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ガボ「この大陸は すっかり
封印されちまってるみたいだなあ。
早く 解放してやろうぜ。
アイラ「この重苦しい感じ……。
ここの封印は なかなか 手強そうな
予感がするわ……。
メルビン「封印された大陸の 多くは
暗いものでござるが……。
メルビン「ここは いちだんと
暗闇が こい感じがするでござるな。
アイラ「潮の香りに 波の音……
封印されていても 海は 海として
存在するのね。
ガボ「潮の香りが きつくって
オイラのハナも ここじゃ
バカになっちまうなあ。
メルビン「どうやら この町は
港町のようでござるな。
*「ここは コスタール。
海にうかぶ 港の国だ。
*「しかし 今は 魔物に支配され
この城も 町も
牢ごくのような もの。
*「どこから やってきたかは しらぬが
こんな場所に たちよっても
しかたなかろう。早々に 帰られよ。
メルビン「コスタール……
はて? どこかで 聞いたことが
あるような……?
ガボ「牢ごくだってよ……。
なんだか いん気だなあ。
アイラ「いくら 封印されてるからって
いきなり 帰れなんて ちょっと
感じ悪いわね。
*「ああ われわれ兵士の チカラが
およばなかったばかりに
こんなことに なろうとは…。
*「これというのも われわれが皆
史上最強の海賊 シャークアイさまの
チカラに たよりきっていたため。
*「おのれのウデを みがくことも
忘れるとは まったく
なさけないことです。
メルビン「史上最強の海賊……。
そう言えば ずっと昔
聞いたことがあるでござるよ。
メルビン「ある王国に つかえ
海の魔物を けちらす 海賊が
いたというウワサを……。
*「おととい ボクに 妹ができたんだ!
いいでしょ!
*「でも 母さんと父さんは
部屋に カギをかけて 閉じこもって
妹にも 会わせてくれないんだ。
*「ボクには 教会に
かくれてなさいって いうし…
なんでだろ。
アイラ「生まれた子供と いっしょに
部屋に 閉じこもるなんて
どういうことなのかしら?
アイラ「ひょっとして この国への
封印と 関係があるの?
ガボ「妹が できたなんて
うらやましいなあ……。
ガボ「でも 会わしてくれないなんて
ひどい 父ちゃんと 母ちゃんだぞ。
*「おととい 防具屋さんのところに
子どもが 生まれたんですよ。
その上 今夜は 満月ですしね。
*「だから こうして
お祈りしているのです。
ああ おそろしいことじゃ…。
メルビン「どうも におうでござるな。
やはり 魔王の封印がらみの
事件でござるかな?
ガボ「なんだか よくわかんないけど
話 聞いてたら オイラ
ちょっと こわくなってきたぞ。
アイラ「いったい 防具屋さんに
何が おこったって言うの?
アイラ「気になるわね……。
後で 見にいってみましょうか?
*「防具屋の 奥さんは 若いのに
はたらき者でね。
*「だんなさんも やさしい人だし…
あんな いい夫婦を 苦しませるなんて
あたしゃ ゆるせないよ。
*「このような国の 教会へ
おいでになるとは よほど
おこまりなのでしょう。では…
(教会)
*「神さまは 私たちに
試練を あたえられたのでしょうか?
*「それにしても なんと むごいこと。
私たち 皆の祈りが どうか
神さまに とどきますように…。
*「ボクたちが なにかしたって
いうんですか!?
はい/いいえ | |
---|---|
はい/いいえ |
*「あっ すいません つい…。 *「でも ボクの妻は もう ずっと |
*「ううっ… 私の コリン…
こっちへ いらっしゃい。
*「そっちには 魔物が いるのよ…
まってちょうだい…
ううっ。
メルビン「どうも こういうのを見るのは
やるせないものでござるな。
ガボ「あの女の人 目がうつろだし
なんか 変なこと言ってたぞ。
寝ぼけてんのかな?
アイラ「どうやら お子さんを
亡くされたみたいね。
かわいそうに……。
*「酒ってのは ありがたいですね。
飲めば すこしは 気持ちを
なぐさめてくれるんですから。
*「でもね お客さん。
酒に 飲まれちゃ おしまいですよ。
*「海賊 マール・デ・ドラゴーンのことを
知ってるか?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
*「あの総領 シャークアイには *「海賊なのに 弱いものには |
いいえ |
*「かつては 最強と呼ばれた海賊だが *「そうすれば 海の魔物に *「けど そのせいで かえって |
ガボ「うっほ〜 カッコイイぞ
シャークアイ!
アイラ「へえ……。わたし
海賊って 戦うチカラのない船を
おそうだけの連中だと 思ってたわ。
アイラ「世の中には りっぱな海賊も
いるものなのね。
メルビン「マール・デ・ドラゴーン……。
そう言えば ずっと昔
聞いたことがあるでござるよ。
メルビン「ある王国に つかえ
海の魔物を けちらす 海賊が
いたというウワサを……。
*「あんたら 宿に泊まりたかったら
教会に いってみな。
*「宿屋の おかみは 今ごろ
教会で お祈りしてるだろうから。
*「キャプテン・シャークアイって
あたしも あこがれてたのに
残念だわ。
*「この国が 闇に封印されたとき
魔物に はむかったから 魔王の
呪いを かけられて…
*「マール・デ・ドラゴーンの 船ごと
遠い海で 永遠の氷づけに
されてしまったんですって。
メルビン「なんと!
では シャークアイどのは
すでに……。
アイラ「魔王のチカラの前では
ウワサの マール・デ・ドラゴーンも
なすすべが なかったのね。
ガボ「永遠の氷づけかぁ……
なんか カゼひいちまいそうだな。
*「おや あなた方も 旅の人ですな。
船も 出せない 今 いったい
どうやって ここまで…?
*「いえね 私たちは もう なん年も
この国に 足どめ されてしまって
まいってるところ なんですよ。
*「かつて 史上最強と よばれた海賊
マール・デ・ドラゴーンと 契約を
結んだ国だというから 見にきたのに。
ガボ「マール・デ・ドラゴーン?
なんだ それ?
カッコよさそうだな。
*「私たち 芸を しながら
世界のあちこちを 回っていたの。
*「といっても ユバールの人たちみたいに
本格的じゃ ないけどね。
*「あ〜あ これから どうなるのかしら?
あたしも 伝説の 踊り娘ベレッタ
みたいに なりたかったのに…。
アイラ「ベレッタって たしか
伝説の 踊り子ライラの
1代前の 踊り子の名前だわ。
アイラ「この時代 ライラは まだ
生まれてないのかしら?
*「うらの家は カギが
かかってたでしょう。今夜は
満月だから こわがってるんです。
*「うちは おばあちゃんが 教会に
いってるから まだ カギを
開けてますけど…。
ガボ「なんで 満月を こわがるんだ?
オイラなんか ウキウキしてきて
遠ぼえしたくなるぞ。
*「わしゃ おいさき 短いから ええが
幼い子どもが かわいそうな目に
あうのは たえられん。
*「なんとか ならんもんかのう。
ガボ「なあ アルス。
事情は よく わかんねえけど
なんとかしてやろうぜ。
*「ケケケ…
苦しむがいい! 悩むがいい!
*「そんな人間たちを 見るのが
われらが マスターの
楽しみなのだ。ケッケッケッ!
ガボ「な なんだい 今のヤツ?
消えちまったぞ。
メルビン「今の男……
さては この国を苦しめる魔物の
手下でござるな。
コスタール城の中
ガボ「ここの お城。
グランエスタード城と 比べっと
小せえよな。
アイラ「海の上のお城か……。
封印されていない時に 来たなら
キレイだったでしょうね。
メルビン「この国の王さまに 会って
封印のことなど くわしい事情を
聞いてみては どうでござるかな?
*「この先は お城の灯台ですが
現在は 立ち入り禁止です。
*「北の岬の 大灯台から 種火を
もらえなくなったため ここの灯台は
へいさ されました。
*「やや! 見かけない顔だな。
この キケンな 闇の海を
わたってきたというのか?
*「ここは コスタール城。
旅人が やってくるなど
何年ぶり だろうか。
*「おおかた あなた方の国も
われわれと 同じように
苦しめられているのだろう。
*「どうやら 世界の 終わりも
近いようだな…。
メルビン「民を 守るべき 兵士が
あのように 弱気なことでは
困ったものでござるな。
アイラ「この国の 人たちは
深い絶望に とらわれているのね。
なんとか 助けてあげたいわ。
*「あら? あんたたち
この国の人じゃ ないね?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
*「だったら 教えたげるよ。 *「王さまの 親友でもある 海軍の長 *「海の魔物をやっつけたことで 魔王の *「遠くまで 海をわたったんだよ。 |
いいえ |
*「あら そう? ごめんね。 |
はいの場合
アイラ「シャークアイという 英雄を
失ったことは この国の人にとって
大きな痛手に なったのね。
メルビン「むう 見事な……。
できれば シャークアイどのとは
お会いしたかったでござるな。
*「にゃ〜ん…。
*「この上は 王さまの寝室と
たいせつな お客人のお部屋です。
*「病人が 休んでおられますので
立ち入りは ごえんりょください。
*「ううむ…
ついに 思いつきましたぞ!
*「この方法なら 闇の炎に閉ざされた
北の大灯台の中も 歩くことが
できるのです!
*「しかし 手ごわい 魔物たちが
うろつく 大灯台になぞ いったい
誰が 行けるものか…。
ガボ「へえ。何 思いついたんだろ?
おもしろそうなことなら オイラが
やってみてえぞ。
アルスは 本だなを調べた。
むずかしそうな本が
いっぱい ならんでいる。
大臣「すまぬが 今は たいせつな
話をしているところ なのじゃよ。
大臣「わが王に 用なら
もう少ししてから また
きてくだされ。
王は しんこくな顔をして
なにやら 大臣と 話しこんでいる…。
*「えっ? 宿屋のおかみなら
あたしだけど…。
*「うちの宿に 泊まりたいのかい?
でも 今は いくら商売でも
おすすめ できないねえ。
*「王さまの 許可でもあれば
別だけどさ。
ガボ「よっしゃ。
それじゃあ 王さまに 許可を
もらいに行こうぜ。
メルビン「むう……。
宿にすら 自由に 泊まれぬとは
なんぎな国でござるな。
アイラ「宿屋にも 泊めたがらないなんて
いったい この国では
なにが 起こってるのかしら?
大臣「すまぬが 今は たいせつな
話をしているところ なのじゃよ。
大臣「…え? ここの宿屋に
泊まりたい ですと?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
大臣「しかし この国には 大臣「ここに とどまって 王「まあ まて 大臣よ。 王「なにか よほど ウデに 王「むしろ この国が 閉ざされた今 大臣「…しかし 王さま。 大臣「もし あれを 見られたら 王「わっはっはっ! このごに およんで 王「それに この新たな 出会いが 王「旅のお方。ゆっくり話を 王「今夜は 宿に 泊まるなどして |
いいえ |
大臣「とくに 用がないなら |
メルビン「満月の夜の わざわい……?
いったい なにが
起きるというのでござろう。
メルビン「イヤな 予感がするでござる。
アイラ「さすが 王さまは 話せるわね。
なんとか チカラに なれれば
いいんだけど……。
ガボ「ふああ……。
オイラ もう今日は 疲れたよ。
アルス〜 休もうぜ。
大臣「すみませぬが 今夜は もう
王も おつかれの ご様子。
明日の朝 また おこしくだされ。
*「おや また あんたたちかい?
いつまでも こんな所に
とどまってないで 早く お帰りよ。
*「えっ? ここに 泊めてほしいって?
おやまあ! 本当に 王さまから
許可を もらってきたのかい。
*「やれやれ 物好きな 旅人も
いたもんだわ…。それに 王さまも
こんな夜に 許可するなんて…。
*「まあ しかたないね。
宿泊料はいいから 2階にいって
あいてるベッドで お休みよ。
*「ただし 今夜は あぶないから
くれぐれも 外に 出ないようにね。
*「きゃーーっ!!
アルスは 不気味な物音を きいて
ふと 目を さました…。
ガボ「うがっ?
何が 起こったんだ!
さっきの 悲鳴は なんなんだ?
アイラ「アルスっ!
今は さっきの ブキミな声が
なんだったのかを 調べましょう!
メルビン「先程のブキミな声……
例の わざわいとやらに
関係が あるのでござるかな?
*「し〜っ! 静かに…。
魔物に 気づかれたら
どうするのよ。
*「あわわわ…。
さっきの おたけびを
聞きましたよねっ!?
*「おそろしくて 目が さめちゃって…
あぶないから ぜったい
外には 出ないほうがいいですよ!
*「くわばら くわばら…。
防具屋の おかみさんも
かわいそうにねえ。
*「産んだばかりの 赤ちゃんが
こんなことに なってしまうなんて
どんなに つらいか…。
*「ごご〜っ! ぐご〜っ!
*「どうにも 眠れないんで
店を あけて 飲んでたんですが…
*「さっきの 魔物のうめき声で
酔いが さめちゃいましたよ。
まったく ひどいもんだ。
*「その人 こんなときに よく
眠っていられるわよね。
*「それとも 怖くって
お酒に 逃げてるのかしら?
ずいぶん 酔ってたけど…。
*「ああっ 私の赤ちゃん!
ママのことが わかるでしょう?
*「だ 大丈夫かっ!? シエラ!
*「だから 言ったろう?
この子には もう オレたちのことも
わからないんだ!
シエラ「ええ…でも…。
この子は 私たちの 赤ちゃんなのよ。
あきらめるなんて できないわ。
*「うわっ!
シエラ「ああっ! あなた…
どうして こんなことに!
うっ うっ うっ…。
ガボ「オイラ この国が どうして
こんなに 暗くなってんのか
ようやく わかったよ。
アイラ「どうやら 大臣が 言ってた
満月の夜のわざわい……
正体が 見えてきたわね。
メルビン「これが この国を苦しめる
魔王の呪いでござるか。
むうう……許せんでござるな。
*「これは 旅のお方!
おどろかせて 申しわけありません。
*「といっても 旅なれた あなた方なら
魔物を おそれることも
ないかもしれませんが…
*「しかし あの魔物は その
シエラさんの娘の 変わりはてた姿…
どうか みのがしてやってください。
アイラ「やっぱり そうなのね。
なんて むごい……。
*「このようなことを ただ じっと
見ているしか できないとは
兵士として 情けないかぎりだ。
*「これで もう この国には
子どもを産もうなんて 考える者は
1人も いなくなってしまうだろう。
*「元気を 出しなさい シエラ。
オレたちには まだ
元気な息子が いるじゃないか。
シエラ「うっ うっ…
どうして こんなことに…。
ううっ…。
メルビン「アルスどのっ!
わしは 今日ほど 魔王を
にくんだことは ないでござるよ。
アイラ「……あんな風に わが子を
失った母親に かける言葉なんて
わたし わからないわ。
ガボ「魔王って 今までも ひどいこと
いっぱい してきたけど……
今回のは あんまりだぞ!
*「この時間に 外に出るのは
キケンだ。城内にもどって
休まれるがいい。
*「フ〜ッ!
*「…フニャッ?
にゃ〜ん…。
ガボ「今のネコよう なんだか
アルスに なついてるみたいじゃ
なかったか?
*「もし 神が この国を見守って
おいでなら 決して このままには
なさらないはずですが…。さて
(教会)
*「なんか 外で 恐ろしい声がして
目が さめちゃったんだ。
*「ねえ 外で なにが あったの?
ボクの 妹が どうかしたの?
*「あ〜あ。
おうちに 帰りたいなあ。
ガボ「とてもじゃないけど
オイラには 本当のこと
言えねえよ。
アイラ「あの子は なにも知らないのね。
……かわいそうに。
*「ああ また ボクたちのときと
同じ不幸が おきてしまった!
*「防具屋のシエラさんまで
うちの妻のように 病気に
ならなきゃいいんですが…。
*「ううっ… 私の コリン…
こっちへ いらっしゃい。
*「そっちには 魔物が いるのよ…
まってちょうだい…
ううっ。
メルビン「わが子が 魔物に変わり
姿を 消してしまう……。
メルビン「心の病気になるのも
ムリはないでござるよ。
アイラ「あの奥さんも シエラさんと
同じ目に あったのね。
なんて むごいのかしら……。
ガボ「あの女の人
寝ぼけてるわけじゃ
なかったんだな。
*「われわれ お城の兵士に できるのは
せいぜい 魔物になった子どもから
皆を 守るくらいのことでしょう。
*「コスタール王は 戦いをきらい
兵士にも 実戦くんせんを
させなかったのです。
*「そんな わが国に
暴力ではない戦いが あることを
教えたのが 総領シャークアイどの。
*「わが コスタール王の
親友でした。
メルビン「いかにも!
正義のための 戦いとは
単なる 暴力ではござらん。
メルビン「やはり シャークアイどのは
戦いの 何たるかを知る
真の勇者であったようでござるな。
アイラ「海賊と 王さまが
親友同士だったなんて ちょっと
変わった 組み合わせよねえ。
*「大灯台の 聖なる種火は
エンゴウの火山より
もたらされたもの。
*「しかし この国が 闇に
閉ざされた今 エンゴウの国に
ゆくのは 不可能じゃ。
*「大灯台が 生きかえれば せめて
永遠の闇からは 開放されそうな
気がするんじゃがのう。
ガボ「エンゴウの火山て
昔 ふん火を くいとめた
あの火山のことだよな?
アイラ「聖なる種火……。
それで 大灯台を よみがえらせれば
なんとか なるのかもしれないのね。
アイラ「問題は それを どうやって
手に入れるかだけど……。
メルビン「この地を おおう闇を
はらえば 魔物と化した 子どもも
元にもどるのでござろうか?
メルビン「そうなってくれれば
よいのでござるが……。
りっぱな しょく台が 置かれている。
大臣「やや アルスどの。
やはり わが国の 悲劇を
見られてしまいましたな。
大臣「5年ほど前 わが国が 闇に
封印されていらい 生まれる子どもに
呪いが ふりかかり始めたのじゃ。
大臣「生まれて 最初の 満月の夜に
その子の 姿が おぞましい魔物に
変えられてしまうという…。
大臣「そして 自分の親の顔も
わからなくなり どこか 闇の先へ
去ってゆくのじゃ。
大臣「こんなことが 信じられようか?
はい/いいえ | |
---|---|
はい/いいえ |
大臣「まったく これでは 人の心まで |
ガボ「生まれたばかりの子どもを
ねらうなんて ひでえよ!
ガボ「魔王め〜。 いつか オイラが
ギッタンギッタンに してやるぞ!
アイラ「魔物が 走り去っていった先が
気になるわね。
アイラ「彼らは いったい どこへ
姿を 消してしまうのかしら?
メルビン「封印された世界に なにゆえ
月が 見えるかと思っていたが……。
メルビン「なるほど。
この国を 呪うための手段に
満月を 使うためでござったか。
*「わが国の港にある 灯台には
北の大灯台から 聖なる種火を
運んできておりました。
*「しかし 大灯台は闇の炎に
閉ざされ 聖なる種火の祭壇への
通路も 暗闇のため 進めませぬ。
*「その大灯台に 魔物が
入ってゆくのを 見たという者も
いるようなのですが…。
アイラ「大灯台?
……におうわね。 そこには きっと
なにかが あるはずよ!
ガボ「聖なる種火かあ。
きっと キレイな炎なんだろうな。
メルビン「今すぐ 大灯台へ!
……と 言いたいところでござるが
暗闇で 進めぬのでござるか。
メルビン「これは なにか作戦を
たてる 必要があるでござるな。
*「アニエスさまは わが国の王が
キャプテン・シャークアイさまより
おあずかりした たいせつなお方。
*「ご病気で お休みのところですので
どうぞ お静かに
お願いいたします。
アルスは 眠っている アニエスを
そっと 見つめた。
とても きれいな 若い女性だ。
しかし 苦しそうなカオをして
眠っている…。
*「うう〜ん…。
*「う〜ん… シャークアイ…。
そこに いるの?
*「う〜ん…。あなた
シャークアイ…じゃない?
*「まあっ! アニエスさま!?
*「いけませんわ アニエスさま!
お休みに ならないと
お身体に さわります。
アニエス「…あら 私…。
ごめんなさい。昔の夢を
見ていたものだから。
*「さあ アニエスさま。
ベッドに おもどりくださいまし。
*「お客さま 失礼いたしました。
*「こちらの アニエスさまは
ご病気のため 療養中で ときどき
熱にうなされるようなのです。
*「なるべく そっと 静かに
お休みになられるよう
お願いいたしますね。
アイラ「さっきの アニエスって人
美人だったわねえ。
アルスも そう思うでしょ?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
アイラ「ふーん。 |
いいえ |
アイラ「あら? アルスって |
メルビン「このような すさんだ所でも
アニエスどののような 美女を
見ると 心が なごむでござるな。
ガボ「あのアニエスって 女の人
アルスのことを だれかと
見まちがえたみたいだな。
*「わが王は ご自分の悲しみなど
あまり 口にはされませんが…
*「かつて コスタールが魔物に
おそわれた時 最愛の奥さまを
亡くされたのです。
*「ですから 同じ思いを 親友に
させたくないと お考えに
なったのでしょう。
*「シャークアイさまが あの決死の
船出をなさったとき アニエスさまを
わが国に あずかったのです。
アイラ「この国では 王も 民も
だれもが 心に 深いキズを
負っているのね……。
メルビン「むう。あの美女は
シャークアイどのの奥さまか!
メルビン「それは シャークアイどのも
すみに おけんでござるなあ。
王「う〜む う〜む…。
王は なにやら
うなされているようだ。
*「こうして 暗い海を ながめていても
目を閉じれば かつての 幸せな
日々が 思い出されるようです。
*「私は コスタール国の 楽士として
長い間 皆さんと 暮らし
そして 旅をともに してきました。
*「とくに わが国のほこる 海軍
マール・デ・ドラゴーンとの
船旅は 最高の 思い出です。
*「そう… 今でも このさざ波に
まざって あのときの にぎわいが
聞こえてくるようです。
*「キャプテン・シャークアイ!
*「はあ はあ…
シャークのだんな!
シャーク「どうした カデル?
出航の じゅんびが
ととのったのか?
カデル「いや そうじゃなくて
例の お客さんが この船に
乗りこんで きたんですよ。
カデル「われわれの 船が この港に
よるって 情報を だれかから
聞いたらしいんでさあ。
カデル「…キャプテン・シャークアイ?
聞いてます?
シャーク「ああ…聞いてるよ カデル。
やっこさん ついに来たか。
シャーク「ふむ…まあ オレたち一族も
そろそろ 大きな目的を
もつべき時かも しれんな…。
カデル「まあ わしらは 今までどおり
ただ 海を あばれまわるってのも
好きですがね。
カデル「われらが 総領
シャークアイどのの 決定には
どこまでも ついていきまさあ。
シャーク「わっはっは!
たのもしいことだな。では
お客人に 会ってくるとしよう。
シャーク「船出の じゅんびは
たのんだぞ カデル!
シャーク「これは コスタール国の方がた
こんな むさくるしい所へ
ようこそ!
シャーク「それにしても
コスタール王は あいかわらず
物好きなお方 のようですな。
シャーク「かりにも 一国の大臣を
わざわざ 出むかせるとは。
大臣「あいてが あなたですからな。
キャプテン・シャークアイどの。
とうぜんの ご命令でしょう。
大臣「それに 今日こそは
よいお返事が 聞けるものと
確信して まいったしだいです。
シャーク「海賊マール・デ・ドラゴーンと
手を結ぶため うまい話をもちこむ
やからは 今までも 多かったが…
シャーク「あんたの国の 王とだけは
契約を結んでも よいかもしれぬと
オレは 考えている。
シャーク「なぜだか わかるか?
大臣どの?
大臣「はて… 私のような
凡人には シャークアイどのの
お考えは はかりかねますが。
シャーク「…まあ いい。
聞かれても 教えるつもりは
ないからな。わっはっは!
*「シャークアイさま!
出航のじゅんびが ととのいました!
*「行き先は 予定どおり
ラグラーズの港で よろしいですか?
シャーク「…いや。行き先を
へんこうする。目的地は
ここより北西の コスタール国だ!
*「はっ!!
了解いたしましたっ!
シャーク「大臣どの?
なにを ぼうっと
つっ立っておられる?
シャーク「長旅の じゅんびは すべて
ととのっている。さあ 船室に入って
ゆっくり くつろがれよ。
大臣「シャ…シャークアイどの!
かんしゃ いたしますぞ!!
カデル「目的地へんこう!
北西へと 向かう!!
カデル「イカリを 上げろーっ!!
ヨーソロー!!
*「すてきな曲ね。
とても 心が やすらぐわ。
*「これは アニエスさま。
起こしてしまいましたか?
もうしわけありません。
アニエス「いいえ。眠れなくて
こまってたところなの。
おかげで 落ちついて眠れそうよ。
*「それは ようございました。
コスタールの国に 着くまで
あと ほんの数日…。
*「あちらでは 大変な かんげいを
うけるでしょうから 今のうちに
おからだを 休めておかなくては。
アニエス「ふふ…。心配しなくても
大丈夫よ。私は これでも
シャークアイの 妻ですもの。
*「ふしぎですな アニエスさま。
あなたは かつて どこかの国の
王女さまだったとも いわれるお方。
*「そんな 高貴な生まれの あなたが
嵐にもまれる 海賊の生活を
長い間 つづけておいでとは。
*「お国をすててまで
シャークアイさまに ついてこられた
理由は なんなのでしょう?
シャーク「アニエス!
そこに いたのか。
こんな 夜ふけに どうした?
アニエス「あら あなた ごめんなさい
心配させちゃって。
すぐ もどるわ。
シャーク「まったく お前は ときどき
このオレを ヒヤヒヤさせるよ。
じゃあ 部屋に もどるぞ。
アニエス「わたしが 夫を 愛するのは
きっと あの人が コスタール王に
ひかれるのと 同じ理由ね。
アニエス「シャークアイが 魔物と
たたかい 海をまもってきたのは
自分の名声や 欲のためじゃないわ。
アニエス「そう… あなたの国の王が
コスタールの国や まわりの世界を
まもろうとしているのと 同じ。
アニエス「わたしは どこまでも
夫に ついてゆくわ。
兵士「…シャークアイどのが われらの
海軍をひきいるように なられて
もう 2年…。
兵士「王さまの ご期待どおり
マール・デ・ドラゴーンの
かつやくは めざましいものです。
兵士「しかし 魔物は どんなに
たおしても また なん倍もの数で
押しよせて きりがありません。
王「うむ…どうやら われわれは
闇の世界から 目をつけられて
いるようだな。
王「これだけのことを してきたのだから
当然といえば 当然であろうが…
王「じつは シャークアイどのが 明日
魔物の目を ひきつけて はるか
沖へと おびきだし…
王「そこで いっきに 決戦へと
もちこむつもりで おるらしい。
兵士「そ そんなキケンな! いくら
最強の海賊とはいえ 闇の王に
ねらわれたら かないませんぞ!
兵士「しかも つい昨夜 アニエスどのの
おなかに 赤ちゃんがいることが
わかったばかりでは ありませんか!
王「わかっておる…。
しかし シャークアイどのは いちど
いったことは 必ず実行する男だ。
王「われわれが とめても 行くだろう。
それに これは わが国を… いや
この世界を救うため でもあるのだ。
*「さすが わが友 コスタール王!
じつに よく わかっておられる。
王「おお シャークアイどの。
聞いていたのか。
王「奥方アニエスどのの おからだは
いかがかな?
シャーク「昨夜は 心配をかけましたが
もう大丈夫。あの様子なら また
船旅にも 出られそうだ。
王「…シャークアイ。これは
友として いわせてもらうが やはり
明日の船出は とりやめてほしい。
王「闇の王のチカラは はかりしれん。
ここで もし そなたたちの身に
なにか あっては…
シャーク「もう わかっているはずだ。
このままでは 闇に 封印されるのも
時間の問題だということを。
シャーク「オレは あきらめてはいない。
敵とて 万能ではないはず。
なにか 打つ手が あるかもしれん。
シャーク「心配するな。オレは
そう簡単には くたばらん。
王「…そうか。正直にいって
行かせたくはないが 国王としては
礼を いわせてもらおう。
シャーク「…ああ。
コスタールの民は
偉大な王をもって 幸せだな。
シャーク「さて 今夜は われらの船にて
わが妻アニエスのための 祝いだ。
あとで 船に 来てくれ!
カデル「お〜いっ! 酒だ!
もっと 酒を もってきてくれっ!
王「…やれやれ。城の楽士まで
いっしょになって さわいでおるわ。
王「わしも 妻が 生きていれば
なにもかも 忘れて 踊りだしたい
気分だよ。
王「なあ シャークアイ。明日の船出に
ひとつだけ 条件が ある。
王「奥方の アニエスどのを
コスタール城に あずけてほしい。
これだけは 約束してくれ。
シャーク「……。
シャーク「アニエスと 結婚して もう
なん年にも なるが 今になって
初めて 子どもができた。
シャーク「この 決死のたたかいに
船出しようという 今になってだ。
シャーク「…これは 神の意志だと
思わないか? オレたちに 未来を
きずけと いうことなのかもしれん。
シャーク「コスタール王よ。
妻と 生まれくる子どものことを
よろしく たのむ。
*「アニエス!
そこに いるのか!?
シャーク「この雨で 祝いの宴も
終わりだ。さあ お城からの
むかえが お前を 待ってるぞ。
アニエス「…あなた。この
おなかの子が 生まれたら わたし
また あなたと 船にのるわ。
シャーク「ああ もちろんだ。
この子は オレたちの船で
育てよう。
シャーク「海の神が さずけてくれた
オレたちの子だ!
オレは 必ず お前のもとに帰る!
*「…闇に 閉ざされた この国が
いつか もとの平和な世界に
もどれるまて…
*「私は この思い出を たいせつに
まもって ゆきましょう。
ガボ「ふわあぁ……オイラ なんだか
眠くなっちまったよ。
ガボ「なあ アルス。
また 宿屋にもどって 休もうぜ。
メルビン「ありし日の シャークアイ…
そして マール・デ・ドラゴーン…。
メルビン「彼らの 勇姿が
目に 浮かぶようでござったな。
いやはや 見事な歌でござる。
アイラ「さっきの楽師さんの 演奏を
聞いてるうちに なんだか
長い夢でも 見ていたみたい……。
アイラ「ふしぎな感覚だわ……。
*「あなた方からは なぜか
なつかしい 海の香りを
感じます。
*「だから なおさら はっきりと
昔のことを 思い出したのかも
しれませんね。
*「おやまあ あんたたち
どこに 行ってたんだい!?
*「いつまでも もどって来ないから
心配したよ。魔物に
食べられたんじゃないか とか…。
*「さあ もう 夜が明けるよ。
あんたたちも お休み。
*「おはようございます!
アルスどの。
*「アルスどの
おはようございます。
朝早く もうしわけありません。
*「コスタール王が お呼びですので
おそれいりますが お城まで
来ていただけますか?
*「私は 先に もどっておりますので
よろしくお願いいたします。
では。
アイラ「王さまから お呼びが
かかるなんて いったい
なにごとかしら?
メルビン「アルスどの。
とりあえず 王のところへ
行ってみるでござるよ。
ガボ「王さまが 何の用なんだ?
アルス おめえ なんか
悪いことでも したんじゃねえか?
*「ゆうべは 大変でしたね。
この国が 闇に閉ざされたとき
魔物の王が 予言した通りだ…。
*「未来に 生まれくる子 すべてを
満月の夜 われらが 魔物の身体に
変えてやろう! とね。
ガボ「ふわあぁ……。
ゆうべの さわぎで
オイラ まだ 寝足りないぞ。
メルビン「人々を ジワジワと苦しめ
絶望させていく……。
魔王め! なんと こうかつな。
アイラ「たしかに この呪いが
ずっと 続けば いずれ
この国は ほろびるわね……。
アイラ「でも わたしたちが
そんなことには させないわ。
*「あの シャークアイ総領だって
魔物に やられてしまったんですもの
もう 誰にも 勝ち目はないわ。
*「あなたたちも あまり
この国のことに 深入りしないほうが
身のためよ。
メルビン「深入りしないほうが
身のためでござるか……。
メルビン「そんなことが できるなら
ハナから このような旅を
続けてはいないでござるよ。
*「は 話しかけないでくれ。
二日酔いで もどしそうなんだよ。
うっ…。
*「まったく うちの人ったら
こんなときに ちっとも
たよりに ならないんだから!
*「ゆうべだって 酒場で 飲んだくれて
帰ってこないし…。
*「それに どこかで 変な物を
ひろってきては うらの 宝箱に
しまって よろこんでるのよ。
ガボ「へえ。
自分の宝物を かくしてんのか。
おもしろそうだな。
*「息子には ほんに
こまったもんじゃよ。
*「皆で 助け合って
生きてゆかねば ならん時じゃと
いうのに…。
*「ゆうべは こわかったわ。
こんな目に あってるのは
私たちの国だけなのかしら?
*「そんなこと ないわよね。
他にも 闇に封印されたという国は
たくさん あるって 聞いたもの。
ガボ「そう言えば オイラたち
もう いくつの大陸を 封印から
解放してきたのかな?
メルビン「今まで 多くの大陸を
めぐってきたが……この国ほど
絶望の深い地も なかったでござる。
*「あなた方 コスタール王さまに
呼ばれたそうですね。
*「いや ただ者じゃないとは
思ってましたが…
先生 よろしく お願いしますよ!
メルビン「わしらを 呼ぶとは
コスタール王は なかなか
人を 見る目があるでござるな。
ガボ「へへへ……。
オイラたちが 先生だってよ。
*「シエラさんのこと
なぐさめようと思って きたけど
なんていったら いいものやら。
*「昔 アニエスさまの お腹から
赤ちゃんが 消えてしまったときも
お気の毒だったけれど…
*「こんなふうに 自分の子どもが
魔物になるのを 見せられるよりは
かえって よかったかもねえ…。
メルビン「シャークアイどのの子が
消えるとは……。
これも 魔王の呪いでござるのか?
アイラ「愛する夫を 失い
お腹の中の 赤ちゃんまで
消えてしまうなんて……。
アイラ「アニエスさん かわいそう…。
ガボ「ええっ? 赤ちゃんが
お腹から 消えちまったって
そんなこと ありえるのか!?
*「昨日の今日じゃ 防具屋も
店に 出る気には
なりそうもねえな。さて…
(武器屋)
*「あのねえ ボクの妹は
遠いしんせきの ところに
あずけられたんだって。
*「なんでなのかなあ? ボク
せっかく かわいがってあげようと
思ってたのに。つまんないよ。
メルビン「あの子の 存在が
ご両親のなぐさめに なってくれれば
よいのでござるが……。
アイラ「やっぱり あの子に
本当のことは 言えないわよね。
*「あなた方は 旅の方ですな。
ゆうべは どうも
おさわがせしました。
*「魔物に 子どもを
うばわれたとはいえ 私たちには
まだ もうひとり 子どもがいます。
*「それだけでも 感謝しなければ…
うっうっ。
シエラ「ううっ… どうして 魔物は
こんな ひどいことを
するのでしょう?
シエラ「私たちが いったい
なにを したというの?
うっ うっ うっ…。
メルビン「なんの なぐさめの言葉も
かけてやれない 自分が
もどかしいでござる。
*「ここは コスタール。
海にうかぶ 港の国だ。
*「といっても ここの港に
船がつくことは もう
ないかも しれないが。
*「このネコは かつて
シャークアイどのが 飼っていたので
たいせつに しているのですが…
*「ぼくらにも なつかなくて
近づくと ひっかかれるんだから
こまったもんです。
*「この国に来る前に ずっと東の
ホビットの住む 洞くつへ
行ったことが あるの。
*「光ゴケとかいう めずらしいものが
あるって 聞いたんだけど…
*「ホビットの集落の まわりにまで
魔物がいて とてもじゃないけど
奥までは たどりつけなかったわ。
*「魔王は 人の悲しみや 苦しみを
好んで おのれの身体に とりこみ
成長するといいます。
*「みなさんも 悲しみに
たおれることの ないよう
どうか お気をつけください。
ガボ「オイラは いつでも 笑顔を
忘れねえから だいじょうぶさ!
メルビン「魔王め!
どれだけの人を 苦しめれば
気がすむのか……。
メルビン「たとえ ヤツが どれほど
チカラをつけようとも いつか必ず
わしの手で 倒してやるでござる。
アイラ「そんなことのために
魔王は 世界中の大陸を 封印して
苦しめているのね。
アイラ「許せないわ!
*「うつら うつら…。
*「…はっ!?
いつの間にか 眠ってしまった。
*「人間 どんなに つらいことが
あっても お腹はへるし
眠くも なるものですね。
*「うう〜ん うう〜ん…。
*「王さまも 他の皆さんも
おつかれのようだわ。
*「おいしい お料理を作って
元気を 出していただかなきゃね。
ガボ「オイラも おいしい お料理を
食いたいぞ。
*「大灯台の 聖なる種火は
エンゴウの火山より
もたらされたもの。
*「しかし 今や その聖なる種火は
消され かわりに 闇の炎が
ぶきみに 燃えておるという。
*「もしかしたら そこが
魔物の世界への 入り口と
なっておるのかも しれんのう。
アイラ「闇の炎を 消さないかぎり
この国に 平和な時は
もどらないってワケね。
メルビン「もしかしたら 魔物となった
子どもたちは 闇の炎に
みちびかれているのでござるかな?
*「よし 異常なし!
*「この灯台にまで 闇の炎を
ともされないよう せめて
こうして 見はっているのです。
*「ようこそ!
王さまが お待ちかねです。
ささ どうぞ 中へ!
*「マール・デ・ドラゴーンも滅んだ 今
われわれに なにができると
王さまは お考えなのだろうか。
学者「われわれ お城の学者は
いつも 国をよくするための研究に
チカラを そそいでおります。
学者「しかし いくら 学問をきわめても
それを 実行しなければ
なんの 役にも 立ちません。
*「あなた方からは なぜか
なつかしい 海の香りを
感じます。
*「だから なおさら はっきりと
昔のことを 思い出したのかも
しれませんね。
*「私は この思い出を たいせつに
まもって ゆきましょう。
メルビン「あの楽師 魔物には
見えなかったが……。
いったい 何者でござろうか?
ガボ「わあっ!
いきなり 消えちまったぞ。
どこ 行ったんだ?
アイラ「この前の演奏といい
ふしぎな人だったわね。
アイラ「ゆうべの演奏といい
ふしぎな人だったわね。
何者なのかしら?
*「アニエスさまは めずらしく
よく お休みのようですわ。
*「最愛の夫を 亡くされた上に
赤ちゃんまで 失ったんですもの
ご病気にも なられますよ。
*「せめて 私が
心をこめて お世話しなくちゃ。
ガボ「あのアニエスさんて人
キレイで いいニオイがするなあ。
メルビン「あのような美女が
かような悲劇に みまわれるとは
なんとも あわれでござる……。
メルビン「せめて 何かしら お役に
立てればよいのでござるが……。
アニエス「すう すう…。
大臣「これは アルスどのの
ご一行さま。お待ちしておりました。
ささ 王のところへ。
王「おお これは 皆さん
朝早くから お呼び立てして
もうしわけない。
王「昨夜の事件は みなさんも
ごらんになったと 大臣から
聞いているが…
王「そう。まさに あれが
わが国の 悲劇なのだ。
王「しかし 学者の調べで その悲劇にも
終わりを つげられそうな 方法が
見つかりつつある。
王「大臣よ わるいが
学者を ここへ。
大臣「はい ただ今。
王「この学者が しらべたところによると
どうも 北の大灯台に
秘密があるらしい。
王「魔物にされた 子どもたちが
北の大灯台に 向かっていくという
ウワサは 前から あったのだが…
王「闇の炎に 支配されていらい
大灯台の中は 暗闇にとざされて
いっぽも 進むことができないのだ。
王「しかし 学者の考えた方法なら
暗闇の中でも 子どもたちの
後を 追うことができるという。
大臣「では お客人に その方法を
ご説明するのじゃ。
学者「そうですか。
では… ゴホン。
学者「じつは この国の ずっと 東の
洞くつに ホビット族の
集落が あります。
学者「彼らは 洞くつの 地底深くにある
不思議な 光ゴケを 太陽の
かわりにして 生活しておるのです。
学者「そこで 私は 考えました。
その光ゴケを 魔物にされた子どもの
足につければ 後を 追えるのではと。
学者「光ゴケは 暗闇で光りますから
その光る足あとを 追えば
大灯台の中も 歩くことができます。
学者「しかし チャンスは 数回だけ。
魔物にされた子どもは 数日間だけ
この国に もどってきますが…
学者「その後は 身も心も 魔物になって
2度と もどりません。ですから
その前に 光ゴケを入手しなければ。
学者「…と いうことで 私の
説明は おしまいですが
もういちど お話し しましょうか?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
(ループ) |
いいえ |
学者「では 私は これにて。 |
王「そんなわけで 学者のいうように
われわれには 光ゴケが
必要なのだ。
王「ほんらいなら こちらから 出向いて
ホビット族の長に お願いするところ
なのだが…じつは その…
王「わしが ホビットの長に ひどく
きらわれているため わが国の者の
たのみは 聞いてくれないのだよ。
王「そこで みなさんを かなり
ウデのたつ 旅人と見込んで
お願いなのだが…
王「コスタールの者に かわって
ホビット族に 光ゴケをくれるよう
たのんでは くれまいか?
王「みなさんが どうやって ここまで
来たかはしらぬが これも
神の おみちびきかもしれん。
王「ホビットの洞くつは この国から
いったん北にむかって 山脈の
向こうを 南に下ったところだ。
王「どうか よろしく たのみましたぞ。
メルビン「ホビットの集落は
たしか ここから 東の洞くつに
あるのでござったな。
メルビン「さあ アルスどの。
早く 向かうでござるよ。
メルビン「どうやら この国を
救うための ひとすじの光明が
見えてきたでござるな。
メルビン「早速 ホビットの集落に
向かうでござるよ。
ガボ「なあ アルス。
こんな所で ボヤボヤしてないで
光ゴケを とりに行こうぜ。
アイラ「ホビット族の集落か……。
洞くつの中で いったい
どんな暮らしを してるのかしら?
ガボ「よっしゃ!
それじゃあ その光ゴケってのを
とりに行こうぜ。
大臣「もうしあげにくい ことですが
わが王は ホビットの長の
怒りを かっておりまして。
大臣「じつは 王の 亡くなられた奥方は
ホビットの長の娘 だったのです。
大臣「かならずや 幸せにするとの約束で
種族をこえた結婚を 許されましたが
奥さまは 魔物の手に…。
大臣「そのことを まだ ホビットの長は
お許しにならないのです。
アイラ「一国の王と 族長の娘が
種族をこえて 結ばれるなんて…。
アイラ「きっと ふたりは
深く 愛し合っていたのね。
メルビン「そのような理由が あっては
光ゴケは われらが
とって来るしかござらんか。
メルビン「これを機に ホビット族と
和解できれば 1番でござるが
今は 急がねばならんでござるしな。
ガボ「ふーん。
人間と ホビットって
結婚できるモンなんだなあ。
学者「光ゴケには 不思議な成分が
ふくまれていて 暗闇で
ぼうっと 光をはなつのです。
学者「それを 防具屋さんの家の
まわりに まいておけば 子どもが
もどったとき 足につけられるはず。
学者「東の洞くつの ホビットの集落まで
たどりつくのも 大変だと思いますが
どうか お願いいたします。
ガボ「ふへえ。
学者のおっちゃん よく そんな手を
考えついたもんだなあ。
ガボ「だてに 勉強ばっかり
してるワケじゃねえんだな。
オイラ 感心したぞ。
アイラ「魔物になった 子どもが
家に もどってくるって話……
なんだか それも せつないわね。
*「なんと マール・デ・ドラゴーンの
なき今 こんどは 旅のお方に
わが国の 大事を お願いするとは…
*「どうやら 世界の 終わりも
近いようだな…。
ガボ「あの兵士 失礼なヤツだな。
アルスも なんか文句
言ってやれよ。
メルビン「むむう。
たしかに わしらは 得体の知れぬ
旅の者でござるが……。
メルビン「まあ わしらが 見事
役目をはたせば 彼の見る目も
自ずと 変わるでござろうよ。
*「東の洞くつへ 行かれるのですね。
どうぞ お気をつけて!
ガボ「うわ〜 真っ暗で
オイラ なんにも見えねえよ。
アイラ「ダメだわ。
完全な暗闇で 何も見えない。
引きかえすしかないわ。
中は 真っ暗で
どうにも 様子がわからない!
メルビン「どうも この洞くつには
かなりの数の 魔物が
入りこんでいるでござるな。
メルビン「これで ホビット族は
大丈夫なのでござろうか?
アイラ「どうやら 光ゴケは
かなり 奥深くまで 行かないと
手に入らないみたいね。
ガボ「ホビット族って どうして
こんな洞くつに 住んでんのかな?
ガボ「オイラだったら
気分が めいっちまうぞ。
返事が ない…。
ただの しかばね のようだ。
*「ゲッゲッゲッ…
ホビット族のやつら なかなか
いい宝を もってやがる。
*「ゲッゲッ… ゲッ?
*「な なんだ きさまらは!?
オレさまに なにか
文句でも あるのか?
はい/いいえ | |
---|---|
はい/いいえ |
*「ふん まあ どちらでもいい。 |
ガボ「チェッ!
やっつけてやろうと 思ったのに
にげちまったよ。
アイラ「ホビットの集落も ずいぶん
魔物に 荒らされてるのね。
メルビン「どうやら 魔物の被害に
あっているのは 人間ばかりでは
ないようでござるな。
*「あっ 人間だ!
人間が 来たぞ!
ガボ「なんで オイラたちのこと
きらうんだよう?
オイラたち 魔物じゃねえぞ!
メルビン「やはり ホビット族は
コスタールの者に限らず 人間を
きらっているようでござるな。
メルビン「さて どうしたものか……?
アイラ「仕方ないこととはいえ
こんな風に きらわれるのって
悲しくなってくるわね。
*「わしらは ホビット族。
コスタール王妃の亡き後 人間とは
縁を切って くらしている。
*「それ以上 入ってもらっては
こまる。去ってくれ。
*「ここは われらが 長老さまの家。
ホビット族でない者を
入れるわけには いかないね。
*「おい! いいから
入れてやんな!
*「あっ 長老さま!
わ わかりました。
*「この先には オイラたちの
太陽が ある。人間なんぞを
通すわけには いかないよ。
*「コスタールのやつと
クチなんて 聞きたくないね。
出てってくれ。
*「え? コスタールの者じゃない?
でも 人間だろ。
だったら 同じことさ。
*「あっちへ 行ってちょうだい!
*「人間と つきあったりしたら
シュクリナさま のように
殺されてしまうわ!
*「わしゃ なにも 話すことは
ないぞい。
*「あっ 人間だ!
へんな かっこうだなあ。
*「魔物に 荒らされはしたが
ここには まだ われら一族の
宝が あるんだす。
*「よそ物を 通すことは
だんじて できねえべさ。
*「長老さま どうしたんだろ?
人間を 中に入れるなんて…。
ぶつぶつ…。
長老「ふん。なにやら 外が
さわがしいと 思ったら 人間が
迷いこんどったか。
長老「わしら ホビットに
なんぞ 用でもあるのか?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
長老「はん? コスタール王が 長老「ふん。別に わしゃ 長老「娘のシュクリナのことは 長老「けどよ わかるだろ? 長老「一族の皆も したっておったし 長老「コスタール王 そして 人間を 長老「…で わしに アルスは 長老に 長老「ふん…。シャークアイが 長老「光ゴケなら この洞くつの 長老「なにしろ 魔物の親玉が 長老「あんたら あぶない目に 長老「光ゴケは 水ぎわのそばの 壁に |
いいえ |
長老「ふん。だったら 長老「こんな 洞くつの中に いたら |
はい・いいえどちらでも話す
メルビン「むう。光ゴケが 魔物に
食われているとは……これは
急いだほうが よさそうでござるな。
アイラ「どうにかして 人間と
ホビットを もう一度
和解させられないかしらね。
アイラ「この洞くつの魔物を 倒せば
少しは 人間を信用してくれるように
なるかしら?
ガボ「光ゴケって うめえのかな?
魔物が食うんなら オイラも
ちょっと 食ってみようかな。
*「この先には オイラたちの
太陽が ある。けど 今は
魔物が あらしまくってる。
*「長老さまが なにを
たのんだか しらないが
かくごして 行けよ。
*「ああ うめえ うめえ…。
こりゃ たまらんぜよ!
*「まったく 最近は われわれの
なわばりも へっちまって…
*「うまいもんでも 食わなきゃ
やってられないぜよ。
……ん?
*「な なんぜよ!?
きさまらは!
*「あ! こ こいつら人間ですよ!
ガマデウスさま!
コスタールのやつら だな。
ガマデウス「なんぜよ どうもクサイと
思ったら 人間か。
ガマデウス「しかし まだ コスタールに
ここまで来る 元気のあるやつが
いたとはのう。
ガマデウス「ぐはははは! まったく
感心するぜよ。
ガマデウス「あまり うまそうじゃないが
ほうびに このわしが
おまんらを 食ってやるぜよ!
ガマデウス戦
ガボ「わっ なんだ この
カエルのお化けみたいな ヤツは!
アイラ「いや〜ね さわりたくない
魔物だわ。なんて 言ってる場合じゃ
ないけど… さあ がんばりましょ!
メルビン「光ゴケを食べるとは けしからん
魔物で ござる。じっくり
こらしめてやるで ござるよ。
ガマデウス「な なぜ このわしが…。
ぐはっ!
ガマデウス「わ わしに 勝ったからって
いい気に なったら いかんぜよ!
ガマデウス「まだまだ おまんらが
考えもつかぬような ごっつい
大物が… ぐはっ!
メルビン「さあ アルスどの。
光ゴケを 手に入れるでござるよ。
土壁には 光ゴケがはえて
青白く 光っている。
アルスは 光ゴケを 手に入れた!
メルビン「さあ アルスどの。
この光ゴケを はやく コスタールに
持ち帰るでござるよ。
アイラ「これで この大陸を
封印から 解放することが
できるかもね。
ガボ「なあ アルス。
光ゴケだけどよう ちょっとだけ
食っても いいかな?
*「この洞くつの 地下3階の
水飲み場は 私たち ホビットの
集会場に なってたの。
*「そこにいるのを 魔物におそわれて
殺されてしまった仲間も いたのよ。
ゆるせないわ!
*「ありがたや…。
これで また わしらの太陽さまが
おがめるぞい。
*「人間にも いい人は いるのね。
*「もしかして シュクリナさまが
愛した コスタール王も
いい人だったのかしら。
アイラ「これを機に ふたたび
人間と ホビットが
仲良くなれたらいいんだけど……。
ガボ「シュクリナって人のことは
知らねえけど 王さまの奥さんなら
きっと いい人だったんだろうな。
*「まさかとは 思ったが
あの強い魔物を やっつけたのかい?
すごいな。
*「あんたら 人間に
あのカエルの化け物を たおす
チカラが あったとはな。
*「シュクリナさまは もどってこないが
すこしは 見直したぞ。
ガボ「へへへ。
魔物を 倒したら 少しは
見直してもらえたみたいだな。
メルビン「あなどってもらっては
困るでござる。あんなカエルなぞ
われらの 敵ではないでござる。
*「あんたら もしや そのウデで
コスタールのやつらも
助けるつもりだろ。
*「無茶しないほうが いいぜ。
大灯台に巣くう魔物は ここにいた
やつらよりずっと 強敵だからな。
メルビン「そうは言われても
のりかかった船でござるしな。
メルビン「大灯台の魔物が
いかに強くても ここで
引き下がるわけにはいかんでござる。
*「やった〜!
これで また 遊びまわれるぞ!
*「すや すや…。
*「長老さまが 人間を
家に入れるなんて 変だと
思ってたけど…
*「あんたら 実は 人間じゃないな。
そうでなきゃ 魔物を
たおせるはずないさ。
*「わかってるって。
みんなには だまってて
あげるからさ。
アイラ「人間じゃないなんて 失礼ね!
じゃあ いったい 何に見えるって
言うのよ?
ガボ「うっ!
どうして オイラが オオカミだって
バレちまったんだ!?
長老「…あんたらが 手に入れた
その光ゴケには 娘のシュクリナの
気もちが こもっている。
長老「あの 光ゴケを
あそこまで 育てたのは
シュクリナ だったからよ。
長老「それで せめて あの娘の
カタキを とってやってくんな。
長老「…いや まさに シュクリナは
わしら ホビットの
太陽だった。そう 今でもな。
ガボ「よーし アルス。
この光ゴケで シュクリナさんの
カタキを とってやろうぜ。
メルビン「わしも できることなら
シャークアイどのには お会いして
お助けしたかったでござる。
アイラ「かつて 人間と ホビットの
かけ橋だった シュクリナさんの
光ゴケが この大陸を救うわけね。
*「魔物に 荒されはしたが
ここには まだ われら一族の
宝が あるんだす。
*「いつか封印を とかれ
平和になるまでは きっちり
守らしてもらうべさ。
ガボ「だったら 封印が 解かれたら
ここを 通してくれんのかな?
*「わ〜い!
また ここで 遊べるぞ!
*「でも 人間って
やっぱり 変な かっこうだね。
*「もし ここに 宝が 残ってたら
あんたたちに もっていって
もらったんだけど。
宝を取った場合
*「え? 宝が 残ってた?
なんだ 魔物もけっこう
マヌケだな。
*「じゃあ それを
もっていってくれよ。オイラたちの
せめてもの お礼さ。
*「これで やっと オイラたちの
仲間を とむらうことが できるよ。
ありがとな。
ガボ「なあ アルス。
光ゴケだけどよう ちょっとだけ
食っても いいかな?
アイラ「ガボっ やめときなさい!
ぜったい お腹こわすわよ。
メルビン「すでに 魔物は 防具屋の前に
来ているとのこと。
アルスどの 急ぐでござるよ。
ガボ「うひゃ〜。
ずいぶん おそくなっちまったな。
ガボ「早く しねえと 魔物が
行っちまうぞ。
アイラ「ここって いつも 暗いから
昼夜の感覚が マシしてたわ。
アイラ「さあ アルス。
防具屋さんの前に 急ぐわよ!
*「光ゴケを とってきて
くださったんですね。
よかった! 間に合って…!
*「ささ どうぞ
はやく 中へ!
大臣「王さま! はやまっては
いけませぬ。もうじき
アルスどのが…!
*「むっ!? 王さま!
アルスどのが!
大臣「おおっ! これは 皆さん
よくぞ もどってきてくださいました!
大臣「今 まさに
その 魔物が…
*「ぬわ〜っ!!
*「アルスどの!
は はやく その光ゴケを!
メルビン「さあ アルスどの!
今こそ 光ゴケを 使う時でござる。
アルスは 光ゴケを
魔物の あしもとに まいた!
*「アルスどの!
大丈夫ですか?
おケガは ないようですね。
*「どうやら 光ゴケは うまく
魔物の 足に ついたようです。
いや 間に合ってよかった!
*「それじゃあ これで あの子の
行き先が わかるんですね!?
は はやく あとを追って…
王「待ちなさい!
王「はやまっては いかん。
そなたが 後を追って
なにができると いうのだ?
王「いや われわれとて 同じこと。
アルスどのが おらねば
光ゴケも 手に入らなかったはず。
王「ここは 恥をしのんで
アルスどのに お願いするしか
あるまい。
王「アルスどの。本当に よく
光ゴケを もってきてくださった。
王「光ゴケは 暗闇にあるかぎり
いつまでも 光をはなつという。
王「おそらく 魔物は 北の大灯台に
向かったはず。さすれば 内部に
光る足跡が 残っていよう。
王「アルスどのも 今は さすがに
おつかれのご様子。
王「大灯台へ 出発するのは
ひと晩 ゆっくり 休まれてからで
よろしかろう。
王「さあ 皆も もどって
休むのじゃ。
王「おお アルスどの。
わしの 寝室の 寝ごこちは
いかがだったかな?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
王「ふむ それはよかった! 王「いや いつだったか シャークアイを |
いいえ |
王「わっはっは! そういえば いつか |
王「…さて アルスどの。ついに
大灯台へ 向かっていただく
ときが きたわけだが…
王「北の大灯台の 祭壇には 今
闇の炎が ともされているという。
王「もし そこまで たどりつけたなら
まずは 闇の炎を
消さなくてはならん。
王「それには この世界のどこかで
とれる 七色のしずく という
清き水が 必要らしいのだが…
王「くわしいことは そこの学者に
聞いてほしい。わしが 間違った
説明をしては 大変じゃからな。
王「とにかく くれぐれも
ご用心されたい。
よろしく たのみましたぞ。
アイラ「あせらないで アルス。
大灯台に 行く前に キチンと
準備を ととのえましょう。
メルビン「必ずや 闇の炎を 消し去り
このコスタールに 平和を
とりもどすでござるよ。
ガボ「いよいよ 大灯台に
のりこむんだな!
よーし やってやるぞ〜!
大臣「大灯台の上の方には
とうぞくなどから 聖なる種火を
守るための しかけがあります。
大臣「大灯台に入ったら とにかく
魔物の足あとを追って それ以外の
ところを 歩かないことです。
ガボ「なんだ つまんねえな。
オイラは 灯台の中 いろいろ
歩き回りてえぞ。
学者「七色のしずく とは 七色の入り江
という 聖なる場所を 満たす
海水のことを いいます。
学者「ですから 七色の入り江へゆけば
簡単に 手に入るはずですが…
学者「七色の入り江といえば 最近
有名な学者が 次のように
書き記しています。
学者「この世の中心の 海に浮かぶ
小さな小さな 無人島に
七色の入り江は 存在する。
学者「清き水に たたえられた その水面は
悪しき心を いやし 深き眠りへと
いざなうという。
学者「しかし 七色の入り江へ
たどりついた者は いない。そこは
神の領域 なのだろうか? と。
学者「しかし アルスさん ほどの
旅人なら もしや 七色の入り江を
見たことが あるのでは?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
学者「え? アルスさんの 故郷の島に 学者「なんと! なんということだ! 学者「ん? しかし その島は |
いいえ |
学者「そうですか…。しかし 学者「七色のしずくを 手に入れ |
はいの場合
メルビン「はて? アルスどのの
故郷の島は この時代だと
無人島だったんでござるかな?
アイラ「そう言えば アルス。
七色のしずくって どこかで
聞いたことがないかしら?
*「なんと あなた方が これほどの
旅人だったとは…。
*「いろいろ 失礼なことを いって
申しわけない。やはり わが王の
見る目は 正しかった!
ガボ「へへん!
どうやら やっと オイラたちの
偉大さを わかったみてえだな。
メルビン「やはり やるべきことを
やれば 自ずと 周囲の見る目も
変わるものでござるな。
*「この国の 未来は アルスどのの
手に かかっています。
どうぞ よろしくお願いします。
*「アニエスさまは 今日も
テラスに 出ておいでですわ。
*「なんだか 思いつめたようなカオを
なさっていたのが 気になるけど…
*「でも テラスに 出ておられると
いうことは お元気に なられた
しょうこ ですわね。
アニエス「あら あなた方は うわさの
旅のご一行ね。王さまから お話は
聞いています。
アニエス「最近 すこし 身体が回復して
なんだか とても シャークアイに
会いたくなったわ。
アニエス「もし この国の
封印がとけたら 永遠の氷づけの
あの船も もどってくるのかしら?
アニエス「いえ きっと だめね。
魔王に 永遠の呪いをかけられたら
なん百年もの間 とけないはず。
アニエス「そのときまで 私
生きて 待っていたいわ。
あの人を…。
アイラ「アニエスさんの表情……
なんだか 思いつめてたみたいで
気になるわね。
ガボ「そっかあ。
この国の封印を 解いても
シャークアイには 会えねえのか。
ガボ「残念だなあ……。
メルビン「氷づけの呪いは
それが解けるのに 何百年も
かかるという 強力な呪い……。
メルビン「残念ながら 人は それほど
長生きはできんでござるよ。
*「大灯台の 聖なる種火は
エンゴウの火山より
もたらされたもの。
*「もし 大灯台の 闇の炎を消せたなら
エンゴウの国へいって 種火を
もらってくれば よいのじゃ。
*「しかし どうも 大灯台の祭壇は
今や 魔物の世界への 入り口に
使われとるようじゃからのう。
*「その奥の 魔物を たおさんことには
聖なる種火も 祭壇にともすことは
できんじゃろう。
メルビン「魔物の世界でござるか……。
これは 気合を入れて かからねば
ならんようでござるな。
アイラ「大灯台の奥にいる 魔物が
この呪いの 元凶なのね。
そんなヤツ 絶対 倒してやるわ。
*「あっ これは アルスどの
ごくろうさまです!
*「この灯台は わたくしが
しっかり 見張っておりますゆえ
ご安心を!
*「と いいたいところですが 魔物に
攻めてこられたら オレなんて
ひとたまりも ないっつ〜の。
ガボ「なんだか たよりねえ
見張りだなあ。
*「大灯台の 2階には 水の精霊さまの
姿をした像が 立っていて 私たちも
お参りしたことが あるわ。
*「でも それより上の階には 当時の
灯台守りの おじさんしか
いったことがないの。
*「なんでも とうぞくから 祭壇の火を
守るために ふくざつな つくりに
してあるとか。
*「そのときの 灯台守りの おじさんは
この城の灯台守りの おじいさんの
息子さん だったんだけど…
*「この国が 封印されたとき
魔物に おそわれて 亡くなったわ。
メルビン「大灯台に 上るのは
どうやら ひとすじなわでは
いかんようでござるな。
ガボ「水の精霊さまの像かあ……。
どんな姿してんのかなあ?
アイラ「それじゃ 大灯台の
上のほうが どうなっているのかは
誰も 知らないのね。
アイラ「ワナとかも あるって言うし
これは 気をつけて 進まないとね。
※話しかけても反応のないネコがいる
*「やや これは 皆さん
おつかれさまです!
*「光ゴケを みつけてくるとは
さすが 先生方ですな! その調子で
大灯台も よろしくお願いしますよ。
メルビン「むむう。
なんだか 調子のいい男でござるな。
*「ぼくの 父さんは
防具屋さん なんだ。
*「妹がいたら いっしょに
カブトを かぶって 戦士ごっこ
しようと思ってたのになあ。
アイラ「待っててね。
もうすぐ 妹と いっしょに
遊べるようにしてあげるから……。
*「あなた方の おかげで 私たちも
希望が 出てきました。いつまでも
こんな毎日は 続かないと… さて
(防具屋)
シエラ「私の娘が せめて 皆さんの
お役に たてるなら あの子も
むくわれますわ。
シエラ「あの子の 足跡を
追ってあげてください。
どうか お願いします!
ガボ「あのふたりも ちっとは
元気が 出てきたみたいだな。
ガボ「よーし!
赤ちゃん 取りもどして ふたりを
もっと 元気にしてやろうぜ。
メルビン「さあ あのご夫婦のためにも
早く 大灯台の 悪しき魔物を
倒しにいくでござるよ。
アイラ「彼らの希望を 決して
絶望に 変えてはいけないわ。
アイラ「もう あんな 悲しい姿を
見るのは たくさんですもの。
*「魔物一族は ただ われわれ人間が
苦しむのを 面白がってるようにしか
思えませんね。
*「王妃シュクリナさま だって ただ
コスタール王を 苦しませるために
殺されたのかもしれない。
*「お客さんたちも ウデには自信が
あるんでしょうけど じゅうぶん
気をつけてくださいね。
メルビン「たしかに 魔物とは
そういうものでござるな。
まったく 許せんでござるよ。
*「この世の どこかにある無人島って
私も 聞いたことがあるわ。
*「七色の入り江っていう とても美しい
入り江があって 小さいけど
すてきな島だとか…。
*「そこに住みたくて 旅をしてるって
いう人も いるらしいわ。
アイラ「わたしは にぎやかな所より
七色の入り江みたいな
静かなところのほうが 好きだわ。
メルビン「たしかに アルスどのの島は
美しい おだやかな島でござるな。
*「あんたたちも 皆の期待を
せおって 大変だね。
*「でも あたしも 期待してるからさ
がんばっとくれよ! ところで…
(宿屋)
*「オレって 貧乏性でよう
物をすてることが できなくて
いつも 妻に どやされるんだよ。
*「だから いらない物を こっそり
家のうらに かくしてるのよ。
へへっ 頭いいだろ。
ガボ「へえ 宝物ゴッコかあ。
おもしろそうだな。
どんなモンが あるんだろ?
アイラ「あの人 こんな大変な時に
なにやってるのかしら?
のんきな人も いるもんね。
*「大灯台の 聖なる種火のことなら
たしか この城の 灯台守りの
じいさんが くわしかったねえ。
*「え? そんなこと聞いてない?
あたしゃ 耳がとおいもんで
すまんのう。
メルビン「年をとれば 耳が遠くなり
身体も 弱くなるのは
仕方のないことでござるよ。
メルビン「わしでござるか? わしは
まだまだ 年寄りあつかいされるほど
モーロクしてないでござるよ!
*「あら あなた
うちの人を 見なかった?
はい/いいえ | |
---|---|
はい/いいえ |
*「また そのへんを フラフラ *「男なんだから すこしは |
*「魔物に 光ゴケをつけるなんて
あなた方 とっても
勇気が あるのね。
*「まるで マール・デ・ドラゴーンの
海賊たち みたいだわ。
*「ここは コスタール。
海にうかぶ 港の国だ。
*「この城から 海ぞいに 北へゆけば
大灯台。かつて 聖なる種火が
ともされた祭壇のある 塔だ。
*「あっ アルスさん
どうも ごくろうさまです!
*「そのネコ なぜか アルスさんは
ひっかかないんですよね。
なんでだろ。
ガボ「ホントに なんでだろうな?
もしかして アルスって
シャークアイに 似てんのかもな。
*「フニャッ!?
ニャ〜ン。
*「ねえ あなたたち
シャークアイ総領が 飼ってた
ネコちゃんを 見たでしょ。
*「ああやって シャークアイの船が
氷づけにされた 海を ずっと
ながめてるの。けなげ よね。
*「世界のどこかにあるという
七色の入り江には 水の精霊さまが
住んでいらっしゃって…
*「この世の すべての 海を
見守っているという
言い伝えですわ。
*「だからこそ 魔王は 水の精霊を
きらい その血を引く マール・デ・
ドラゴーンの船を 呪いにかけた。
*「と この城の学者や 王さまは
考えておいでのようです。
アイラ「水の精霊に 守られているから
アルスの島は 封印されずに
残ったのかしらね?
ガボ「へえ。あっこの入り江には
水の精霊さまが 住んでんのか。
そんなの 初耳だなあ。
メルビン「水の精霊…七色の入り江……
マール・デ・ドラゴーン……。
メルビン「わしも これらのことには
どうも ただならぬ 因縁を
感じるでござるよ。
*「王さまから 聞きましたが
大灯台へ ゆかれるそうですね。
*「もし その魔物の ゆく先に
ボクらの子どもがいたら どうか
つたえてください。
*「ボクらは 今でも
お前を 待っているよ と。
メルビン「たとえ 魔物になっていても
愛する わが子のことは やはり
あきらめられぬでござるな。
アイラ「この国の封印を 解いた時
子どもたちも 無事に
もどってくれば いいのだけど…。
*「ああ… アルスさん…ですね。
光ゴケのこと…聞きました。
*「どうか…お願いします。
私たちのような思いを また
だれかが することのないよう…。
アルスは 入り江を調べた。
七色に キラキラかがやく水で
みちあふれている……。
すごい聖水のビンなら
この水を くめそうだ。
七色の入り江の水を くみますか?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
アルスは すごい聖水のビンの アルスは 七色のしずくを |
いいえ |
(何も起こらない) |
ガボ「うほ〜 でっけえなあ。
これが 灯台ってヤツかあ。
アイラ「さあ アルス。
足跡から はぐれないように
気をつけて 進みましょう。
メルビン「アルスどの。
今は 闇の炎を 消し止めることが
先決でござるよ。
ガボ「うほ。ちゃんと 光ってるぞ。
この足跡を 追ってきゃいいんだな。
像は 美しく清らかな表情で
はるかなる 海を みつめている。
ガボ「うひょう! なんだ ありゃ?
変な色の炎が もえてんぞ!
アイラ「あそこに見えるのが 闇の炎?
さすがに まがまがしいわね。
メルビン「どうやら ここが大灯台の
最上階のようでござるな。
目の前の祭壇には 闇の炎が
あやしく 燃えさかっている……。
アルスは 七色のしずくを
闇の炎に ふりかけた!
ガボ「ここに 魔物に変えられた
子どもたちが いるんだろ?
早く 助けてやろうぜ。
アイラ「とにかく こんな世界を
作り出した 魔物を 早く
倒しちゃいましょうよ。
メルビン「う〜む。
なんとも 異様な世界でござるな。
*「ふん! やっと ここまで
きおったか! まったく
待ちくたびれたわい。
*「そろそろ 赤ん坊の
相手をするのも あきたしな。
*「少しは ホネのあるやつが
この国を うろついとるようだと思い
楽しみにしておったところよ。
*「それにしても 遅い!
おまえら 遅すぎる!
*「ゆっくり楽しんで 殺そうと
思っていたが もう いっきに
終わっちまえ!
バリクナジャ戦
メルビン「この気配は ひとすじなわでは
いきそうもないで ござる。
気を ひきしめるでござるよ!
アイラ「いかにも 腹黒そうな 魔物ね。
どんな きたない手を しかけてくるか
分からないわ。気をつけましょう!
ガボ「わっ でっけえ 魔物だな!
あのムチが 痛そうだぞ。
アルス しまっていこうぜ!
*「あああ〜 なぜだあ〜!
なぜ このオレが〜!
*「しかし コスタールが 復活しても
シャークアイの船は 氷づけのまま。
ぐわっはっはっ!
*「ぐわっ!!
*「あっ アルスどの
お帰りなさい!
*「よくぞ ご無事で。
ささ どうぞ 中へ!
*「ここは コスタール。
海にうかぶ 港の国。
*「そして もうすぐ
平和な 明るい世界に
もどれるのだ!
*「アルスどの。
あなた方の おかげです。
*「あなたたち すごいじゃない!
世界を旅してきて こんなに
希望にもえたのは はじめてよ。
*「まさか ボクらの息子が
帰って来るなんて!
*「アルスさん。
希望をすてないって
すばらしいことですね。
*「それを 教えてくれたのは
あなた方ですよ。
ありがとう!
メルビン「うう……。
本当に よかったでござるなあ。
メルビン「わしは こういう場面には
弱いんでござるよ。
……グスッ。
ガボ「よかったなあ……。
オイラも なんだか うれしいぞ。
アイラ「……アルス。
わたし あなたたちと 旅してきて
本当に よかったと思うわ。
*「この子が 帰ってきたら
病気なんて 治ってしまいましたわ。
*「いつのまにか こんなに
大きくなって… つらかったろうに。
*「ぼく どうちたの?
このちとたち ぼくの
とーたん かーたんでちょ。
*「たとえ まだ 封印の中にあっても
大いに よろこぶべきですわ。
*「魔王は 人びとが 苦しめば
苦しむほど そこに つけ入るのだと
いいますから。
メルビン「アルスどの。
人々が 心から 笑えるように
封印を解くのを 急ぐでござるよ。
ガボ「オイラは 思いっきり
よろこんでるから 魔王になんか
つけいらせねえぞ。
*「よかったねえ。
ほんに よかったねえ。
*「とうとう やりましたね 旅の方!
あとは 大灯台に 元どおり
聖なる種火を 運ぶだけ。
*「それで きっと
この国の 封印は とけますよ!
ささ もうひとふんばり…。
*「みんな ヘンなの。
しんせきの家から 帰ってきただけで
なんで 泣いたりしてるの?
*「でも ボクも うれしいや!
*「あっ 皆さん 見てください!
うちの娘が…
娘が もどってきたんです!
*「あなた方が 大灯台の魔物を
たおしてくださったんですね!
ありがとうございます!
アイラ「……よかった。
赤ちゃん 無事に もどってたのね。
本当に よかった……。
シエラ「ああ 私の赤ちゃん!
もう 2度と はなさないわ。
ありがとうございました!
*「だあ〜 だあ〜
きゃっ きゃっ。
*「防具屋のだんな 本当に
よかったな。まあ まだ
ゆだんは できないけどよ。さて…
(武器屋)
*「魔物にされてた 子どもたちが
もどってきたなんて なんだか
信じられませんよ。
*「はやく 聖なる種火を
運ばなきゃ また 魔物に
もどっちまうんじゃ ないでしょうね。
メルビン「よもや そんなことは
あるまいが 封印を解くのは
急いだほうが よさそうでござるな。
アイラ「彼の 言うとおりね。
封印が 解けるまでは 完全に
安心することはできないわ。
*「いや〜 めでたい!
こんな時は 飲まなきゃな。
グビグビグビ…。
*「七色の入り江って 本当に
あったのね。
ねえ どんなところなの?
*「あっ やっぱり いわないで!
いつか きっと あたしも
その無人島に いくんだから。
*「おや 英雄のみなさんだね。
ゆっくり 泊まっておゆきよ。さて
(宿屋)
*「あら あなた
うちの人を 見なかった?
はい/いいえ | |
---|---|
はい/いいえ |
*「また なんやかや *「男なんだから すこしは |
*「夜 魔物がやってくる 不安からは
これで のがれられそうね。
*「ああ はやく もとの
明るい世界に もどりたいわ。
*「すや すや…。
*「アニエスさま いったい
どこに ゆかれたのかしら…。
*「かぎられた 食材だけど
せいいっぱい ごちそうを
作ろうと 思ってたのに。
*「にゃん にゃん にゃ〜ん!
*「わしゃ なんにも しとらんぞい!
*「お城の メイドのやつ わしが
アニエスさまの寝室に いなかったか
などと 変なことを いいおって。
*「おお そんなことより エンゴウの
村の 聖なる種火は 手に
入ったかね?
*「あれを 北の大灯台の祭壇に
ささげれば この 国も
もとの世界に もどれるはずじゃ。
アイラ「おじいさんの言う通り
今は 聖なる種火のチカラで
封印を 解くのを 急ぎましょう。
メルビン「あのご老人。
あらぬ うたがいを かけられて
さいなんでござったなあ。
ガボ「なあ アルス。
これから あの火山の町に
向かうのか?
*「この灯台守りの おじいさんって
あっけらかんと してるけど あれで
息子さんを なくしてるんですよ。
*「なんでも 北の大灯台の
灯台守りを まかされてたとか。
*「魔物が ふえてきてからは
やめるようにって 王さまも
いったらしいんですけどね。
*「オレなら ぜったい そんな
キケンな 仕事
できないっつ〜の。
*「これで 大灯台に 元どおり
聖なる種火が もたらされれば
必ずや 封印はとかれましょう。
*「それまでは われわれも
ゆだんせずに お城を守ります!
学者「アニエスどのは 最近 とても
シャークアイどのを 恋しがって
おられました。
学者「まさか 海に 身を投げられてたり
していなければ よいのですが。
メルビン「ま まさか アニエスどのが!
そ それは 大変でござる。
メルビン「ああ し…しかし 今は
封印を解くことが 先決でござるか。
うう 身をさかれる思いでござる。
大臣「子どもたちが もどったというに
いやはや こまったことになった。
大臣「アニエスどのの 身に
なにごとも なければよいが…。
王「おお 皆さん よくぞ ご無事で
もどられた!
王「ほんらいなら ひとまず
祝宴をと いいたいところだが
じつは 心配なことがおきてのう。
王「なんと アニエスどのが
どこにも いなくなって
しまわれたのじゃ。
王「書きおきが あって それには
心配しないようにと 書いてあった
ようだが…
王「もしや 大灯台の魔物を たおした
しかえしで 魔物につかまったのでは
ないかと 心配でな。
王「かくなる上は いっこくもはやく
エンゴウから 聖なる種火をもって
封印から 脱出せねばなるまい。
王「封印が とかれれば 魔物の
チカラも つき アニエスどのも
もどってくるのではないだろうか。
王「アルスどの。
いきなりで 本当にすまぬが ここに
エンゴウへの 親書を 用意した。
アルスは
コスタール王の手紙を
うけとった!
王「手紙を エンゴウの村の 村長に
わたしてほしい。さすれば
聖なる種火を くれるはずじゃ。
王「あなた方なら エンゴウへ
ゆくことも 可能であろう。
王「その間に わしらは
なんとか アニエスどのを
おさがし しなくては。
ガボ「ちくしょう 魔物め。
アニエスさんを さらうなんて
許せねえぞ!
メルビン「なんと アニエスどのが
行方不明とは……。
メルビン「アルスどのっ!
とにかく 急いで この地の封印を
解くでござるよ。
アイラ「書きおきが 残されてたなら
アニエスさんは きっと
無事にちがいないわ。
アイラ「それより 今は 聖なる種火を
持ち帰ることに 集中しましょ。
*「オロオロ…
ああ わたしが おそばにいながら
なんてことに!
*「昨晩 なんだか きたならしい
ご老人が ここに 入って来たのを
見たような気が するんですが…。
メルビン「老人でござるか?
わ わしでは ないでござるよ!
メルビン「だいいち わしは
そんな きたならしい格好なぞ
してはおらんでござる。
アイラ「その きたならしい老人て
何者なのかしら?
アイラ「たぶん 魔物じゃないとは
思うんだけど……。
※過去・現代どちらかのエンゴウに行くことになる
メルビン「アルスどの ここなら
聖なる種火とやらが あるで
ござるのかな?
アイラ「さて 聖なる種火は
どこで もらえば いいのかしら?
ガボ「聖なる種火って 火だろ。
火なら いっぱい 燃えてるぞ!
*「よく来たね 旅のかた。
ここは エンゴウの村だよ。
*「おや? あんたたち
どこかで 見たような……。
*「うーん 思いだせないね。
ごめんよ 気にしないどくれ。
*「むかし 炎の山が爆発するなんて
おっかない予言も あったけど
この村は 平和そのものさ。
*「わざわざ 炎の神に 平和を
いのらなくても いいのかもな。
メルビン「火山の爆発は それはもう
すごいチカラで ござるからな。
アイラ「炎の山が 爆発!?
そっか そんな大変なことが
起ころうと していたってわけね。
*「今年の祭りは なんだか
みんな ノリが悪かったな。
*「来年は オレが もっと
もりあげねえと いけねえなあ。
アイラ「お祭りか いいわね。
今度 お祭りがあったときは
わたしが おどってあげようかしら。
*「うむ!
娘の作る料理というのも
なかなか いいものですな。
*「これからは 娘が料理を
作ってくれるから 楽ができて
いいわー。
*「えーと お塩は……
てきとーで いいや……エイッ!
ガボ「いくら オイラでも
あんなの 食えないぞ……。
アイラ「あーあ あんなに
お塩 入れちゃって……。
*「まさか 孫のカオまで
生きてる間に 見られるとは
思わなかったよ。
*「長生きは するもんだねえ
ゴホゴホ……。
メルビン「わしは もう 孫のカオは
見れぬで ござるが……。
メルビン「アルスどのの
子どものカオで ガマンするで
ござるかな? わっはっは!
*「おばーちゃ おばーちゃ!
アイラ「うふふ かわいいわね。
わたしも 子ども ほしいな……。
アイラ「あっ 変な意味じゃないからね。
ごかい しないでよ アルス!
*「子供も 生まれたしな。
もう この村に 骨をうずめる
決心が ついたよ。
*「あたし ホントは
女の子が ほしかったなー。
*「そしたら おどりを教えて
あげられたのに 残念。
アイラ「わたしも 子どもには
ぜったい おどりを 教えるわ。
たとえ 男の子でもね。
*「あなたたち もしかして……
いや それは ないわよね。
*「あれから もう だいぶ
たっちゃったし あの人たちも
いいトシのはずだわ。
ガボ「オイラ まだまだ 若いぞ!
アルスだって そうだぞ!
メルビン「アルスどのも だいぶ
たくましく なられたから
見ちがえたので ござろう。
*「あたしのこと好き?
好きなら 目をつぶってよ。
メルビン「おうおう 若い者は
良いで ござるなー。
アイラ「アルス ジャマしちゃ
悪いから 他へ行きましょう。
ガボ「チューか? チューするのかー?
*「ドキドキ……。
エルマ「いらっしゃいませー。
よくきく薬と うらないの店パミラは
こちらでーす!
アイラ「ねえ アルス
ついでに 占いでも……。
ごめん なんでもないわっ。
パミラ「むむ なんと
おぬしら アルスたちか?
これは ひさしいのう。
パミラ「おぬしらが ここへ来たと
いうことは またなにか
こまりごとじゃな。
パミラ「よければ わしに
話してみい。
聖なる種火のことを 話しますか?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
パミラ「……ほう 聖なる種火とな。 パミラ「まあ 勝手に持っていくのも パミラ「長老なら 家に |
いいえ |
パミラ「そうかい。 パミラ「なにか あったら |
メルビン「やはり 村の長に
聞くのが スジでござるな。
アイラ「じゃあ アルス
長老さまの家に おじゃま
しましょうよ。
*「この炎は 炎の山の火口から
とってきたものなんですよ。
*「外の炎も この炎を種火にして
火をつけたんです。
メルビン「すると この炎が
まさに 聖なる種火ということで
ござるのかな。
*「おくさまの ご病気が
よくならないの……。
*「もう かなりのおトシだし
長老さまも 心配してるわ。
*「ゴホゴホ……。
長老「炎の神よ……
わが妻を お守りくだされ……。
長老「……!
なんと アルスどのたちかっ。
これは おなつかしい。
長老「いや おかわりないようで……。
ところで わしに なにか
ご用が おありのようじゃが?
いいえの場合のみ | |
---|---|
いいえの場合のみ | 長老「そうですか。 長老「せっかく いらしたのだ。 |
アイラ「アルス 村長さんに
聖なる種火のこと 聞かなくて
いいの?
メルビン「なんとしても 聖なる炎を
手に入れないと ならないので
ござるぞ アルスどの。
長老「おや やはり わしに
なにか ご用が おありですかな?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
長老「……なるほど 聖なる種火が 長老「しかし 聖なる種火は コスタール王の親書を |
いいえ |
長老「そうですか。 長老「せっかく いらしたのだ。 |
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
アルスは コスタール王の親書を 長老「これは…… ふむ……。 長老「われわれに できることなら 長老「下の部屋にある炎こそ |
いいえ |
長老「もうしわけないが |
メルビン「しかし どうやって
炎を持っていくで ござるかな?
アイラ「村長さんの 許可は
もらったんだから はやく
聖なる種火を 取りに行きましょう。
*「え? この炎が ほしいんですか。
はあ 長老さまの おゆるしも
もらっていると……。
*「わかりました。
じゃあ この空きビンに いれて
おわたし しましょう。
アルスは 聖なる種火を
手に入れた!
アイラ「やったわね アルス。
さあ コスタールへ はやく
もどりましょう。
メルビン「なるほど ビンに
入れておくで ござるか。
消えたりしないで ござろうな。
*「うっかり 消しちゃったり
しないで くださいね。
長老「わしらは もうトシを
とりすぎたのかも しれん。
長老「そろそろ つぎの長を
見つけなければ なりませんかな。
メルビン「なんのなんの。
まだまだ 長は お若いで
ござるよ。
パミラ「わしは いつでも
ここに いるでな。
パミラ「また なんぞあったら
カオを 出すがよいぞ。
ガボ「聖なる種火って 火だろ。
火なら いっぱい 燃えてるぞ!
アイラ「さて 聖なる種火は
どこで もらえば いいのかしら?
メルビン「アルスどの ここなら
聖なる種火とやらが あるで
ござるのかな?
*「あら あなたたちも 旅のかたね。
ようこそ エンゴウの村へ。
*「温泉に はいりたいなら
村の まんなかにある 井戸の下よ。
ガボ「くんくん……。
そろそろ オイラも
フロ入らないと ダメかなあ。
アイラ「アルス ここの温泉は
混浴だったかしら? そうなら
わたしは えんりょしておくわね。
*「そろそろ 国へ帰らないと
いけないんですけどね。
*「いやー 温泉の味を 知っちゃうと
ここを はなれづらいですよ。
*「あーあ 一度でいいから
ほむら祭り やってくんねえかな。
*「オレ 祭りって 好きなんだ。
あの熱気と こうふん!
たまんねえよな。
*「くうーっ 今日も イケてるぜ
おれっちの デリシャスシチュー!
*「ああ また おイモが 丸ごと
シチューに うかんでいるわ……。
*「いらっしゃい いらっしゃい。
エンゴウ名物 旅人の温泉は
こちらだよ!
*「この温泉のお湯で せんたくしたら
よけい よごれちゃいそうだねえ。
やれやれ……。
*「脱衣所のところで うろうろしてる
女の人 温泉に はいろうと
してるのかなあ。
*「いっしょに はいりませんか
……って 声かけたら
きらわれちゃうんだろうなあ。
アイラ「まあ 確実に きらわれる
でしょうねえ……。
*「もみもみもみ……。
*「はあ…… 極楽じゃああ〜。
このまま 死んでも ええぞ〜。
*「温泉 はいりたい……
でも 服をぬぐのは はずかしい……
*「服のまま はいっちゃうのも
ひとつの手よね……。
アイラ「そういえば 水着を着て
入るなんてのも ありかしらね。
*「あ…ああー……
す すこし 声が出るように
なってきたぞっ。
*「この温泉 ほんとうに
なんにでも きくんだ!
*「ぐおー ぐおーっ。
*「いらっしゃい!
せまくて ちいさな店だけど
ゆっくり してってよ お客さん!
*「ういー ひっくっ。
いかんな 今日は 調子にのって
飲みすぎたか……。
*「ダダンス ダンス
ダンダン ダンス!
*「どう あたしの この踊り!
おばあちゃん ゆずりの
情熱のステップよ。
*「村の者たちは 炎の神のことを
すっかり 忘れてしまったようじゃ。
*「なげかわしいことじゃのう。
むかしは よかったわい。
*「炎の神から もらった炎って
いったって ふつうの炎と
べつに かわらないよな。
*「この炎で 焼きイモ 焼いたら
うまかったりしてな あはは。
アイラ「バチが あたっても
知らないわよ……。
*「温泉の湯の ついでに
この炎も ちょっと もらって
いこうかと 思いましてね。
*「なんでも この炎は 聖なる種火
とかいう ありがたいもの
らしいじゃ ないですか。
*「……もしかして あなたがたも
この聖なる種火が ほしいんですか?
*「それなら 村長に許可を
もらわないと ダメですよ。
わたしも もらったんですから。
アイラ「そうね なんとなく
この炎からは 神の息吹を感じるわ。
メルビン「すると この炎が
まさに 聖なる種火ということで
ござるのかな。
ガボ「よーっし そんじゃ
村長に会いに行こう アルス!
*「あら?
村長に なにか ご用ですか。
村長なら 上に いますけど。
*「あの火山が ふん火でも
してくれると こわいもの見たさに
人が集まるかも しれないですわね。
*「あら ふん火なんかしたら
この村も ぶじじゃあ
すまないかしら オホホホ。
メルビン「じょうだんでも 火山が
ふん火するなんて いわないで
ほしいでござるよ。
アイラ「火山が 爆発したら
とても おそろしいことに
なってしまうのに……。
村長「おお 旅のおかたですな。
いや よく いらっしゃいました。
村長「まだまだ 旅のおかたには
つまらない村かも しれませんが
もうすこし おまちください。
村長「いろいろと 新しい娯楽場や
店などを 作っていく予定ですから。
わはははっ。
村長「……おや まだ なにか
わたしに ご用でも?
いいえの場合のみ | |
---|---|
いいえの場合のみ |
村長「おや そうですか。 村長「ぜひ 温泉にも はいっていって |
アイラ「アルス 村長さんに
聖なる種火のこと 聞かなくて
いいの?
メルビン「なんとしても 聖なる炎を
手に入れないと ならないので
ござるぞ アルスどの。
村長「おや どうしました?
やっぱり わたしに
なにか ご用でも?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
村長「……ほう 聖なる種火が 村長「あんなもの わたしにとっては 村長「わけもなく さしあげるわけには コスタール王の親書を |
いいえ |
村長「おや そうですか。 村長「ぜひ 温泉にも はいっていって |
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
アルスは コスタール王の親書を 村長「なんです これは? 村長「まあ こういうことなら 村長「そういえば 先ほど |
いいえ |
村長「残念ですが そういうことです。 |
メルビン「しかし どうやって
炎を持っていくで ござるかな?
アイラ「村長さんの 許可は
もらったんだから はやく
聖なる種火を 取りに行きましょう。
*「村長に 許可をもらえたようですね。
それじゃ これを おゆずりします。
空きビンに つめておきました。
アルスは 聖なる種火を
手にいれた!
アイラ「やったわね アルス。
さあ コスタールへ はやく
もどりましょう。
メルビン「なるほど ビンに
入れておくで ござるか。
消えたりしないで ござろうな。
*「わたしの分は もう たくさん
とってあるので どうぞ
お持ちください。
村長「とりあえずは もっと
温泉のことを 各地に
ふれまわって……ブツブツ。
メルビン「村おこしも よいでござるが
村の民のことも 考えてやって
ほしいで ござるよ。
ガボ「なあ アルス。
聖なる種火 手に入れたんだから
さっさと 封印 解いちまおうぜ。
アイラ「後は この聖なる種火を
大灯台の上に ともせば
この国は 解放されるのね。
メルビン「これで この地の封印も
解けるでござるな。
後は アニエスどのじゃが……。
アルスは 祭壇に
聖なる種火を ともした。
*「アルスどの〜!!
*「はあ はあ…。
アルスどの!
や やりましたね!
*「アニエスどのを さがしていたら
とつぜん あたりが 明るくなって
魔物の気配が 消えたので…
*「いそいで かけつけました!
はあ はあ…。
*「おお… 聖なる種火が!
やった! ついに 封印は
とかれたのだ!
*「ああ 皆さん。
本当に なんと お礼を
申し上げればよいか…。
*「おい! お礼は お城にもどってから
ゆっくり 伝えるとして ともかく
皆のところへ もどらなきゃだろ。
*「あっ そうだ! はやく
この炎を お城の 灯台にも
運ばなきゃ。ちょっと 失礼…。
*「では 皆さん われわれと 共に
お城まで おこしいただけますか?
さあ まいりましょう!
*「さあ アルスどの。
ここからは あなたが この
聖なる炎を おもちください。
*「ささ どうぞ 中へ!
お城の皆や 王さまが
お待ちかねですよ。
*「よくぞ もどられた アルスどの!
あなた方は われわれの英雄だ!
*「まるで シャークアイが
もどったかのようじゃのう…。
*「ありがたや ありがたや!
*「アルスさんたち! ステキよっ!
*「みなさん!
本当に ありがとうございます!
今日のことは 一生 わすれません!
王「アルスどの。そして 皆さん
本当に よく やってくださった!
王「数年前 闇に 封印されたときには
もはや これまでかと
あきらめかけたもの だったが…
王「かつての シャークアイたちの
不屈の精神を忘れず 今日の日を
あきらめずにきたことが
王「あなた方との 出会いを
みちびいたのではないかと 思う。
王「わが コスタール国を 代表して
心より 感謝申し上げる!
王「どう お礼を すればよいのか
わからぬが この品を
うけとっては くれまいか。
王「これは マール・デ・ドラゴーンの
一族をひきいる 総領に
代々伝えられるという 伝説の剣。
王「かつて シャークアイが 最後の
戦いに 出航する前夜 お守りにと
わしに くれたものだ。
王「これは アルスどののような
方にこそ 使っていただくべき
であろう。
王「アニエスどのは まだ みつかって
おらぬが ここに おられれば
同じことを思うに ちがいない。
王「さあ この 水竜の剣を!
アルスは 水竜の剣を うけとった!
王「さあ では この城の灯台にも
その たいまつで 聖なる炎を…
*「はあ はあ…! 王さま!
*「ア アニエスさまの お部屋に
また あの きたならしい
老人が…!
*「なんじゃい なんじゃい
きたならしいとは!
失礼な おなごじゃのう。
大臣「あ あなたは…?
*「ふむ。わしか?
名のるほどの者でもないが…
*「わしゃ 海底の王。
水の精霊さまに
おつかえする者じゃ。
大臣「か 海底の王!?
そのような方が なぜ ここに…
海底王「ふむ。お前さんたち
アニエスを さがしておったじゃろう?
じゃから 伝言を つたえにな。
王「海底の王と 申されましたな。
あなたが なぜ アニエスどのの
伝言を?
海底王「お前さんは話がわかりそうじゃな。
単刀直入に いおう。
アニエスは 今 海の中にいる。
*「や やはり 海に
身をなげられたので!?
なんと はやまったことを…!
海底王「これっ! かんちがい
するでない! 誰が 死んだと
いったのじゃ!
海底王「アニエスは もうずいぶん前から
神に祈っておった。どうしても
シャークアイに 会いたいとな。
海底王「じゃが かの船は 永遠の
呪いの氷の中。
海底王「たとえ 魔王が ほろんでも
氷がとけるのは 何百年も
先のことに なろう。
海底王「とうぜん そのときには
アニエスも お前さんたちも
生きてはおらぬ。
海底王「じゃが アニエスは 願った。
シャークアイが 目覚めるときまで
どうしても 生きていたいと…。
海底王「その想いは はるか 海底の
わしのところまで 届いたものじゃ。
海底王「わしゃ たいしたチカラはないが
海に生きる者になら この手で
命をあたえることも できる。
海底王「アニエスは 決心した。
その身を 海に生きる者とし
永遠に 夫を 待ちつづけることを。
海底王「…そこの 勇士たちが
大灯台の魔物を たおし この地への
封印のチカラが 弱まったとき
海底王「わしは アニエスを
むかえに きたのじゃ。
王「なんと… そのようなことが…。
アニエスどのは そこまでの
決心を されたというのか。
海底王「おわかりじゃろうが わしゃ
たいしたチカラは もっておらん。
海底王「いったん 人魚となり 永遠の
命を与えた アニエスを また
人間にもどすことまでは できん。
海底王「しかし これで アニエスは
シャークアイの目覚めを
見守ることが できる。
海底王「コスタール王。そして 皆さん
今まで 本当にありがとうと
そう 伝えてくれと いっておった。
海底王「アニエスのことを
悲しまないでやってくれ。
では わしゃ これで 帰るぞ。
大臣「お お待ちくだされ!
お聞きしたいことが…!
大臣「この地が 封印されたとき
失われた アニエスどのの
お腹の お子は?
大臣「あなたなら もしや
なにか ご存知なのでは
ありませぬか?
海底王「ふむ。そうじゃな…。
海底王「マール・デ・ドラゴーンは
はるか昔 水の精霊のチカラを
受けついだと いわれる 一族。
海底王「しかも その総領には 代々
その身に 精霊の紋章を もつ者が
なったと いわれておる。
海底王「ならば アニエスの子 つまり
シャークアイの子は 精霊さまの
守りを うけておるかもしれん。
海底王「こりゃ わしの
カンでしかないが…
海底王「シャークアイの子は 魔王に
うばわれたのではなく 精霊さまが
守られたのでは あるまいか?
海底王「おそらく どこか
安全な 時代へ 運命を
たくされたのかも しれんが…
海底王「わしゃ ほんらい 人間の世界へ
首を つっこむことは 禁じられて
おるのでな。
海底王「じつのところまでは
よく わからんのじゃよ。
海底王「ともかく これで この地の
封印は とかれた。お前さんたちに
精霊さまの ご加護が あるよう…。
海底王「では さらばじゃ!
王「なんという 深い愛であろうか…。
しかし 海底王のおっしゃるように
悲しむのは やめておこう。
王「アニエスどのは みずからの意思で
運命をえらばれた。われわれも
ゆく道を 切り開こうではないか!
王「さあ まずは 城の灯台へ
聖なる炎を! さあ アルスどの
こちらへ。
その夜 祝いのうたげはつづき
人びとは じつに なん年ぶりかの
やすらかな 眠りについた。
そして よく朝…。
王「……では やはり 出発なさるか。
お別れするのは ざんねんだが
これきりという 気はしないのう。
王「旅の途中で 気が向いたら
また いつでも
たちよってくだされ。
王「そういえば シャークアイの
思い出話なども
ほとんど していなかったしのう。
王「…え? この国の楽士から
シャークアイたちのことを すこし
聞いたと?
王「はて…? たしかに 昔は
この国に ウデのよい楽士がいたが
彼は 病にたおれて 今はおらぬ。
王「そうか… ふしぎなチカラをもつ
そなたたちのことだ。おそらく
夢にでも 見たのであろう。
王「ともかく 今回のこと 心より
お礼申し上げる。
王「そなたたちのことは この国で
永遠に 語りつがれることだろう。
王「そうそう…。東の洞くつの
ホビットたちも 心より
よろこんでくれているはず。
王「お帰りに なる前に ぜひ
立ちよって行かれるといい。
アイラ「それじゃあ あの楽士さんて
ゆうれいだったの?
アイラ「それとも やっぱり あれは
夢だったのかしら?
……アルスは どう思う?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
アイラ「そう……。 アイラ「でも 全員が 同じ夢を |
いいえ |
アイラ「やっぱり あれは アイラ「世の中は ふしぎなことで |
メルビン「人魚に 姿を変えてまで
愛する夫との 再会をねがうとは
なんという 深い愛でござろう…。
メルビン「そこまで愛されるとは
シャークアイどのが
うらやましいでござるよ。
ガボ「アルスが 王さまから もらった
水竜の剣って カッコイイなあ。
ガボ「でも 大きすぎて オイラじゃ
使えそうにないな。
ちょっぴり 残念だぞ。
大臣「これからは この国の兵士にも
あなたがたを 見ならって ウデを
みがくよう 伝えてゆきます。
大臣「そして 再び 魔物に
おそわれることが あったとしても
われわれは たかうでしょう。
大臣「たいせつなのは 希望を
すてぬことだと 学びました。
本当に ありがとうございました。
学者「私の研究が 机上の空論で
終わらなかったのは あなた方の
おかげです。感謝いたしますぞ。
メルビン「しかし 今回のことは
あの学者どののアイデアが なくては
とても 解決しなかった。
メルビン「彼こそは このコスタールの
かくれた救世主でござるな。
*「きっと シュクリナ王妃さまも
天国で よろこんで
くださっていますわ。
*「さあ 今日も はりきって
お仕事 お仕事…。
*「アニエスさまは ずっと
ここから シャークアイさまのことを
お祈り していたのね。
*「でも あたしには 人魚に
なることなんて できないわ。
*「だって やっぱり 好きな人とは
同じ人間でいて 話をしたり
ふれあったり したいもの。
アイラ「そうね。そうまでして
もう一度 会いたいなんて
すごい思いの深さよね。
アイラ「わたしも いつか
そんな風に 思える相手に
出会えるのかなあ……。
*「あなた方は われわれの 英雄です!
これからは ぼくも ウデをみがいて
立派な 兵士を 目指します。
*「私は 自分が はずかしい!
*「かんちがい とはいえ あなた方を
うさんくさい 旅人だなどと
思っていたとは…。
*「どうぞ おゆるしくだされ。
*「やっと この灯台も
生きかえったのう。
*「しかし お城の メイドのやつ
わしを 海底王さまと
見まちがうとは…
*「いやはや カンロクが あるのも
こまったもんだわい。
ふぉっ ふぉっ ふぉっ!
メルビン「しかし メイドどのは
海底王を きたない老人よばわり
していたでござるしなあ……。
メルビン「まちがえられても あまり
うれしくないでござるよ。
*「聖なる炎って 近づいても
なぜか 熱くないのよね。
こんなに もえてるのに 不思議ね。
ガボ「あんな 熱くねえ炎じゃ
魚も イモも やけねえよな。
ガボ「オイラは ふつうの炎のほうが
いいと思うぞ。
*「この地も 平和になったし
大灯台の 灯台守りを
志願することにしたよ。
*「オレも そろそろ 人に
みとめられる仕事を しなきゃ
結婚も できないっつ〜の。
*「灯台が 生きかえったってことは
また 旅にでられるってことか。
*「今度こそ すげえ 宝を見つけて
女房を ギャフンと
いわせてやるぜ!
アイラ「あの人……
宝さがしなんか してないで
まともに はたらけばいいのに……。
ガボ「あのおっちゃん 宝さがしに
命かけてんだなあ。
*「あたしたち なんだか この国が
気に入っちゃって。もうしばらく
ここに いることにしたの。
*「踊りの修行は ここでもできるしね。
それに あちこち 旅をするのにも
こりたわ。
*「きゃっ きゃっ。
バブー!
シエラ「この娘には アルスさんの
名に あやかって アルりん
という名を つけました。
シエラ「きっと あなた方のような
強くて やさしい子に
育ちますわ。
*「ボクの いもうとは
アルりんって いうんだ。
なんか へんな 名前だなあ。
ガボ「ワハハ……。
へんな 名前だってよ。
アルス 言われちまったなあ。
*「やや アルスさんの ご一行さま
いらっしゃいませ!
(防具屋)
*「今日はまた かくべつに
酒がうまいなあ。
*「こんなときは 自信をもって
お客さんに オリジナル・カクテルを
おすすめできるんですよ。
*「うっぷ…。
ゆうべは すこし
飲みすぎたようですな。
*「まあ たまには むかえ酒ってのも
いいもんですよ。わっはっは!
…うぷぷぷ…。
*「あなた方は シャークアイとともに
この国の伝説の人に なるわ。
また きてちょうだいね。
*「おや あんたたち!
うちの 宿屋なら いつでも
大かんげいだよ!
*「また いつでも
たちよっておくれな。
*「さあ お花に お水を
あげなくちゃ。
*「そういえば おとなりの おじいさん
元気になったみたいで やっと
お店を 開けてたわね。
*「こっくり こっくり…。
*「ここは コスタール。
海にうかぶ 港の国だ。
*「う〜ん やっと ひっかかれなく
なったけど まだ ボクの手からは
エサを 食べないなあ。
*「でも なんとなく にくめない
ネコ なんですよね。
*「あなたがたが 人びとに もたらした
喜びは きっと 平和への
チカラと なりますわ。
*「あなた方に 神さまの
ご加護が ありますように。
*「こうして きれいな 水面を
ながめていると この前までのことが
うそのようですわ。
*「あれは 夢だったのではないかと
感じられるときも あるのです。
*「わ〜い! お魚さんだ!
*「この国は 平和になったけど
氷づけの 海賊船は いったい
どこに 流されたのでしょうね。
*「あなた方なら もしかして
魔王すら たおせるような
そんな気がしてなりません。
*「もし そうなったら きっと
いつかは 呪いの氷だって
とけるときが きますよね。
メルビン「……そうでござるな。
シャークアイどのとは ぜひとも
お会いしたいでござる。
メルビン「そのためにも アルスどの。
いっこくも早く 魔王を見つけだし
倒すでござるよ!
アイラ「たとえ 呪いが 解けても
その時の世界は 海賊たちにとって
知るものもない世界なのね。
アイラ「……なんだか それって
悲しいわね。
*「なんだか 外がずいぶん
明るくなったような…
…!? まさか!?
*「もしかして 封印が とけたのか!?
まさか あんたらが やったとか?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
*「人間のくせに 無茶するなあ。 |
いいえ |
*「あ ちがうの? |
ガボ「オイラ ホビット族が
好きこのんで 穴ん中でくらしてる
気持ちだけは わかんねえや。
アイラ「今回のことで ホビット族と
コスタールの人たちが 少しでも
仲良くなると いいわね。
メルビン「ホビット族というのは
じつに まあ ガンコで
元気のいい連中でござるなあ。
*「この墓は かつて
魔物におそわれた われらの
仲間の 墓だ。
*「あんたらの おかげで
こうして とむらうことが
できたよ。
*「わしらの 太陽さまが
また おがめるように なってから
元気が わいてきたんじゃ。
*「リュクリナさまが 心をこめて
育てておいてくれた
おかげ じゃのう。
アイラ「シュクリナさんは
ホビット族にとって まさに
太陽だったわけね。
*「あんたら やっぱり
人間じゃ なかったんだな。
*「外の世界の封印がとけた 気配を
感じられて 長老さまが
あんたがたを 待ってたんだよ。
アイラ「だから わたしたちは
人間だってのに もう……!
アルスも 何とか言ってやってよ。
*「ここは わしら ホビットの
宝物庫だす。
*「長老さまから お話があるそうだで
聞いてきて ほしいべさ。
長老「ふん やっぱり 来たな。
平和に なったから コスタール王と
仲良くしろとか いいにきたんだろ。
長老「まあ そうでも そうでなくても
かまわねえ。あんたらに
わたすものが あってよ。
長老「この下の 宝物庫から
もっていってくんな。あんたらの
旅の役に たつだろうよ。
長老「なあに コスタール王と
わしらのことなら 気にすんな!
長老「あいつも ああ見えて
なかなかの男よ。
長老「わしらの 気もちは
わざわざ つたえんでも
わかってるにちがいねえ。
アイラ「長老さんてば
なんだかんだ言って 王さまのこと
しっかり みとめてるのね。
ガボ「コスタールの王さまは
見る目あるし アタマもいいから
きっと わかってると思うぞ。
メルビン「どうも この分なら
ホビット族と コスタールの関係も
心配することは ないでござるな。
*「長老さまの 話は オラも
聞いただす。どうぞ
お入りくだされ。
*「ここは わしら ホビットの宝物庫。
この宝を どうか 平和のために
役立てて ほしいだす。
*「わしらは あんたら 人間を
好きになったわけじゃ ないぞい!
*「しかし シュクリナさまが
人間を 好きになった気持ち だけは
わかってやろうと 思っとる。
*「平和になったからといって
魔物だけは ぜったいに
ゆるせないわ!
*「人間も 好きじゃないけど
あなたたちのことは
信じられそうな 気がする。
*「兄ちゃんばっかり
おいしいもの 飲んで
ずるいや!
*「うめえ うめえ…。
光ゴケを しぼった 汁が
こんなに うまいとは…。
*「わっ!
なんだ あんたらか。
びっくりさせるなよ。
*「この 光ゴケの 青いしぼり汁が
なんとも うまくてさ。
あんたも 飲むかい?
はい | いいえ | ||
---|---|---|---|
はい |
アルスは 青いしぼり汁を …あまりの まずさに *「なんだ もったいない! |
いいえ |
*「なんだ いらないのか。 |
ガボ「ひょ〜。
オイラ 飲まなくて よかったよ。
アイラ「ちょっと アルス。
だいじょうぶなの?
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