を
離れなきゃならんのは
ちょっと さみしいけどな。
ガボ「なあ アルス 橋をわたって
対岸に行こうぜ。
ガボ「むこうに なにがあんのか
オイラ 楽しみだなあー。
マリベル「で どうするの アルス?
橋をわたって 対岸に行ってみる?
マリベル「あたしとしては エイミと
バロックさん クリーニさんの
関係が 気になるんだけど……。
マリベル「まあ どっちでも いいから
男らしく さっさと 決めてよね。
*「さっそく 旅人へ 行商人たちが
橋を 行き来しているよ。
*「きっと この風景は 何百年先でも
変わらずに 続いていくんだろうねえ。
*「ここは 人通りも多いし
当分は ここで 商売することに
決めましたよ。さてと……。
(どうぐ屋)
*「こいつぁ 橋を 作るのに
あまった資材なんだが これを
かたづけるのは ひと苦労だよ。
*「いっそ この資材を つかって
ここに 何か 作っちまうってのも
いいかもな。
*「立派な橋も ええもんじゃが
わしゃ やっぱり 昔ながらの
渡し舟が なつかしいのう。
*「橋も 開通したことだし
一度 むこうの しんせきの家を
たずねようと 思ってるんですよ。
*「おら 都会に 出て ぜったいに
ひとはた あげてやるだあよ。
*「橋が 開通してくれたおかげで
行商するのが ずいぶん
楽になったよ。
*「さ〜て かせぐぞぉ〜!
*「ウワサの 大きなハーブ園から
ハーブの苗を 買いつけてくる
予定なんです。
*「いいものが 買えるとよいのですが。
*「オレは 武者修行のため
いろんな土地を 旅しているのさ。
*「ここいらの モンスターは
はたして 手ごわいかな?
*「こちらには バロックという
有名な建築家がいるそうですな。
*「わたしは 彼の建築を 見るために
やってきたんですよ。
*「橋が 開通したっていうから
見にきたんだよ。
*「ついでだから リートルードの町も
見物していこうかねえ。
*「ようやく 橋が開通したから
記念に 一度 わたっておこうと
思ってのう。
*「そうすりゃ あの世で バアさんに
じまんが できるってもんじゃ。
*「リートルードって 健全すぎて
あたしには あわないのよね。
……いい男も いなかったし。
*「きっと この川の向こうにこそ
あたしに ピッタリの土地があるに
ちがいないわ。
*「そういう 予感がするのよ。
*「あらたなる土地には
いったい どのような出会いが
まっているのでしょうか?
*「考えただけで ワクワクしてきます。
*「べ べつに オレはリートルードで
後ろ暗いことが あるから
にげだすってわけじゃないぞ!
*「オ オレは バロックの作品が
こわれたことなんか 知らないし
さわっても いないんだ!
*「わたしは 布教のために 各地を
旅しているものです。
*「前の土地には 大きな修道院が
ありまして たいそう
お世話に なりましたよ。
*「名前は ギュイオンヌ修道院。
いい所ですから あなたたちも
たずねてみては いかがですか?
*「川向こうの ハーブ園まで
おつかいを たのまれたんですぅ。
*「こういうことって
めったにないから
もう うれしくって。
*「なんだあ この橋は?
みょうちくりんな形してやがるなあ。
*「さ〜て あたらしい土地でも
ジャンジャン かせぐぞ〜。
*「リートルードには トケイっていう
めずらしいモンが あるそうだが
売りモンには ならねえのかなあ?
*「……そもそも トケイって
いったい 何に使うものなんだ?
*「いやあ 本当に この橋のおかげで
対岸に いくのが楽になったなあ。
*「オレは もともと リートルードの
出身だが 渡し舟はなくなるし
こっちに戻れなくて 困ってたんだ。
*「橋が かかって ようやく
帰ってくることが できたよ。
ああ やっぱり 故郷はいいなあ。
*「リートルードという町には
なんでも ずいぶん りっぱな
時計塔が あるそうですね?
*「どうしても それが 見たくて
旅を してきたんですよ。
*「はたして あたらなる土地には
何が まちうけるのか……。
*「フッフッフ。この緊張感が
旅のだいごみってモンだよな?
マリベル「せっかく 助けてあげたのに
だれからも お礼のひとつも
言われないなんて 理不尽よねー。
マリベル「あーあ なんか 助けて
ソンした気分だわ。
ガボ「おんなじ1日を ずーっと
くり返してんのは もしかしたら
幸せなのかもなあ……。
ガボ「だって ずっと 開通式の前の
ワクワクした気持ちで
いられるんだもんなー。
*「この町の北の川を こえていくと
大きな はあぶえんが
あるんだってさ。しってた?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
*「な〜んだ つまんないの。 |
いいえ |
*「エヘヘ ボク ものしりでしょ。 |
*「橋の工事も おわって きっと
バロック氏も ヒマだろう。
*「今なら この教会を 格安で
建て直しては くれないだろうか?
*「……やっぱり ムリだろうなあ。
*「橋が開通して 川向こうから
商売ガタキが 来るように
なりましてねえ。
*「こりゃあ こっちも
負けてられませんよ。では……。
(どうぐ屋)
*「おや? あんたたち エイミを
助けてくれた お客さんだね?
あん時ゃ ホント 助かったよ。
*「でも わるいけど 宿代は
負けてあげられないからね。
エイミ「きゃっ!
…ああ また お皿わっちゃった。
おカミさんに しかられるぅ。
エイミ「あっ あなたたちは!
また 来てくださったんですね。
エイミ「…ゴメンなさい。おどろいて
お皿を わってしまったんです。
ホント 相変わらずの ドジで。
エイミ「と とにかく せっかく
来てくださったんだから
ゆっくりしていってくださいね。
*「本当に このリートルードに
来て 正解でした。
*「バロック先生の作品の数々
想像以上に すばらしかった。
*「こういう すばらしい建築物を
作れる バロック氏は きっと
すばらしい人物なのでしょうね。
*「早速 開通した橋を わたって
この町に 行商に 来たんですよ。
それでは……。
(よろず屋)
*「橋が開通して よその土地から
この町を おとずれる人が
ふえたみたいだね。
*「この宿屋も 相変わらず
はんじょうしているよ。エイミの
ドジも 相変わらずだけどね。
*「ウワサによると バロックさんは
すでに つぎの作品の設計に
とりかかっているらしいぞ。
*「ホントに 次から次へと……
やっぱり 天才ってのは
人間ばなれしてるよなあ。
*「バロックさんは どうして 町に
すまないのかしら?
いろいろ 不便でしょうに。
*「楽しいことが 終わった後って
なんだか むなしくなるわよね。
*「わたしも 開通式が 終わってから
こっち 気が 抜けちゃってねえ。
仕事にも 身が 入らないのよ。
*「わしは 若いころ 川の渡し舟の
船頭じゃった。
*「橋が できたことで その渡し舟が
なくなってしまったのは
ちょっぴり さみしいのう。
*「時の流れってのは いがいと
はやいもんだなあ。
*「橋が 開通するまでは やけに
長く 感じてたんだが いざ
できちまうと あっという間だ。
*「おや? ここは 子供が
うろつくような所じゃないんだぞ。
さあ いった いった。
*「川向こうへも 商売に
いきたいんだが こうして 店を
持ってると それも ままならん。
*「いっそ 弟に この店を ぜんぶ
まかせちまおうかなあ。
*「アニキは よそで 商売を
したがっているみたいなんだが
バカバカしいと 思わねえか?
*「せっかく 店を 持っているのに
なんで 危険な思いをして
行商なんか せにゃならんのだ。
*「どうだい キマってるだろ?
オレの よろい。
*「ひとつ 剣の練習も 本格的に
やってみようかな〜?
*「うちの人ったら よろい姿が
気に入ったらしくて ずっと
あのままの姿で いるのよ。
*「ホント 子供っぽいんだから。
*「こんにちは たびびとさん。
今日は とっても いい
おてんきね。
*「クリーニ先生 最近 なんだか
ふさぎこみがちなのよね。
*「なにか 悩み事でも
あるんじゃないかしら。
*「クリーニ先生の様子が
おかしいというが そりゃ きっと
また バロックがらみじゃな。
*「橋の開通式の日に ふたりが
言い争うのを 見たという者が
おったわい。
*「マジメな 先生は きっと
そのことを 気にしておるんじゃ。
*「今日は 遅れずに 来れたわね。
えらい えらい。
*「しかも わたしより 先に
来ているなんて 少しは
反省したみたいじゃない。
*「あ 当たり前じゃないか。
ボクは 反省したんだ。
もう 二度と 遅れたりしないよ。
*「……今日は たまたま ふん水に
見とれていただけだなんて
口がさけても 言えないな……。
*「ほほう。これが ウワサにきく
時計塔というやつか。
*「なんとも 不思議な形を
したものだなあ……。
だが…… うん おもしろいな!
*「新作の橋も よかったが
わたしは やっぱり
この時計塔のほうが 好きだな。
*「次は どんな作品が 見られるか
今から 楽しみだよ。
*「むこうの バロックさんの作品
いつの間にか こわれてたんだ。
*「いったい だれが やったのか…
ひどいことする奴も いたもんだよ。
*「きっと 犯人は
芸術の わからない奴なんだろうな。
*「どうして こいつは ここんトコ
欠けてんだべ?
これも 芸術ってヤツなのかい?
*「あら 見学者の方ですか?
バロック先生作の この屋敷を
見にいらっしゃったのでしょう?
*「たいして お構いもできませんが
どうぞ こころゆくまで
見学なさってくださいな。
*「だんなさま この間の 開通式で
自分のあいさつが 不評だったのを
すごく 気にしてるのよ。
*「なんだか かわいいわよね。
町長「むう〜 この間の 開通式
わしのスピーチは どうして
不評だったのじゃろうか?
町長「やはり 若者向けに もっと
ギャグを とりこんで
笑いを とるべきじゃったか?
町長「なあ あんたたちは どう思う?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
町長「ふむ やはり そうか。 町長「ようし。そうとわかれば 町長「わしの秘めたる ギャグセンスを |
いいえ |
町長「……そうかね。ウ〜ム では |
町長「あ〜っと……
橋を渡るのは ひさしブリッジ!
町長「……ププッ。
面白すぎて 腰が抜けそうじゃ。
マリベル「さむっ……。
クリーニ「どうすれば バロックを
説得できるのだろうか……。
クリーニ「ん? ああ 君たちか。
どうした ケガでもしたのかい?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
クリーニ「そうか。 なんと アルスたちの クリーニ「ほら これで いくらか |
いいえ |
クリーニ「ちがうのか。ちりょうでは |
*「チクショウ!
こんなところ やめてやる〜!!
ガボ「これじゃ バロックのおっちゃん
こんな山奥で ひとりぼっちに
なっちまうなあ。
マリベル「やっぱりねえ……。
バロックさんの元に いたんじゃあ
そりゃ にげだしたくもなるわ。
バロック「ああ おめえらか。
……まったく 最近の若いやつらは
根性ってモンが ねえな。
バロック「ちゅうとはんぱな 覚悟なら
オレ様の所に 来るんじゃねえや。
こっちが めいわくだ。
バロック「……とは いったものの
仕事の助手なんぞ いらねえが
メシは どうすりゃいいんだ。
バロック「オレは メシなんぞ よう
作れんぞ。そとで くうにも
ここは 山中の一軒家だし……。
バロック「……まあ いいや。
いざとなりゃ また クリーニの
ところにでも ころがりこむさ。
バロック「仕事の助手なんぞ
いらねえが メシやら掃除やらは
どうしたもんか……。
バロック「……まあ いいや。
いざとなりゃ また クリーニの
ところにでも ころがりこむさ。
エイミ「えっ? バロック先生が
困ってらっしゃるんですか?
エイミ「そうですか 助手の方が
いなくなって……。
エイミ「お料理や おそうじなら
あたしでも お手伝いできるし
お助けしたいんだけど……。
エイミ「あたしには この宿屋での
仕事があるし あんな山奥へ
通うのは とてもムリだわ。
エイミ「バロック先生が
町の方に 住んでいらっしゃれば
お手伝いもできるのに……。
クリーニ「なんだって?
バロックの所の 助手が
にげだしたって?
クリーニ「やれやれ またかい。
まあ 今度は 半年……
よく もったほうか。
クリーニ「それで あいつは しばらく
ここに やっかいになろうって
考えてんだろ? 毎度のことさ。
クリーニ「……いや まてよ。
こいつは ひょっとしたら
いい機会かも しれんな。
クリーニ「あいつが ここにくれば
自然と エイミと 会うことも
ふえるわけだし……。
クリーニ「……ああ とにかく
君たちも ご苦労だったね。
教えてくれて たすかったよ。
マリベル「まあ 後のことは
本人たちしだいってことね。
マリベル「あたしたちに できることは
もう 別に ないんじゃない?
そろそろ 帰りましょうよ。
クリーニ「バロックが ここに
いそうろうするってんなら
それも いい機会かも しれんな。
クリーニ「あいつが ここにくれば
自然と エイミと 会うことも
ふえるわけだし……。
クリーニ「……ああ とにかく
君たちも ご苦労だったね。
教えてくれて たすかったよ。
ガボ「いろんな人たちが 橋を
わたってくんだなー。
見てて あきねーぞ。
マリベル「ここも 人通りが
たえないわね。ほら アルス
ボケッとしてると ぶつかるわよ。
*「ううむ。やっぱり バロックの
造形は すばらしいなあ……。
*「何ともいえない 味わいがあるよ。
うん。
*「いやあ おかげさまで 一番に
橋を 渡ることが できましたよ。
*「開通式に おおぜい 人が
押しかけてきたときには
どうなることかと 思いましたがね。
*「何でも 話によると
橋をこえて こちら側には
大きなハーブ園が あるとのこと。
*「いったい どんな所なのか。
楽しみですなあ。
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