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マリベル「へ〜 こんなとこに
宿屋が 1軒だけ あるなんて
変わってるわね。
ガボ「オイラ こういう建物って
好きだな。木こりのおっちゃんち
みてえだもん。
アルスは 立て札を 読んだ。
”クレージュの村へ 向かわれる方は
当宿屋で お泊まりを”
と書いてある。
*「あんたたち 見ないカオだが
もしかして 西のクレージュ村へ
いこうってのかい?
*「だったら 悪いことは言わねえ
やめときな。
*「あそこも 少し前までは そぼくな
いい村だったんだけどよ 今じゃ
すっかり 様子が変わっちまった。
*「クレージュ村の ありさまは
やっぱり ウワサの
ご神木のタタリなのかねえ……。
*「もう 名物の うまい井戸水も
飲みにいけやしないよ。
ガボ「名物のうまい水かあ……
オイラも 飲んでみてえぞ。
*「言い伝えによると
ご神木の 近くにうめた死体は
ゾンビになってしまうそうです。
*「あれは きっと
人間が近づいちゃ
いけないものなんですよ。
*「この先にある クレージュの村
その北には そりゃあ大きな
古木が あってのう……。
*「ご神木なんて よばれとるが
なんでも キズつけたりすると
タタリが おきるそうじゃ。
*「それで 村の者は おそれて
だ〜れも 近づかんという話じゃ。
マリベル「バッカみたい!
ご神木なんて言っても しょせん
木は 木じゃないの。
マリベル「そんな タタリなんて
迷信に 決まってんじゃない。
*「わたくしは 旅の神父。
ゆく先々で 神の教えを
広めております。
マリベル「へ〜 大きな木ねえ。
からの水さしが おいてある。
まるで 息をしていないかのような
深い眠りに おちているようだ。
マリベル「なんなのよ あのコは!
とんでもない ねぼすけね。
ガボ「ウガァ ちっとも 起きねえ
ねーちゃんだな。
ガボ「マリベルよりも ねぼすけだぞ。
マリベル「ちょっと ガボ!
ききずてならないわね。 いつ
あたしが ねぼうしたってのよ!?
ガボ「あれっ? このあたりは
イヤな ニオイが しねえ……。
*「グルルルル バウ バウ!
*「わたしは 旅の戦士。
この村に 魔王があらわれたと
きいて やってきたのだが……。
*「なんなのだ ここの村人たちは。
自分こそが 魔王だ 魔王だと……。
わたしを バカにしているのか?
*「ウィ〜 ヒック!
へへへ オレも もうすぐ
あいつらみたいに なっちまう。
*「わかるんだよ。自分の心が
どんどん 闇にそまってくのがな。
*「へへへ これが 飲まずに
いられるかってんだ。ヒック!
ガボ「う〜 ここの村人 なんか
おかしいぞ。それに みんな
イヤ〜な ニオイさせてる……。
マリベル「ちょっと なによ!
ここの村人は。 ふざけるのも
たいがいにしなさいよ。
*「うふふふ。
*「われこそは 魔王。
おろかな人間どもよ
われを おそれ あがめるがよい。
*「うふふふ。
*「グヘヘヘ……
オレさまは 魔王だぞ〜。
強いんだぞ〜。
*「ウ……ウオオオ!
なにか……なにか こわすものは
ねえか〜!
*「なにか こわしてねえと 気が
狂っちまいそうなんだ〜!
*「ウオオオ〜!
こうなりゃ この家ごと
ぶちこわしてやるぜ〜!
*「ウオオオ〜!
こわれろ こわれろ こわれろ〜!
*「オレのことは ほっといてくれ!
こうして 眠りながら 心が
闇にそまるのを 待ってんだから。
*「外の連中を 見ただろ?
ああなっちまえば もう なにも
苦しむこともないんだ。
*「だから オレは こうして
ひたすら 待ってんのさ。
さあ もう ジャマしないでくれ。
*「う〜ん 美・味!
*「この井戸水こそ
魔王である わたくしの のどを
うるおすに ふさわしいわ。
*「グヘヘヘ……うめえ うめえ。
この井戸の水は たまらなく
うめえぜ。グヘヘヘ……。
*「なに? 買い物したいだあ?
*「ケケケ イヤだね!
だれが おまえたちみたいな
びんぼう人を 相手にするかよ!
アルスは 井戸のなかを
のぞきこんだ。
むらさき色のけむりが 満ちて
井戸の底は 見えない。
ガボ「あの井戸の中 ハナが
ひんまがりそうな イヤ〜な
ニオイがしたぞ。
ガボ「オイラ クラクラしちまった。
*「オホホホ……。
旅の方 あなたも 魔王さまを
信仰なさいませ。
*「そうすれば 全ての苦しみから
すくわれましてよ。
オホホホ……。
*「おお 神よ ど どうか わたしを
おすくいください。
*「わたしの中に じょじょに 悪の心が
め 芽生えてくるのです。
ああ いまにも……いまにも……。
*「…………。
*「グ……グフフフ。
か 神に祈るなど ばかばかしい!
なあ あんたも そう思うだろ?
*「グフ グフフフ……。
*「グフフフ……。わたしは今まで
なんと つまらないことを
やってきたのか……。
*「神のチカラなど この魔王には
必要ないわ。
グフ グフフフ……。
*「くそっ なんだべ!
この石っころは! じゃまくせえ!
ん? これを欲しいべか?
*「ぐははは! ふざけるでねえだ!
なして 魔王さまであるオラが
おまえらなどに……
*「……はっ!?
オラ 今 なに言ってただ!?
どうも 最近 おかしいだべ。
*「だれが 本物の魔王か
今日こそ はっきりさせてやる!
*「あたしが 本物の魔王だと
なんども 言ってるでしょうが!
*「あんたたちなんか
およびじゃないんだよ。
*「オレさまこそが 真の魔王だ。
どんな手を もちいてでも
それを 証明してみせよう。
*「そろそろ だれが 真の魔王か
決着を つけたいところだな。
*「おう のぞむところだぜ。
*「だが どうやって決める?
どんなことをすれば オレさまが
真の魔王だと 証明できる?
*「それについては オレに
いい考えがある。村の北にある
ご神木を 切りたおすんだ。
*「あれを キズつけると タタリが
あるとの評判だが 真の魔王ならば
なにを おそれることがあろう。
*「どうだ?
この勝負 のってみないか。
*「そ そうか ご神木をな……。
い いいだろう やってやるぜ。
*「ご神木のタタリか。そ そりゃ
ちょうどいい。だ だれが
真の魔王か 教えてやろう。
*「い いいアイデアね。
この魔王さまが タタリなんて
おそれることはないものね。
ガボ「魔王 魔王って ホントに
あいつら 魔王なのか?
ガボ「なんか オイラが思ってたのと
ぜんぜん ちがうぞ。
*「さあ タタリなど なにも
おそれることはない。
ご神木を 切りたおすのだ!
アルスは 本だなを調べた。
「カミを育てる方法」という本が ある。
しかし アルスには 興味が
なかった。
村長「これは 旅のお方……。
悪いことは言わん。早いとこ
このクレージュを はなれなされ。
村長「あんたがたも 見たじゃろうが
この村の者たちは みな
おかしくなってしもうた。
村長「かく言う わしも じょじょに
この村を つつむ 毒気に 体を
むしばまれつつあるのじゃ……。
村長「ともかく この村におっては
あんたがたの身にも よくない。
さあ 早く 出ていきなされ。
村長「おお そうじゃった。
あんたがた まってくだされ!
村長「あんたがたに ひとつ
たのみたいことが あるんじゃ。
村長「このクレージュ村の北に
ご神木とよばれる 大きな古木が
生えておるのは 知っておろう。
村長「じつは そのご神木の根元に
住んでいる 風変わりな少女が
おるんじゃが……。
村長「その娘にも この村の様子を
教えて 決して ここには
近づかんよう つたえてくれんか?
村長「めんどうとは思うが
わしは もう ロクにうごけん。
どうか たのまれてくれんかの?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
村長「おお たのまれて くださるか。 |
いいえ |
村長「そうか……。 村長「たのまれる 筋合いの話では |
断った場合
村長「どうか 先の短い老人の
たのみと思って 思いなおして
くださらんかのう?
村長「この村の北にある ご神木。
そこに住む少女に 村へは
近づかんよう つたえてくだされ。
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
村長「おお たのまれて くださるか。 |
いいえ |
(ループ) |
ガボ「アルス オイラ
そのゴシンボクっての
見てみたいぞ。
マリベル「いきなり 村から
出てけって言ったと 思ったら
今度は たのみごと?
マリベル「まったく 調子のいい
じいさんね。
アルスも そう思うでしょ?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
マリベル「あら? 半病人相手に……。 |
いいえ |
マリベル「……あんたって ホント |
マリベル「アルス
ボヤボヤしてないで さっさと
その木のとこに 向かうわよ。
村長「この村の北にある ご神木。
その根元に住む 少女じゃ。
お願いしましたぞ。
ガボ「村ん中ほどじゃねえけど
ここら辺の森も イヤなニオイが
すんなあ。
まるで 息をしていないかのような
深い眠りに おちているようだ。
ガボ「ウガァ ちっとも 起きねえ
ねーちゃんだな。
ガボ「マリベルよりも ねぼすけだぞ。
マリベル「ちょっと ガボ!
ききずてならないわね。いつ
あたしが ねぼうしたってのよ!?
マリベル「まったく むかつくわね……
で どうすんのよ? もう1度
村長さんのとこに いこうか?
マリベル「なんなのよ あのコは!
とんでもない ねぼすけね。
マリベル「アルス どうすんのよ?
もう いっぺん 村長さんのとこに
いって 文句言ってやろっか。
マリベル「アルス
ボヤボヤしてないで さっさと
村に 向かうわよ。
*「ジャマだ どけっ!
*「いざ 神木を 切りたおしに
ゆかん!
*「タタリなど なにも
おそれることはないっ!
*「クックック……。
せいぜい がんばってくださいよ。
おろかな魔王さま……。
ガボ「さっきのヤツら ご神木を
切るって言ってたよな。
アルス 止めなくていいのか?
マリベル「なによ さっきの連中。
むこうから ぶつかっといて
あやまりもしないなんて!
マリベル「……でも なんだか
気になること 言ってたわね。
後を つけてみよっか?
*「さすがに 名物というだけあって
ここの井戸水は うまいな。
*「まるで 心まで
とろけていくみたいだよ。
グフ……グフフフ……。
村長「あんたがた また 来たのか?
あれほど言ったのに……まったく
し…しょうのない人たちじゃ。
村長「ううっ……ダ ダメじゃ。
意識が もうろうとしてきた。
村長「わ わしが こうして
まともに 話せるのも
あと わずかの間じゃ。
村長「……ご神木の根元に住む
少女のこと。
くれぐれも たのみましたぞ。
*「ウヘヘヘ
切りたおせ 切りたおせ〜!
*「本物の魔王は このわたしだ〜!
*「ヘッヘッヘッ
あたしゃ タタリなんて
ちっとも こわかないんだよ〜!
*「そうだ やってしまえ!
魔王に おそれるものなど
なにもないのだ!
*「や やめてくだ…さい。
この木を キズつけ…ないで……。
*「うるせえ 小娘が!
魔王さまに さからうか!
マリベル「ちょっと アルス
あれを見て ほっとく気ィ!?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
マリベル「見そこなったわね。 マリベル「キーファのヤツが きいたら |
いいえ |
マリベル「だったら あたしに |
*「やめて……おねがい……。
*「なんだ?
おまえたちも この魔王さまの
ジャマを しようってのか?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
*「なにぃ! *「どうした? そやつら *「この魔王さまに さからおうとは *「どーれ それでは 相手を *「……あ あれ? おかしいな。 *「ハッハッハ なにをやっている? *「メラゾーマ!! *「……な なぜだ? *「フフン どうやら *「……あ あら おかしいわね。 |
いいえ |
*「だったら 痛い目を 見ないうちに |
*「えーい なにをやっているんだ!
ジャマな ガキどもの相手は
わたしがしてやる!
*「おまえたちは さっさと その木を
切りたおしてしまえ!
*「よ よし。そこまで言うなら
後のことは まかせたぞ。
*「そ そうね。
こんなガキども この魔王自身が
手を下すまでもないわね。
*「それもそうだな。オレたちは
勝負を 続けることにしよう。
*「チッ!
まったく つかえねえヤツらだ!
*「……さて こしゃくな ガキども
どういうつもりか知らんが
わが計画のジャマは させんぞ!
あやしい男戦
ガボ「クンクン…
こいつ 魔物のニオイが すっぞ!
アルス 気をつけろ!
マリベル「な なによ こいつ!
あたしたちと 戦おうっての?
*「チッ!
ここでは 場所が悪いな。
*「貴様たちのような ガキどもに
わが計画が ジャマされるとは……。
*「覚えておけ! この礼は
いずれ必ず させてもらうぞ!
*「しょせん アイツでは 相手に
ならんか……。だが 忘れるな
真の魔王は このオレだ。
*「おまえたちは 魔王に
勝ったわけでは ないのだ。
フハハハ……。
*「フ…フフン なかなかやるな。
だが このわたしと 戦うには
まだまだ……。
*「しかし この場はいったん
ひいてやろう。
感謝するがよいぞ。
*「や やるわね……。
お 面白いじゃない。その命
今は あずけておいてあげるわ。
ガボ「アルス〜 あのねーちゃん
ほっといていいのか?
マリベル「なによ アイツら
えらそうなこと言って じつは
てんで だらしないじゃない!
マリベル「アルスが
しっかりしないから あんなのに
なめられるのよ。
どうやら 気を失っているようだ。
少女を 小屋まで はこびますか?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
アルスたちは 少女を |
いいえ |
(何も起こらない) |
*「あ…あなたがたは……?
*「そうだ……木は ご神木は
ぶじなのですか?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
*「そう…ですか……よかった。 |
いいえ |
*「そ…そんな…… (ループ) |
はい/いいえ | |
---|---|
はい/いいえ |
*「いいえ なにも 言わなくても |
*「失礼しました。この森の地下を
流れる水脈が汚され 森が…そして
私の体までもが 弱っているのです。
*「もし ご神木がなかったら
この森も 私も とうの昔に
息たえていたでしょう。
*「ご神木は 汚された水を 浄化し
おおいなる いやしのチカラを
もたらす 神の木ですから……。
*「でも まさか クレージュ村の
人たちが ご神木を
切りたおそうとするなんて……。
*「きっと 彼らは 魔王の呪いで
汚された水を 飲んでしまって……
うっ! ゴホッ ゴホッ!
*「今日は 少し疲れました……。
せまいところですが みなさんも
どうか 休んでいってください。
アルスたちは 少女の小屋で
一夜を 明かした。
ガボ「ふわあ……オイラ まだ
ねむいぞ。
マリベル「あ〜あ できれば
ちゃんとしたベットのある所で
ねむりたかったわ。
*「う ううっ……ゴホ ゴホ!
*「……す すいません。
体がつらくて 起きるに
起きられないんです……。
*「申し訳ありませんが そこの
水さしで ご神木の朝つゆを
くんできてもらえませんか。
アルスは
エルフのみずさしを 手に入れた。
美しく すきとおった 朝つゆだ。
なにか 入れ物が あれば
集めることが できるのだが……。
アルスは
エルフのみずさしを 使った!
たちまち エルフのみずさしは
神木の朝つゆで 満たされた。
アルスは
神木の朝つゆを 手に入れた。
*「ううっ……ゴホ ゴホ!
*「神木の朝つゆさえ 飲めば
うごけるようになると思うのですが…。
アルスは 少女に 神木の朝つゆを
飲ませた。
*「……ありがとうございました。
おかげで ずいぶん 体が
楽になりました。
*「それにしても 水さしから
あふれる程の 朝つゆが とれるなんて
……こんなの 初めてです。
*「これだけの朝つゆがあれば
村の人々を すくうことが
できるかもしれません。
*「ご神木の いやしのチカラを
持つ この朝つゆならば 村人の
呪いを 清められるかも……。
*「問題は 村人が 素直に これを
飲んでくれるかですが……。
でも ためす価値は あると思います。
*「おねがいします。
どうか この朝つゆのチカラで
村人たちを すくってください。
*「私は ご神木から はなれることが
できないので……みなさんしか
たよれる方が いないのです。
ガボ「なあ アルス。
その神木の朝つゆっての
ちょっとだけ なめてもいいか?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
ガボ「やったー! ガボ「……ん。 |
いいえ |
ガボ「アルスのケチンボ〜。 |
マリベル「ホントに こんな水
飲ませたくらいで あの連中が
どうにかなるのかしら?
マリベル「だいたい あのコも
ひとりで 木の根元になんか
住んでて なんか 怪しいのよね。
アルスは 神木の朝つゆを
飲ませようとした。
*「キャン キャン!
犬は 神木の朝つゆに ふれるのも
さけて にげだした。
アルスは 神木の朝つゆを
飲ませようとした。
*「ウィ〜 なんだあ お冷やか?
せっかくの酔いが 冷めちまうぜ。
いらねえよ!
*「フー フー。
こわすもの……こわすものは
ねえかぁ……。
アルスは 神木の朝つゆを
飲ませようとした。
*「そんなに 水さしを 近づけると
オレ こわしちまうぜ それ。
*「大事なモンなら キチンと
しまっときな。
アルスは 神木の朝つゆを
飲ませようとした。
*「えっ その水さしの水を
飲めですって?
*「イヤよ。
そんな 得体の知れない水 だれが
飲むもんですか。
*「ふう……走りまわっていたら
ノドが かわいちゃったよ。
*「また あの あまくって おいしい
井戸水を 飲みにいくかな。
グヘヘヘ。
アルスは 神木の朝つゆを
飲ませようとした。
*「ああん その水を 飲めって?
*「いらねえよ。飲むんだったら
井戸の水を 飲むからな。
*「スー スー。
どうやら ぐっすり
眠っているようだ。
アルスは 神木の朝つゆを
飲ませようとした。
*「スー スー。
しかし 男は ぐっすり眠っていて
とても 起きてくれそうにない。
*「ウヒヒヒ……。
次は 石まいてやるべえか。
塩まいてやるべえか。
*「ああ 畑あらすのは 楽しいべ。
アルスは 神木の朝つゆを
飲ませようとした。
*「なんだべ あんたたちは?
オラの畑で 勝手に 水まこうと
するのは やめてくれろ。
*「神は ほろびた。
魔王……そう つまり この私が
ヤツを たおしたのだ。
*「そんなものに すがるなど
おろかなことよ。
グフ グフフフ……。
アルスは 神木の朝つゆを
飲ませようとした。
*「その水さしの水を 飲めだと?
……うるさい! わたしに
命令するなぁ!
アルスは 神木の朝つゆを
飲ませようとした。
*「あら なんですの?
水さしなんか にぎりしめて。
*「なかの水を 飲めですって?
イヤよ けがらわしい。
*「この前の勝負 ジャマさえ
入らなきゃ あたしが
勝ってたに ちがいないんだ。
*「……って あんたたちは あの時の
ジャマ者じゃないか!
あ あたしは 戦わないからね。
*「い いや 真の魔王は
あんたたちみたいな ガキは
相手にしないのよ。
マリベル「ちょっと アルス
あんなこと 言わせといていいの?
マリベル「あんたも なにか ガツンと
言ってやんなさいよ!
アルスは 神木の朝つゆを
飲ませようとした。
*「神木から とれた 朝つゆを
あたしに 飲めって?
そりゃ いやがらせのつもりかい?
マリベル「やっぱりねえ……。
こんなもの ハイ そうですかって
飲む お人好しは いないわよねえ。
ガボ「う〜 だ〜れも 朝つゆ
飲んでくれねえぞ。
*「ウヘヘ……わたしは 旅の戦士。
だが もう この水なしでは
いられぬわ。
*「こうなったら この村に 住んで
ずっと ここの井戸水を
飲みまくってやるぜ。
アルスは 神木の朝つゆを
飲ませようとした。
*「その水さしの 水を 飲めと?
*「……エンリョしておこう。
ここの井戸水の方が よほど
うまいだろうからな。
*「この人たち 自分こそが
真の魔王だとかいって
勝負してたらしいけど バカよねえ。
*「本物の魔王は このわたしに
決まってるのに!
アルスは 神木の朝つゆを
飲ませようとした。
*「魔王たる者 飲む水だって
自分に ふさわしいものしか
飲まないのよ。
*「ああ うめえ うめえ。
この水を 飲むと 気持ちが
おちつくぜえ。
アルスは 神木の朝つゆを
飲ませようとした。
*「あん 神木の朝つゆぅ?
いらねえな。飲み水なら
この井戸の水で じゅうぶんだぜ。
*「なんでも この魔王さまを
倒そうとしている 3人組のガキが
いるそうじゃねえか。
*「まあ そんな連中 来たところで
返りうちだがな!
ガハハハ……。
*「……うん? そういやあ
おめえらも 3人組だな?
アルスは 神木の朝つゆを
飲ませようとした。
*「なんだあ? 神木の朝つゆを
飲めだあ!?
*「……気にいらねえなあ。
この魔王さまにむかって
命令すんじゃねえ!
*「ぬぬう……たかが 人間ごときに
びびって にげるとは われながら
魔王失格……。
*「ハッ!
き 貴様たちは!?
*「フ フハハハ……この間は
なかなか 楽しませてくれたな。
*「それに めんじて 今日のところは
見のがしてやろう!
フ フハハハ……。
アルスは 神木の朝つゆを
飲ませようとした。
*「うっ! 貴様ら 今度は
なんの用だ? 言っておくが
戦う気は無いぞ。
*「おや また お会いしましたね。
……いえいえ 今日は 戦う気は
ありませんよ。
*「それより どうです?
この井戸の水を 飲まれては?
いちおう この村の名物ですよ。
アルスは 神木の朝つゆを
飲ませようとした。
*「ゲゲッ! そ そのイヤな香りは
まさか 神木の朝つゆ?
*「や やめてくれ!
そんなものを 近づけるのは。
アルスは 神木の朝つゆを
飲ませようとした。
*「なんだぁ いきなり!?
そんな安物の水さしなんざ 見せても
買いとりゃしねえよ!
村長「わしは……わしは もう
ダメじゃ。こ…心の中が 悪に
そまっていくぅ……。
アルスは 神木の朝つゆを
飲ませようとした。
村長「う…うん? なんじゃ
その水を わしに 飲めと……?
村長「おお これは ご神木から
とれた 朝つゆなのか……。
どれ……ゴク ゴク……。
村長「プハァ〜!
す すごい! 体中に チカラが
みなぎるようじゃ。
村長「これが ご神木のチカラ……。
いける! これならば きっと
村の者たちを 元にもどせるぞい。
村長「あんたがた もし この村を
すくってくれるというなら
たのみたいことが あるんじゃ。
村長「その朝つゆを 全て 村の井戸に
まいてくだされ。あれは 村で
ただひとつの水源なんじゃ。
村長「おまけに 外の連中ときたら
井戸水ばかり 飲みおるからな
きっと うまくいくはずじゃ。
マリベル「たしかに あの連中ときたら
井戸水ばっかり 飲んでて。
ちょっと 不気味なくらいよね。
マリベル「あの水 なんか悪いモンでも
入ってんじゃないのかしら?
ガボ「アルス はやく 朝つゆを
井戸に まいちまおうぜ。
アルスは 井戸に
神木の朝つゆを 入れようとした。
しかし…
*「おや? この井戸に 妙なものを
いれないでくださいよ。
*「お〜い みんな!
こいつらが われわれの井戸に
妙なものを 入れようとしてたぜ。
*「ひょっとしたら 毒物かも
しれんぞ〜!
*「なにい!
*「とんでもないヤツらだ!
*「全員で たたんじまえ!
*「いや まて!
こいつらは これで なかなか強い。
うかつにしかけると イタい目を見るぞ。
*「それよりも みんなで 井戸を
かこんで 毒など 入れられぬよう
見はるんだ。
*「おい そこの商人!
おまえも こっちにきて 手伝え!
*「はいよ。わたしも 井戸に
毒なんか 入れられちゃ
たまったもんじゃないからね。
マリベル「ハラたつわね〜 もう!
アルスが ボケッとしてるから
ジャマされちゃうのよ。
ガボ「ぐう〜 あの男 オイラたちの
ジャマばっかりしやがるなあ。
にくたらしいぞ!
*「フン 神木の朝つゆとは
やっかいなものを 持ってきて
くれたもんだ。
*「しかし どうするね?
村人たちを たおしてでも 井戸に
放りこむつもりかい?
*「こんな うまい水に 毒など
流そうとするとは……。
*「ええい! そこへ なおれ。
斬りすててくれるわ!
*「魔王たる者 ちょっとやそっとの
毒なんて へでも ないけどね。
*「まあ 念には念を……ってやつさ。
*「このわたしの命を ねらって
井戸に 毒を 投げこもうと
するなんて……。
*「ねらいは よかったけれど
どうやら 運が なかったようね。
*「グヘヘヘ……この井戸水は
オレさまのモンだ。
汚そうとするヤツは ゆるさねえ。
*「井戸に 毒をいれようったって
そうはさせねえぞ。
グヘヘヘ……。
*「わたしは ここの井戸水を
どこか 別の町ででも 売ろうと
考えていたんだ。
*「商売のジャマしてもらっちゃあ
困るなあ。
*「正面から 戦ったのでは
勝てぬからといって ずいぶん
ひれつな手を 使うじゃないか。
*「まったく 魔王の風上にも
おけんヤツらよ。
……あれ? なんか おかしいな?
村長「なぬ? 井戸に朝つゆを
まこうとしたら 村の者たちに
ジャマされたじゃと?
村長「むむう……いや まだ 方法は
あるぞ。あの井戸は この一帯を
流れる地下水脈に 通じておる。
村長「どうにかして その地下水脈に
入れれば 井戸の中まで
つながっておるはずじゃ。
マリベル「地下水脈〜?
ホントに そんなもの
あるのかしら?
マリベル「あの村長の 言うこと
どうも ハッキリしないのよね。
ガボ「地下水脈かあ……
なんか どっかで 聞いたような
気がすんなあ。
*「そうですか 村人たちが
ぼうがいを……でも 朝つゆを
井戸に入れるのは いい手ですね。
*「たしか あの井戸は この森の
地下水脈に つながっているはず。
それなら……。
*「わたしは ご神木の根元に
地下水脈へ通じる 穴があるのを
しっています。
*「あそこからなら 村の井戸へ
行くこともできましょう。
穴の入口へ ご案内します。
*「ですが 気をつけてください。
地下水脈の中には 水を汚した
魔王の手下が いるはずですから。
*「おそらく この中は すでに
魔物の巣に なっているでしょう。
*「くれぐれも 気をつけて
くださいね。
ガボ「アルス はやく
地下水脈に もぐって 朝つゆを
まいちまおうぜ。
マリベル「アルス
ボヤボヤしてないで さっさと
地下水脈に 向かうわよ。
マリベル「こんな地中に とんでもない
大空洞が あったのね。
ちょっと ビックリだわ。
ガボ「ここに もぐると やっぱり
イヤなニオイが すんなあ。
*「エッホ! エッホ!
*「ケケケケ さあ 者ども
働け 働け。
*「魔王様の念の こもった水を
まきちらし この水脈を
汚しつくすのだ!
*「なんだ 貴様らは?
どこから あらわれた?
*「……そうか 貴様たちだな。
人間どもに 神木を切りたおさせる
計画を ジャマしたというのは……。
*「ムムッ!
そ その手に 持っているのは
まさか 神木の朝つゆか?
*「……なるほど そいつを つかって
この水脈の水を 清めようって
つもりか……。
*「だが このオレさまが いるかぎり
そんな勝手は させんぞ!
さあ かかってこい!
いどまじん戦
ガボ「こいつが毒を まいたのか!
よ〜し 早く こいつを 倒して
毒を 消しちまおうぜ。
マリベル「井戸の中に また 井戸を
作ってるなんて 非常識なヤツね〜。
*「バ バカな このオレさまが……。
ガボ「アルス〜
たしか ここで なんか
やるんじゃなかったっけ?
ガボ「う〜ん。オイラ よく
おぼえてねえけど たしか なんか
やるはずだったんだよ。
マリベル「アルスっ!
あんたって 昔っから いいかげん
忘れっぽいヤツね。
マリベル「まだ ここで やることが
あったんじゃないの?
ホントに おまぬけなんだから。
むらさきの色のけむりが 満ちて
井戸の底は 見えない。
アルスは 神木の朝つゆを
水面に まいた。
*「イテテテ……。
な なにが起こったんだ?
*「あ あれ? どうして オレは
こんなとこにいるんだ?
*「まるで……まるで 長い 悪夢から
目が覚めたような気分だ。
*「うう……なんだったんだい
今の光は?
まるで 心が 洗われるような?
*「ふしぎだ……心と体が ス〜ッと
軽くなっている。
*「アチチ……いてえ いてえよう!
こ…これは まさか
神木のチカラなのか……?
*「なんだ この人?
えらく 苦しんでるけど……。
ガボ「これで イヤなニオイは
消えたぞ。でも なんだか
上が さわがしいなあ。
マリベル「目的は はたしたんだから
さっさと こんなとこ 出ようよ。
井戸の中には きれいな水が
たたえられている。
*「お…おのれぇ またもや
貴様たちのしわざかぁ……。
ことごとく ジャマをしてくれる!
*「ちょっと あんた 大丈夫かい?
そのキズ……ヤケドでも
したのかい?
*「ええい うるさい!
どけぃ!
*「おい おまえ。
なんてことを するんだ!
*「ジャマだ!!
*「いまいましい人間どもめ。
かくなる上は この村ごと
貴様らを 焼きつくしてくれる!
ウルフデビル戦
マリベル「作戦が 失敗したからって
ヤケになって あばれるなんて
こいつ 三流の魔物ね。
ガボ「こいつ やっぱり
魔物だったんだな。
オイラの 思った通りだったぞ。
ガボ「アルス とりあえず
村長のじいちゃんとこに
いってみようぜ。
マリベル「あ〜あ 今日は もう
疲れちゃったわ。ふかふかの
ベッドで はやく 休みた〜い。
*「ふええ……た たすかったわ。
あなたたちは 命の恩人よ。
*「あんたたち 見かけによらず
えらく 強いんだねえ。
*「やっぱりねえ。あたしゃ
最初っから あんたたちは
ただ者じゃないと 思ってたよ。
*「うう かたじけない。
*「この村に 魔物退治にきたのに
まんまと魔物のワナに
かかってしまうとは……。
*「いやあ それにしても みごとな
ウデマエですな。
*「えっ わたしですか?
ええ大丈夫です。ケガのほうは
自前の薬草で なおしちゃいました。
*「なんだか すべてが 悪夢の中の
出来事だったような
気がするんです……。
*「この私が ご神木を
切りたおそうとするなんて……。
ああ なんて おそろしい。
*「こんなガキどもが 怪物を
たおしちまうなんて……こりゃ
やっぱり 夢にちげえねえや。
*「ご神木を 切りたおそうとしてた時は
いろいろ 失礼なこと 言っちゃって
すみませんでした。
*「……あのう ボクのこと
別に 怒ってませんよね?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
*「よ よかった……。 |
いいえ |
*「ひ〜っ す すいません! |
*「ねえねえ あたし さっきまで
まおうだったんだよ。
*「……でも まおうって いったい
なんなのかなあ?
*「すごいや お兄ちゃんたち!
あんな強そうな 怪物を
たおしちゃうなんて!
*「……フウ。やっと 気持ちが
おちついたよ……。
*「にしても どうして 急に
元に もどったんだ? さっき
まどの外に見えた 光のせいか?
*「クーン クーン。
*「うぐぐ……あ アタマ いてえ。
妙な夢まで 見るし こりゃ
完全に ふつかよいだな……。
*「ええい!
こうなりゃ むかえ酒だあ!
*「スー スー。
なにごとも なかったかのように
ぐっすり 眠っている。
マリベル「なんか 腹立つわね〜。
カオに ラクガキでも
してやろうかしら。
*「な…なんてことだべ!
オラの畑が ムチャクチャに
なっちまってるだ。
*「……いんや 自分で やったのは
おぼえてるんだども……どうして
オラ こんなことしたんだべか?
*「自分が なんだか
わかんなくなってきたべ。
*「あ あら? わたくし なにか
変なことを 口走っていたような?
*「ああ 神様。
わたくしを お許しください。
*「にくむべきは 井戸水に 毒を
混ぜた 魔物たち……。
そんなことは わかっています。
*「……ですが そのせいとはいえ
わたしは 神に うたがいの心を
持ってしまった。
*「神よ。わたしは この罪を
どうやって あがなえば
よいのでしょうか?
村長「いやはや どうにか
うまくいったようじゃのう。
本当に ありがとうよ。
村長「あんたがたが 来てくれなんだら
今ごろ この村と ご神木は
どうなっていたことやら……。
村長「……ともかく みなさん
さぞ おつかれのことじゃろう。
村長「村の連中も あらためて
礼を 言いたいだろうし 今夜は
わしの家に 泊まっていきなされ。
いいえ | |
---|---|
いいえ |
村長「おや? まだ なにか 村長「じゃったら その用事が |
*「森の木々が こんなにも
生き生きと よみがえって……。
*「魔物をたおし 井戸に
ご神木の朝つゆを まくのに
成功したのですね。
*「やはり あなたがたは わたしが
見こんだ通りの方たちでした。
*「……あなたたちには お礼を
しなければ なりませんね。
明日 また ここに来てください。
*「その時に お礼の品を
さしあげます。そして
わたしの正体のことも……。
マリベル「正体……? やっぱり
あのコ ただ者じゃないみたいね。
ガボ「お礼くれるって?
なんか 食いモンだといいなあ。
ガボ「楽しみだなあ。
はやく 明日に なんねえかな。
村長「用事は すんだかね?
ならば つかれておろうし 今晩は
ウチに 泊まっていきなされ。
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
村長「では ごゆっくり お休みくだされ。 |
いいえ |
(ループ) |
村長「おお 起きたかね。
昨夜は よく お休みでしたのう。
村長「まあ あんな怪物を
倒したんじゃものなあ……。
つかれてても 無理はないわな。
村長「そうそう 今朝早く ご神木まで
いってきたんじゃが あそこの
娘さんから 伝言があったんじゃ。
村長「なんでも あんたらに キチンと
お礼がしたいそうでな 帰りに
寄っていってほしいそうじゃ。
ガボ「お礼くれるって?
なんか 食いモンだといいなあ。
楽しみだなあ。
マリベル「それじゃ アルス
ボヤボヤしてないで さっさと
あのコんとこに いくわよ。
村長「ご神木のところの 娘さんから
あんたがたに 伝言じゃ。
村長「なんでも あんたらに キチンと
お礼がしたいそうでな 帰りに
寄っていってほしいそうじゃ。
*「あのご神木を 切りたおそうと
していたなんて……
思い出すだけで 身がすくみます。
*「しかし ご神木といったら
だれもが タタリを おそれて
近づくことさえしなかったのに……。
*「ウチの村長ってば どうして
あんなにご神木のことに
くわしいのかなあ?
*「長年 タタリを おそれられてきた
ご神木が われわれを 救うなんて
なんとも 皮肉な話ですよね。
*「これからは 村をあげて
ご神木を あがめ
守っていくことにしますよ。
*「あれちまった 畑を
たがやしてたら なんか妙な
石っころを ひろったべ。
*「われた石ダタミだべか?
でも 変な模様みたいなもんが
ほってあるし……。
*「あんれ? あんた こんな石が
ほしいだか? だって ずいぶん
ものほしそうなカオしとるべよ。
*「あんたは 村の恩人だべ。
こんなモンで よければ
いくらでも あげるべさ。
アルスは ふしぎな石版赤を
手に入れた。
*「オラ 1日もはやく この畑を
もとの みのりある
美しい畑に もどしてみせるべ。
*「おっ! クレージュの英雄の
ご登場か!
*「しかし もし あんたたちが
この村に 来てくれなかったら
実際 ヤバかったよなあ。
*「これも 運命ってやつかねえ。
*「た…たいへんです! 神父さまが
自分の信仰を 見なおすと言って
旅に 出てしまわれたんです。
*「必死に 止めようとしたのですが
神父様の決意は かたく……。
*「ああ これから わたしひとりで
この教会を どう 守っていけば
いいのでしょう?
*「と…とりあえず……。
(教会)
マリベル「ありゃりゃ 神父さん
出てっちゃったんだ。あんまり
マジメすぎるのも 考え物ね。
マリベル「その点 アルスなんかは
悩み事なんて まるで なさそうで
いいわね。
*「いやあ 魔物の呪いのせいとはいえ
びんぼう人だなんて 言ってしまって
すいませんでしたねえ。
*「あ! もちろん あれは
魔物のせいであって わたしの
本心とは 関係ないんですよう。
*「さあ つまんないことは 忘れて
ジャンジャン 買い物してってください。
(よろず屋)
*「わたしは旅の戦士。
だが それは もう過去のことだ。
*「今後 このような事件が 2度と
起こらぬよう これからは
わたしが この村を 守ろう!
*「この村のことは わたしに
まかせて あなたがたは ご自分の
旅の目的を はたしてくだされ。
*「あっ! えいゆうの
お兄ちゃんたちだぁ!
*「えいゆうって とっても 強くて
カッコイイ人のことなんでしょ?
ママに きいたんだ。
*「……でも お兄ちゃんって
あんまり……。
ううん なんでもないよ。
*「グヘヘヘ。
オレさまは 魔王だぞ〜!
*「……あれ? お兄ちゃんたちも
いっしょにやる?
魔王ゴッコ。
*「まったく ウチの主人ときたら
村が 危ないって時にも
ず〜っと ねてたんですよ。
*「本当に すじがね入りの
なまけ者なんだから!
*「あ〜あ よく ねた。
これでもう ボクの心は 完全に
魔王に……なってない!
*「おかしいなあ……?
よし! もうひと眠りして
まってみようかな。
マリベル「……あの人
なまけ者ってことなら
アルスのおじさん以上ね。
*「こんな 小さな村にまで
魔物が おそってくるなんてな。
*「世界中で 魔王によって 陸地が
切り取られているたあ ウワサで
きいていたが……。
*「魔王は すべての大陸を
この世から うばいさっちまう
つもりなのかねえ。
*「ああ すいません お客さん。
片づけやらなんやらで 店の方は
当分 開けられないんですよ。
*「あたし 知ってるのよ。
*「ときどき 村長が 夜明け前の村を
こっそり出ていき ご神木のとこへ
いってるのを!
*「まだ 誰も タタリを おそれて
近づかなかったころによ。
これって おかしくない?
*「さっするに あれは 老いらくの
恋ってやつね。村長ってば
あの少女に 恋しちゃったのよ。
*「みなさんが 来るのを
おまちしておりました。
*「今日 お呼びしたのは じつは
ご神木と わたしの正体を
きいてほしかったからなんです。
*「この木……ご神木は 大いなる
いやしのチカラを持つという
世界樹の……その若木なんです。
*「今の この木が 成長して
完全な世界樹となるまでには
あと 数百年は かかるでしょう。
*「そして その日まで ご神木の
成長を助け 見守っていくのが
このわたしの役目……。
*「わたしは この森の木々より
生まれた 妖精なのです。
*「わたしは この地に 人間が住む
ずっと以前から ご神木と
共にありました。
*「じつは ご神木のタタリのウワサを
流したのは わたしなんです。
人間が ご神木に 近づかぬように…。
*「わたしは ずっと 人間たちを
おそれていたんです。今回は
そこを 魔物につけこまれました。
*「でも これからは もっと 人間を
信用して ともに ご神木を
守っていこうと思います。
*「こう思えたのは あなたがたや
あの村長さんの おかげです。
本当に ありがとう。
*「これは ほんのお礼の品です。
ご神木の枝から 作った
杖なんですよ。
*「どうそ あなたがたの旅の
お役にたててください。
少女は 木でできた杖を 手渡した。
アルスは しゅくふくの杖を
手に入れた。
ガボ「ご神木は 世界樹だったのか。
……ところで 世界樹って
なんだ? うめえのか?
マリベル「ふ〜ん あのコ
妖精だったんだ。やっぱり
ただ者じゃないと 思ってたのよ。
マリベル「それにしても ずっと
木の世話しなきゃなんない人生なんて
あたしなら たえられないわね。
*「わたしは ご神木を 育て
守るという 役目のために
何度も 生まれ変わってきました。
*「ですが 木が 世界樹となり
わたしの役目が 終わった時には
どうなるのでしょうか?
*「この世界から 消えて
なくなるのでしょうか?
それとも……?
ガボ「もとにもどったら やっぱり
ここら辺の森は きれいだなあ。
ガボ「昔 オイラが 住んでた森と
いい勝負だぞ。
マリベル「さあ アルス 次は
どこいくの? ボケッとしてる
ヒマはないわよ。
マリベル「考えてみれば 井戸に
毒水まくなんて 凶悪よねー。
まあ 魔物のやったことだけどさ。
マリベル「この あたしが
ここに 来なかったら
どうなっていたことやら……。
ガボ「みんな もとにもどって
よかったぞ。もう イヤな
ニオイも しねえや。
村長「なぜ わしが ご神木のことに
くわしいかじゃって?
す…するどい質問じゃな。
村長「じつは ご神木の朝つゆには……
その……育毛の効果があると
ウワサに きいてのう……。
村長「わしのアタマも 最近めっきり
さびしくなってきて……それで
何度か 足をはこんだんじゃ。
村長「そうするうちに あの娘とも
仲良しになってな。それで
ご神木に くわしくなったんじゃ。
村長「しかし まさか あの朝つゆに
あれほどのチカラが あるとは
思いもよらんかったよ。
村長「……にしても わしのカミは
ちっとも ふえんのじゃが やはり
ぬるよりも 飲むほうが よいのかのう?
村長「……おっと それから この話は
村の者たちには くれぐれも
ないしょにしてくだされよ。
マリベル「ぷっ……い 育毛剤!?
ぷぷぷっ……く 苦しい。
*「クレージュ村が もとに
もどったのは あんたたちの
おかげなんだってな。
*「ホントに ありがとよ。
じつは オレも あそこの井戸水の
ファンなんだよ。
*「ほほう。
クレージュの あのありさまは
魔物のせいだったのですか。
*「わたしゃ てっきり ご神木の
タタリだとばっかり……。
*「……いや ともかく よかった。
これで この宿屋も 安心して
やっていけますよ。
*「なんでも クレージュの井戸水に
魔物の毒が まかれてたって
話じゃないか。
*「あんな うまい水に まったく
ひどいことを するもんだねえ。
ゆるせないよ!
*「なんでも 魔王の呪いに
苦しめられていた村が
解放されたとか……。
*「これも 神のご加護の
たまものですな。
さて……。
(教会)
*「ほう あの ご神木のチカラが
クレージュを すくったのかい?
*「やっぱり あれは ただの
大きな古木では
なかったんじゃのう。
*「これからは 村の者も 本当に
ご神木として あがめるように
なるじゃろうな。
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